時代は変わり、多様な働き方が尊重される昨今。
就職せずとも、お金を稼ぐ手段が巷に溢れる時代です。
そんな中、学校を卒業していきなりビジネスを立ち上げることも、一つの選択肢として定着してきました。
新卒のフリーランス化も、ポピュラーになってきています。
しかし、そんなに簡単にいくのか、心配に思う人もたくさんいるでしょう。
今回は、ファーストキャリアとして起業することに魅了されてしまう理由と、その危険性、心構えについて解説していきます。
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いきなり起業に魅了されてしまう理由
学業と両立させながら事業を始めたり、卒業と同時に会社を立ち上げたりする人は昔からいました。
しかし、様々な技術の進歩や情報の普及に伴って起業のハードルが下がり、その数が大きく増えていると言われます。
「起業するならある程度社会人として経験を積んでからやるべき」と言う意見も根強くあります。
ではなぜ、人々は起業をファーストキャリアとして選んでしまうのでしょうか。
世界の有名起業家のほとんどは就職していない
就職せず、いきなり起業することに魅了される一つの理由は、世界で活躍している(活躍していた)有名起業家の存在が大きく影響しています。
たとえば、
彼らは一度も就職せず、大学在学中、もしくは卒業後すぐに事業を立ち上げています。
世界的とまではいかずとも、同じような経歴を持つ起業家は国内にも一定数存在します。
そんな彼らを見て、自分もそうなりたいという憧れから、就職せず、いきなり起業することに魅了されてしまうのです。
若さを売りにできるから、注目されやすいから
30代、40代、50代、または、それ以上の年代で起業しても、同じ業界内で注目されることはあります。
しかし、よほどの成果を収めない限り、世間から広く注目を集めることは稀です。
しかし、10代、20代での起業や成功には話題性があります。
各メディアで取り上げられたり、SNSで話題を集めたりしやすいのは事実。
それゆえ、自分の若さを、事業の宣伝するための強み、ツールとして活用できます。
社会人として歳を重ねてしまうと若さを売りにするチャンスは活用できません。
悠長に時間を過ごしている暇はない
就職し、社会人として経験を積むことは決して無駄なことではありません。
しかし、最初から起業を決心しているのであれば、就職後に有意義な時間を過ごすことが難しくなってしまいます。
ニーズやトレンドは常に変化し続けているのが実情。
実力だけでなく、運を味方につけるためにも、波に乗ることは重要なのです。
たとえ革新的な起業のアイディアがあったとしても、スタートが遅れてしまったり、別のことに時間を費やしたりしていると、チャンスを逃してしまいかねません。
そのため、ある程度の準備が整っているのであれば、早いに越したことはないと言えるでしょう。
自分のやりたいことを制限されたくない
自分の入りたい企業、やりたい仕事に就ける人はごく一部です。
その他は、ただなんとなく就職した、たまたま採用をもらった、という理由で会社勤めしている人も少なくありません。
会社に入れば、当然、会社や上司の指示通りに動かなければなりません。
しかし、自ら事業を立ち上げれば、自分のやりたいことをやりたいだけできます。
安定か、自由か、どちらを重視するかは人それぞれです。
しかし後者の人にとっては起業することほど魅力的なものはないのです。
【参考】起業の準備一覧!14項目の最低限やるべきことをリストで整理
いきなり起業することが危ない理由
上で述べた通り、いきなり起業することは確かに魅力的な面もあります。
しかし、その一方で、危険な要素も少なからずあります。
なんとなく歳を取ると、取り返しがつかなくなる
社会人、職業人としての基礎がないまま歳を取ると、後々取り返しがつかなくなる可能性があります。
誰かに教えてもらえるのは、若い内だけ。
しかし、若い時代を、隔離された環境で過ごしてしまうのも考え物です。
歳をとってしまうと、ビジネスの基礎について教えてくれる人は誰もいなくなります。
それゆえ、マナーのなっていない、自分でもそれに気付いていないという人は少なからずいるものです。
いきなり起業したという、痛いおじさん/おばさんにはなりたくないですね。
嘘や騙しを見抜くのが難しい、騙されやすい
経営者の立場にいると、普通に生活をしている時以上に、悪い人やズルい人に遭遇します。
一定の経営資源があり、意思決定できる立場にいると、怪しい人達も近づいてくるのです。
もちろん、それをしっかり認知して用心できれば問題ありません。
そして気を付けるべきは、「経営者は思った以上に孤独である」ということ。
上手くいっていて、慢心している時だけではありません。
行き詰まっていたり、経済的に余裕がなかったりする時、ふと足元を掬われます。
いきなり大きな借金を背負うことになって、自己破産でもしようものなら、再起には大変な困難を伴います。
【参考】就活生がインターンに参加する4つのメリットと3つの注意点
それでもいきなり起業したい場合は?
リスクを承知の上で、それでも起業したい場合は以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
1、経験の浅さがビハインドになりにくい分野を見つける
世の中には、既に確立された業界と、確立途上の業界があります。
たとえば、ECサイトの運営、その他IT、インターネット関連の事業。
これらは、まだまだ確立途上の業界です。
確立途上の業界だと、変化が大きく、市場も伸びていることが多いため、経験が浅くても実績を作り易いということがあります。
そのように経験の浅さがデメリットになりにくい分野を見つけ、事業を立ち上げることはリスクを最小限に留めるためにも重要です。
2、小さく始める
「リーンスタートアップ」という言葉が流行った時期もありますが、小さく始めることはリスクを小さくする上で重要です。
極力小さな元手ではじめられるビジネスが良いでしょう。
例えば、インターネット関連であれば大金を投じてオフィスを構える必要はありません。
ネット上で質の良いプロダクトやコンテンツ等を作れれば、子供が作っていようと顧客は気にしません。
それが顧客に受け入れられればOKで、いくらでもチャンスはあるのです。
元手が小さければ、万一失敗しても人生を破滅に追い込む程の痛手は負わずに済みます。
3、「師匠」を見つける
いきなり起業する上で、さまざまなことを教えてくれる「師匠」。
知り合いの社長や、起業の先輩でも良いかもしれません。
「師匠」を見つけることで、多くのメリットを得られます。
例えば、ITバブルの頃、若くして起業家として成功した人達も、その多くは、細々と面倒を見てくれて、ビジネスの「いろは」を教えてくれる師匠のような存在がいたとされます。
社会人経験が浅い、もしくは全くない段階でいきなり起業するのであれば、そのような先輩を見つけて可愛がられるというのも一つの方法です。
ただ、自己顕示欲が強いだけのオジさんや、やたらと先輩風を吹かせて偉そうにしたりしているだけの人もいます。
どういう人と近い関係になるのが良いかは、慎重に見極めましょう。
【参考】実は起業に最適?有名人が続々参入するオンラインサロンとは
まとめ
いきなり起業することが決して悪いわけではありません。
むしろ、世間は、積極的にチャレンジすべきという風潮かもしれません。
たとえ失敗したとしても、気力、体力があるうちに経験を積むこと自体に大きな意味があります。
興味のない分野で社会人を続けるよりも、限られた時間を有意義に使えるでしょう。
しかし、それ相応のリスクが伴うため、覚悟と入念な準備、失敗したときの対策についても良く考えておく必要があるでしょう。