ビジネスパーソンなら、「登記簿謄本(とうきぼとうほん)」や「謄本(とうほん)」という言葉を聞いたことがある人も少なくないでしょう。
しかし、
- 「見たことない」
- 「どんな書類か分からない」
という人も、案外少なくないのでは?
実際、個人的な目的のために取得しなければならないと言う場面はほとんどありません。
しかし、社会人である以上、基礎的なことについては知っておいた方が良いでしょう。
特に、起業するということであれば、定款に続いて取得する、重要な公的書類です。
様々な手続きをするために、何枚も取得することになるでしょう。
意外なところで、自分の身を助けるのに役に立ったりします。
ここでは、登記簿謄本とはそもそもどんなものなのか、記載されている内容や種類、必要なシーンに加え、意外な活用法についても詳しく紹介します。
登記簿謄本とは?
登記簿謄本とは、会社の基本情報が記載されている公的な書面で、法務局に登録されている、その会社の実態を証明するものです。
会社が何かしら重要な変更を行った際には、法務局にその内容を届け出る必要があります。
その内容が記載されているのが、登記簿謄本なのです。
尚、登記簿謄本には、主に次の7つの項目が記載されています。
- 企業の名称である「商号」
- 会社の所在地を示す「本店」
- 登記申請した日=「会社設立日」
- 会社の主な事業内容を示す「目的」
- 株式会社が発行できる株式の総数を示す「発行可能株式総数」
- その会社を運営していくための元手金を示す「資本金」
- その会社の代表取締役の氏名や住所を示す「役員」
登記簿謄本の種類
そして、登記簿謄本には、主に次の4つの種類があります。
- 請求日時点で有効な情報が記されている「現在事項証明書」
- 現在の情報に加え、抹消された事項も含め過去3年間の情報も合わせて記されている「履歴事項全部証明書」
- 本店の移転や会社の消滅に伴い、閉鎖された企業の情報が分かる「閉鎖事項証明書」
- 会社の代表権を持っている人物の氏名や住所など詳しい情報が分かる「代表者事項証明書」
です。
実際のところ、ほとんどの場合必要になるのは、「履歴事項全部証明書」です。
「登記簿謄本 = 履歴事項全部証明書」
と言っても、あながち間違いではないと言えるほどです。
取得や提出が求められるシーン
会社の登記簿謄本は、どのような時に使うのでしょうか。
代表的な利用シーンを挙げると、
- 銀行に法人口座を開設する
- 事業資金の融資を受ける
- 自治体の補助金・助成金の申請をする
- 外部からの出資により資金調達をする
といった時に、会社の存在を証明する書類の一つとして提出が求められます。
- 「ちゃんと会社として存在しますよ」
- 「資本金や役員はこのようになっていますよ」
- 「設立されたのは何年の何月何日ですよ」
ということを、公的な情報として提供するのです。
意外な使い方も?会社の登記簿謄本の活用法
登記簿謄本は、個人の目的や私用にて使用するシーンはほとんどありません。
しかし、これから社会人になる方や、転職をしようとしている方にとって、さまざまな場面で役に立つことがあります。
自分の会社、入社を検討している会社について知りたい
自分が勤めている会社や、就職先、転職先の候補になっている会社について、もっと詳しく知りたいことってありますよね。
もちろん、会社のホームページを見るのでも良いでしょう。
しかし、会社のホームページに、欲しい情報が出ているとは限りません。
そういう時は、会社について知るための有効な手段にもなります。
- 本社の場所
- 資本金
- 設立年月日
といった基本的な情報に加え、「社長(代表)の住所」まで知ることができます。
自分が毎日勤めている会社でも、意外と知らないことはたくさんあります。
登記簿謄本を取得して内容をチェックすることで、新しい発見が生まれることもあるでしょう。
他社、取引先について知りたい
登記簿謄本は、他社のものでも、誰でも気軽に取得、閲覧ができます。
つまり、あの有名企業の登記簿謄本だって、簡単に取れてしまうのです。
他社の登記簿謄本をチェックすれば、
- そもそもその会社が実在しているのか
- どれくらいの資本金がある会社なのか
- いつ設立されたのか、歴史や実績のある会社なのか
- 役員は誰なのか
を知ることができます。
その会社の社会的信用を、客観的に判断できるでしょう。
- 「何かを勧誘してくる会社があるけど、お金を払っても大丈夫だろうか?」
- 「本当に歴史ある、信頼できる会社なのだろうか?」
そう思った時は、取得してみても良いでしょう。
【参考】合同会社の設立はお得?メリット3つとデメリット2つを解説!
登記簿謄本を活用しよう
会社の登記簿謄本は、最寄りの法務局やオンラインで、誰でも気軽に取得できます。
起業する時はもちろん、あまり自分の会社について知らない場合や、これから就職先、転職先を決める時に取得してみるのも良いでしょう。