賃貸経営には常に多くのリスクが伴います。
そして、その備えをしておくことはオーナーに課せられる重要な任務の一つと言えます。
ここでは、不動産投資を始める上で避けては通れない火災保険について、その重要性を踏まえた上で主な補償内容や選び方のポイントについて解説します。
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火災保険とは?加入は必須?
火災保険とは、火災をはじめとする災害で建物が損傷を受けた際に補償を受けられるようにする保険サービスです。
アパートやマンションで賃貸経営を始める際には、火災保険への加入の判断が必ず求められます。
もちろん、加入は義務ではありません。
しかし、加入していないと、大きなリスクを抱えたまま事業展開することになってしまいます。
仮に建物で火事が起こったとしても、保険がおりなければ、自分の費用で全て損害をカバーする羽目になってしまいます。
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不動産投資における火災保険の重要性
それではまず、不動産投資における火災保険の重要性について考えていきましょう。
1. 融資を受けるため
賃貸経営を始めるために建物を購入するとなると、多くの場合、金融機関からアパートローンなどの融資を受けることになるでしょう。
この融資を受ける条件の一つとして、火災保険への加入が求められるケースがあります。
その理由は、火災を含む災害によって不動産が大きな損害を受け、経営状況が悪化した際、その補償がないとローンの返済が滞る恐れがあるからです。
債権者からすれば、貸し倒れのリスクが生じてしまう、ということになります。
開業資金を自己資金で全て賄うのであれば問題ありません。
しかし、ローンを借りる場合は火災保険に加入していなければ融資を受けられないため、十分な資金が集まらず、開業できなくなってしまうのです。
2. 賃貸経営における様々なリスクに備えるため
賃貸経営には、火災による被害の発生リスク以外にも人的な被害の発生リスクもあります。
たとえば、
- 建物内で事故が発生してしまった
- 不動産、入居者に損害が生じた
- 水漏れで入居者の家財がダメになってしまった
などが代表的なものとして挙げられます。
万が一、それらのリスクが発生した際に、入居者とオーナー自身の利益を守り、事業を継続していくための補償を受けるためにも、火災保険の加入が求められるのです。
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火災保険の主な補償内容
火災保険は、文字通り、建物の火災によって発生する損害を補償するための制度。
しかし、火災保険以外にも、様々なリスクに対応しています。
基本補償
保険会社によって具体的な内容は異なるものの、一般的な火災保険は、
- 落雷
- 台風による風災
- 雹災
- 雪災
によって生じる被害が基本補償に含まれます。
また、
- ガス設備など気体や蒸気の急激な膨張に伴う破裂、爆発
も同じく基本補償の内容になっていることが多いでしょう。
任意補償
基本補償に加え、必要に応じて、以下のリスクに対する補償も付けることができます。
- 河川の増水や洪水による浸水被害などの水災
- 建物の給排水設備の故障、破傷による水漏れ
が挙げられます。
また、盗難や人為的な事故の際に扉や窓が壊されるなど、不測かつ突発的な事故による不動産の破損、汚染に対する補償も含まれます。
特約
基本補償、任意補償に加え、
- 弁護士費用特約
- 施設賠償責任特約
- 家賃収入補償特約
の3つを、火災保険の特約としてつけることができるのも一般的です。
弁護士費用特約
入居者や関係業者から損害賠償請求のための訴訟を起こされることがあります。
その際に、必要な弁護士費用が補償される特約です。
施設賠償責任特約
建物の管理、整備不備や火災などによって、入居者にケガを負わせてしまったり、家財を傷つけてしまったりすることがあります。
その際の賠償金などを補償してもらう特約です。
家賃収入補償特約
火災を始めとする災害や事故によって経営ができなくなることがあります。
その際に、一定の家賃収入を補償する特約です。
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火災保険の選び方のポイント
保険会社によって補償内容は異なります。
最適な保険に加入するためにも、選び方のポイントについて知っておく必要があります。
水災に関しては物件のハザードマップを確認した上で検討する
任意補償の一つである水災の補償。
これは、立地によって加入する必要がないケースがあります。
特に都市部や近隣に河川などがない物件。
仮に自然災害があっても、浸水被害を受ける可能性はほとんどありません。
気象庁が提供しているハザードマップを確認した上で、必要かどうか検討しましょう。
地震の損害については地震保険への加入が必要
火災保険は、火災を始めとする災害や事故による損害を補償するものです。
しかし、一般的に、地震による被害、損害は補償の対象外となります。
一方で、ご存じの通り、日本は地震が多い国。
地震保険も火災保険と同様、非常に重要であると考えられます。
補償内容が被らないようにしつつ、加入を検討しましょう。
経年劣化による修繕費用は、別途積み立てる必要がある
- 壁のひび割れ
- 耐震性の低下
- 色褪せなど経年劣化
- リフォーム
これらに対する修繕費等は、火災保険の補償内容には含まれません。
そのため、修繕費用として別途積み立てておく必要があるでしょう。
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火災保険を上手く使ってリスクヘッジを
保健については、補償範囲が広いに越したことはありません。
しかし、不必要なものまで見境なく加入すると、保険料の負担が大きくなり、経営に大きな打撃を与えることもあります。
また、補償内容に加え、加入期間も考慮すべきこととして挙げられます。
そして、その期間が長いほど、1年あたりの保険料が安くなるケースがほとんど。
その点も含め、よく検討しましょう。