一口に不動産投資と言っても投資スタイルは様々なものがあります。
何より重要なのは、自分の目的や予算にあったやり方を見つけることかもしれません。
そして、不動産投資をはじめるにあたり一番ネックなのが「予算」ではないでしょうか。
今回は、比較的始めやすいとされる不動産小口化商品の概要や、REITとの違いを踏まえた上で、その魅力や注意点について詳しく解説します。
【参考】不動産投資とREITの違いは?メリットとデメリットを紹介!
不動産小口化商品とは?
不動産小口化商品とは、1棟の不動産を1口10万円~100万円程度の小口に分割して販売している不動産投資商品です。
対象となる不動産は新築、中古問わずアパートやマンション、戸建てなど賃貸物件はもちろん。
オフィスやビル、小規模事業向けのテナントなど、様々な種類があります。
REITと何が違う?
不動産小口化商品はしばしばREITと比較されることがあります。
しかし、両者は似て非なるものです。
そもそもREIT(不動産投資信託)とは、
「投資家らから集めた資金で専門の法人会社が不動産への投資を行い、そこから発生する家賃収入や売却益を原資として投資家らに配当する商品」を指します。
REITの場合、投資対象は複数の不動産を所有する投資法人。
あくまで不動産の所有権や持分権を得るにとどまります。
対して、不動産小口化商品は、投資家が投資対象となる不動産を直接決めて投資します。
現物の不動産を実質的に保有できるというのが大きな違いと言えるでしょう。
不動産小口化商品の種類
次に、不動産小口化商品は、大きく分けて、
- 匿名組合型
- 任意組合型
の2つの種類に分かれます。
それぞれ、
- 不動産の所有権の所在
- 配当金に適用される税制
- 目安とされる運用期間
が異なります。
匿名組合型
まず、匿名組合型の場合。
これは、不動産の所有権は、商品を売っている事業者のみに帰属します。
配当金の適用税制は「雑所得」。
短期から中期の運用期間となります。
- 不動産を所有しないで投資事業をしたい方
- 少額から投資を始めたい方
におすすめのタイプと言えそうです。
任意組合型
一方、任意組合型の場合。
こちらは、取得した不動産の所有権は事業者と取得者の共有となります。
配当金の扱いは「不動産所得」となります。
中期から長期の運用を目的としたもので、
- 相続税の対策をしたい方
- 多くの利益を得たい方
におすすめのタイプと言えそうです。
【参考】REITとは?不動産投資の初心者向きと言える、3つの理由
不動産小口化商品の魅力
それでは、不動産小口化商品の魅力を、一般的な不動産投資と比較して見ていきましょう。
1. 投資を始めやすい
まず、一番の魅力は、何と言っても、誰でも投資を始めやすいことです。
アパートやマンションなどの不動産を丸々1棟購入するタイプの投資事業は、始めるために数千万から億単位の資金が必要となるケースがほとんど。
始めようと思っても、資金調達で躓く人は少なくありません。
しかし、不動産小口化商品は数万円から始めることが可能。
多くの資金を集めずとも、気軽に始められるのです。
2. 不動産投資のプロが選んだ物件に投資できる
不動産小口化商品の対象となる不動産は、一定の資金、投資家が集まらないと運用がスタートしません。
それゆえ、事業者は、投資価値があり多くの投資家から支持されるであろう不動産を厳選して小口化することになります。
つまり小口化された商品を取得する方が、より安心して投資できるのです。
目利きが不要な分、自分で投資する不動産を見つけるよりもいいかもしれないですね。
3. 不動産管理の手間が少ない
一般的な不動産投資の場合、
- 物件の管理を自ら行う
- お金を支払って管理会社に委託する
かのいずれかになります。
しかし、不動産小口化商品の場合は、事業者が管理や運営を行うことになります。
そのため、投資家は手間がかからないのも魅力と言えるでしょう。
4. 比較的リスクが少なめ
不動産投資は、どんなやり方でも、少なからずリスクを伴います。
投資額に応じて、そのリスクも大きくなります。
しかし、不動産小口化商品は、前述した通り、少額の資金で始めることが可能。
かつ、十分な投資家が集まらず、一定の口数に達しなかった場合には、そもそも運用がスタートしません。
そのため、リスクを最小限に留めることができるのです。
【参考】不動産投資詐欺の主な手口4パターンと騙されないための対策
不動産小口化商品の注意点
不動産小口化商品は非常に魅力的な投資スタイル。
しかし、投資するにあたって、いくつか気をつけなければならないこともあります。
1. 倍率が高く、買いたくても買えないことがある
不動産小口化商品は事前に定員が設定されています。
すでに定員に達している場合には、購入することができません。
特に投資価値の高い一等地にある物件や新築物件などは、募集が開始してからすぐに定員に達してしまうこともあります。
そのため、いち早く情報を仕入れ、小口の購入手続きを進めることが必須なのです。
2. 投資ローンを利用できないため、自己資金が必須
一般的に、不動産投資を始める場合、投資対象となる不動産を担保に入れて、投資ローンを利用し、必要資金を調達することになります。
しかし、不動産小口化商品の場合、にはたとえ複数個の小口を購入しても所有権を100%取得できます。
担保として設定することはできないため、ローンを組めないのです。
そのため、最低限の資金は必要となります。
【参考】不動産投資ローンは繰上返済すべき?メリット3つと注意点3つ
不動産小口化商品で不動産投資をはじめよう
不動産小口化商品の投資は気軽にはじめられて必要資金も比較的少なめ。
特に、不動産投資初心者の方に大変おすすめの投資スタイルと言えます。。
しかし、投資である以上、少なからずリスクが存在し、また、敷居が低いとはいえ購入可能な商品を見つけられないこともあります。
しっかりと知識をつけ、準備した上で検討しましょう。