一口にアパート、マンションと言っても、建物の構造にはいくつかの種類があります。
当然、それぞれ、性能や建築コスト、資産価値が異なってきます。
ここでは、賃貸事業を始める前に押さえておくべき、木造、鉄骨造、RC造、それぞれの特徴やメリット、デメリットについて解説します。
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木造・鉄骨造・RC造の構造ついて知る
不動産投資、賃貸経営を始めるにあたっては、物件を購入したり、新たに建築する必要があります。
その際、まずは、その構造に着目しなければなりません。
建物の構造には、木造・鉄骨造・RC造の大きく3タイプあります。
- 柱や梁の部分など建物の枠組みとなる箇所に木材が使われているのが木造
- 木材の代わりに鉄骨が使われているのが鉄骨造
- 柱や梁、床や壁に鉄筋とコンクリートが使われているのがRC造
となります。
どのタイプを選ぶかで、事業の方向性も大きく変わってくるもの。
あらかじめそれぞれの特徴について知っておきましょう。
木造
まずは、主に戸建てや低層アパートによく見られる木造のメリットを見ていきます。
1. 建築費が安い
木造の最大の魅力は、建築費が他の構造に比べて圧倒的に割安になることです。
鉄骨を使用する際には、入念な防錆、耐火処理が必要となります。
しかし、木材の場合には、簡易的な処理で済むためです。
また、鉄骨に比べて木材は軽量ということもあります。
運搬がしやすいのも、諸々の費用を抑えられる理由となります。
2. 間取りの自由度がある
木造の場合、基本となる構造体が法律の範囲内であれば、間取りや建物の高さなど、デザイン面の自由度が高いというメリットもあります。
賃貸物件の場合、一定年数が経過すると必ず修繕やリノベーションをすることになります。
その際にかかる費用や手間も他の構造ほどかかりません。
次に、デメリットについて見ていきましょう。
1. 遮音性能が低い
木造の一番のデメリットは、音が響きやすいことかもしれません。
アパートなどの集合住宅において、住人同士の騒音トラブルは付き物とも言えます。
木造の場合、特にその影響を受けやすいもの。
音に対して敏感な人には入居してもらいにくいでしょう。
2. 災害に弱い
これは、建築技術の進歩により改善されつつあります。
しかし、木造は鉄骨やRC造と比べると、台風や地震など自然災害による影響を受けやすいとされています。
また、シロアリなどの害虫の被害も受けやすいのが難点。
入念な対策を施さないと、すぐに建物が劣化し、資産価値も落ちてしまうでしょう。
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鉄骨造
鉄骨造には、軽量鉄骨、重量鉄骨の2種類あります。
まず、メリットについて見ていきましょう。
1. 耐久性が高い
鉄骨造の最大のメリットは、木造に比べて丈夫な造りになっていること。
そして、地震や自然災害に強いことです。
柱や梁は文字通り「鉄骨」で造られます。
そのため、シロアリなど害虫被害もありません。
また、万が一、火事が発生しても、木造のように全焼になるリスクも低いでしょう。
2. 遮断性が高い
遮音性が高く、音を通しにくい。
また、断熱性が高く、熱も通しにくい。
その他の性能に関しても、申し分のなく高いのが魅力です。
それでは、デメリットについても見ていきましょう。
1. 軽量鉄骨の場合は、間取りの自由が利かない
軽量鉄骨を使用する場合、各パーツに必ず補強材の取り付けが必要となります。
その関係で、間取りの自由が利かない、という欠点があります。
2. 重量鉄骨はコストがかかる
重量鉄骨は、軽量鉄骨に比べて造りが頑丈です。
そのため、材料費や運搬費、その他建築にかかる費用が割高になる傾向にあります。
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RC造
最後に、RC造(コンクリート)のメリット、デメリットを見ていきましょう。
まずは、メリットから。
1. 災害に強く、性能が高い
RC造は、台風や地震、その他いかなる災害にも強く、とにかく頑丈で丈夫です。
遮音性や断熱性も非常に優れています。
建物の性能を何よりも重視するのであれば、RC造一択とも言えます。
2. 耐用年数が長く、資産価値が高い
どんな建物にも耐用年数があります。
木造の場合、およそ22年、鉄骨の場合最大で34年、そしてRC造が47年となります。
耐用年数が高ければ、それだけ資産価値も高まります。
ローンを利用する時や売却する時に、RC造は有利になるでしょう。
デメリットはどうでしょうか。
1. 建築コストが高め
RC造は頑丈で、性能が高いため、それだけ建築コストも一番割高です。
場合によっては、アパートなどを立てる前に地盤工事が必要となるケースもあります。
そのため、多くの初期費用が必要となることもあります。
2. 間取りに自由が利かない
間取りに関しても、RC造はさまざまな制約が課されます。
そのため、自由にレイアウトしたり、デザイン重視の内装にしたりすることは難しいかもしれません。
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木造・鉄骨造・RC造を確実に理解する
建築コストや間取りの自由度だと、断然「木造」がおすすめで、建物の性能を重視するのであれば、「RC造」となります。
「鉄骨造」は、コスト、性能、その他要素において、いずれも木造とRC造の中間的な位置付けと考えられます。
どの要素を重視するかで選ぶべき構造は変わります。
しかし、投資対リターンで考えれば、コストがかかったとしてもRC造がおすすめと言えるでしょう。