一般社団法人という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
何だか凄いことをしていそうな名称ですが、そもそもどんな活動を行なっている事業なのでしょうか。
社会貢献活動や慈善活動に興味のある方にとって、株式会社やNPOなど他の法人格よりも一般社団法人を設立した方が何かと利点があります。
今回は、一般社団法人の株式会社との違いや設立のメリットについて詳しく解説していきます。
【参考】合同会社の設立はお得?メリット3つとデメリット2つを解説!
一般社団法人とは?
一般社団法人とは、主に地域や社会に貢献すること、社会問題を解決することを主な活動として掲げる非営利法人の一つです。
- 定款の作成
- 公証人の認証
- 理事の選任
- 調査の実施
- 代表者による登記申請
という手順を踏み、理事を含め最低2名の社員さえいれば、誰でも設立できます。
主な業種、活動内容
一般社団法人を設立後、具体的にどんな事業をやるかは関係者に委ねられます。
基本的に制限はありませんが、多くの場合、
- 芸術
- 地域振興関連事業
- 障害者福祉
- 介護福祉事業
- 医学会
- 検定試験等の資格認定ビジネス
などが主な業種、活動内容となります。
その他にも
- 発展途上国への経済支援事業
- ホームレス、貧困層向けの支援事業
を行っているところもあります。
非営利法人=利益を出してはいけないという誤解をしている人もいるかもしれません。
しかし、収益を伴う活動をしてもなんら問題ないのです。
株式会社との違い
一般社団法人は、じゃあ株式会社と比べてどのような違いがあるのか、と思う方もいるでしょう。
それでは、設立から運営における双方の特徴や違いについて見ていきましょう。
株式会社
株式会社を設立する際、その設立費用は基本的に株主となる出資者から資金を得ることになります。
会社の規模にもよりますが、設立時には資本金も含め基本的に数百万から数千万円単位の高額な費用が必要です。
(※法的には、1円でもOKとなっています)
事業を開始して利益が出ると、社員や役員への給与や報酬の支払いはもちろん、出資者に対して配当金という形で利益を還元します。
一般社団法人
一般社団法人を設立する際にも、寄付金や個人からの出資を募ることがあります。
しかし、多くの場合、株式会社よりも小さな規模を想定していることが多く、必要資金はそれほど高額ではありません。
また、事業を初めて利益が発生した際、社員や理事への給与、報酬の支払いは任意となります。
そして、出資者への配当金の支払いはできないことになっています。
活動を経て出た利益は、そのまま事業継続のための運営費や活動資金に充てられることが一般的です。
一般社団法人を設立するメリット
「何か世の中のためにやりたいことがある!」
そのような場合、株式会社など他の法人格よりも一般社団法人を設立する方が多くのメリットがあります。
それでは見ていきましょう。
事業に制限がない、活動の幅が広がる
最大の魅力は、事業内容が制限されず、活動の幅を広げやすいということです。
たとえば、災害が発生したり、テロが発生した場合を考えてみましょう。
その時は、社会動向によってその時必要とされる事業に方向転換したり、経営資源さえあれば一度に複数の事業を推し進めたりすることも可能。
ちなみに、実際にどんな事業をしているのか、行政に対する報告義務もありません。
設立に必要な費用も割安で手続きもスムーズ
一般社団法人は理事を含め最低2名の社員がいれば設立可能です。
比較的小規模なケースが多いため、設立のための費用もそれほどかかりません。
ちなみに、
- 定款認証手数料として、50,000円
- 登録免許税として、60,000円
が必要で、その他定款謄本取得費等の雑費を考えても、115,000円程度では収まるでしょう。
また手続きに関しても、同じ非営利法人であるNPOとは異なり自治体からの認証が不要です。
よって、スムーズに設立することができるでしょう。
一定の条件を満たすと節税できることもある
一般社団法人は、
- 非営利型
- 非営利型法人以外
の2つに分類されます。
定款を作成する際に、
- 余剰金の分配をしないこと
- 主たる事業として収益事業を行わないこと
この2点を含めれば「非営利型」と認められ、税制上の優遇措置を受けられます。
社会的信用を獲得しやすい
ただ単に社会貢献活動をしたいのであれば、法人を立ち上げる必要はありません。
法人でなくても、任意団体、ボランティア団体として活動できます。
しかし、一定の手続きを踏み法人を設立することで社会的信用を獲得しやすくなります。
そうすると、寄付を募る際や、実際に活動する際に有利になるのです。
また、任意団体から法人成りする際にも、他の法人格よりも一般社団法人の方が移行しやすいというメリットもあります。
まとめ
一般社団法人には、教育や福祉、芸術関連を事業を行っているところが多い印象です。
しかし、実際はどんな活動をするかは基本的に自由であり、設立の手続きもスムーズです。
公益性、収益性の有無も自由となりますが、事業を継続、発展させていくためには他の法人格と同様、経営面での努力が欠かせません。
安易に一般社団法人を選択するのではなく、メリットと義務をよく考えた上で法人を設立しましょう。