店舗経営をしている人であれば、「ドミナント戦略」という言葉を聞いたことがある人も多いはず。
しかし、横文字やら、「戦略」やら、何やら難しそうな言葉な言葉が並んでいる、と思って、気にせず聞き流してしまう人もいるのではないでしょうか。
しかしこれは、中小企業が特定のエリアで高い市場シェアを獲得し、競争力を高めるのに非常に効果的な経営戦略。
ここでは、店舗展開を進める中小企業の経営者なら是非とも知っておきたい「ドミナント戦略」の概要やメリット、デメリットについて紹介します。
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ドミナント戦略とは?
ドミナント戦略とは、特定のエリア、地域に絞って集中的に店舗展開を行い、その占有率をもって競争力を高め、利益向上につなげる経営戦略の一つです。
セブンイレブンをはじめとする各コンビニチェーンや、アメリカ最大のスーパーマーケットチェンであるウォルマート、その他、地域限定の小売店やファミリーレストラン、クリーニング店などの多くがこの戦略をとっているとされます。
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ドミナント戦略のメリットとデメリット
それでは、ドミナント戦略で出店するでの、具体的なメリットについてまずは見ていきましょう。
①効率が良くなりコストの削減につながる
最大のメリットは、仕入や配送、人繰りなど、各種コストの大幅削減が見込めることです。
店舗が一定のエリアに集中していれば、仕入れで商品を配送する際に、長距離を回る必要がありません。
そうすれば、運搬費用や手間を最低限に抑えられます。
また、予め出店するエリアが限定されているのであればより効率的に宣伝や販促ができます。
よって、SVの定期巡回や出店時の商圏調査もしやすくなるでしょう。
更に、人繰りもしやすくなります。
突発的な人手不足は、どのような店舗でも起こり得るもの。
急な病気やトラブルで人手不足が生じた時、他の店舗が近場にあれば、多店舗のスタッフがヘルプで入り易くなります。
②地域に浸透しやすくブランド認知されやすい
また、地域に浸透しやすい、認知されやすいことも大きな利点と言えるでしょう。
近所に店舗が複数あれば、近隣住民であるユーザーとの接触回数が自然に増えます。
店舗の前を通ったり、看板を目にしたりする機会が増え、顧客にとって「メジャーな存在」になっていきます。
そして、事業内容やサービス内容など、お店のことをより深く知ってもらえるようになります。
また、ポイントカード等を複数店舗で使えるようにすれば、利便性も増すため、顧客マネジメントの観点からもプラスになると言えるでしょう。
③競合他社の参入を防ぎやすくなる
特定のエリアに集中的に店舗を出店することで、認知度の獲得だけでなく、牽制の機能も果たすようになります。
つまり、競合他社の参入を牽制することができ、場合によっては思いとどまらせることができるようになるのです。
地方エリアでよく目にする地域限定のスーパーや飲食チェーンなど、一度でも独占的にシェアを獲得できれば、ユーザーは行き慣れた店舗を継続的に利用する傾向にあるとされます。
そのため、新たに大手チェーンが参入しようとして入ってきたところで、思うように顧客獲得できず、撤退に追い込むことができるようなケースも少なくないようです。
それでは、デメリットについても見ていきましょう。
①近隣店舗同士で顧客の奪い合いが起こり得る
店舗が密集していることは、ユーザーにとっては利便性があると言えますが、企業やオーナーの視点からするとその特徴が却ってマイナスになるケースもあります。
店舗同士で顧客の奪い合いが発生する、「カニバリゼーション」という現象が起き、店舗がカバーする商圏を最大限に活用できなくなってしまいます。
②災害等発生時などはまとめて被害を受ける
また、何かの問題が起きた際、そのリスクが集中的に影響してしまうというデメリットもあります。
例えば、自然災害が発生して道路が遮断され通行止めになった際、仕入れのための運搬が滞り、一度に多くの店舗が業務停止を余儀なくされるという事態も起こり得ます。
また、他店舗で不祥事が起きた際、健全に経営している別の店舗も煽りを受け、ブランドイメージの低下や売上の下落といった不利益を被ることがあります。
リスクを回避するためには「事前調査」と「実行力」が必須
以上で挙げたようなリスクやデメリットを回避するためには、市場の特徴や需要の量を素早く、そして正確に見極める必要があります。
そして、他社に付け入る隙を与えないためにも、スピード感のある店舗展開を進めていかねばなりません。
そのためには、出店エリアの綿密な調査や分析をはじめ、実行に移すために相応の経営資源を投下する必要が出てきます。
人口の増減や、時間帯による人の往来、ターゲット層の年齢、職業などの詳細、競合他社の動きなどが挙げられます。
また、すでに他の企業が大きなシェアを占めていないかを見極めることも大切です。
まとめ
ドミナント戦略は上手く行けば各種コストの削減や認知度アップを十分に期待できます。
しかし、中途半端に店舗数を増やしただけでは本来の目的が果たせず、場合によってはカニバリゼーションの結果として赤字に陥ってしまったり、競合他社に参入されて、市場から追い出されてしまうリスクもあります。
実施にあたっては、何よりもまず出店予定地域の綿密なエリア調査を怠らないことが鉄則。
リスクやデメリットを見極めながら、慎重に進めていきましょう。