引っ越しは大変です。
個人の住宅の引っ越しでも大変なのに、これがオフィス移転、更に本社移転ともなると大変さは倍以上。
多くの時間と手間、費用を要することになり、事業規模が大きい場合、大変さは指数関数的に増えていきます。
今回は企業にとって重要なイベントとなるオフィス移転を最大限効率的に進められるように、そして、必ず済ませておくべき準備や手続きについて紹介していきます。
【参考】オフィス移転して後悔?よくある失敗例4つと対策4つを紹介
失敗したくないオフィス移転、まずはその目的を明確に
事業拡大や縮小をはじめ、オフィスを移転する目的はさまざまです。
現状、どのような課題や問題があるのか、移転によって何を達成したいのかその目的を明確にし社内で共有します。
移転にはおよそ半年程度の期間を要することになるため、移転日から逆算してスケジュールを綿密に組んでいく必要があります。
今日思い立って、来月には移転、とは、なかなかそうはいかないものなのです。(相当な混乱を伴います)
1. 現オフィスの解約準備(移転半年前~)
オフィス移転する際、最初に取り掛かるべき準備から見ていきましょう。
解約予告期間の確認、通告
現在、テナントなど賃貸オフィスを利用している場合には、まず解約予告期間を確認します。
解約予告期間とは、その物件の賃貸人、オーナーに対して解約する旨を伝えるための期間です。
住宅だと1ヶ月が多いですが、オフィスとなるとそうはいきません。
一般的には退去日の3ヶ月〜6ヶ月前までとなっています。
それを確認したら通告する予定日を決め、移転に関するスケジュールを少しずつ立てていきます。
敷金、保証金の返還に関する確認
解約予告期間と合わせて、敷金や保証金の返還の有無も確認します。
新しいオフィスを契約するにあたって、敷金や保証金を払う必要も出てくるでしょう。
この敷金や保証金が何気に無視できない規模で大きい金額。
返還がある場合、その額や返還時期、返還方法もあらかじめ明確にしておくことで、移転に伴うお金の出入りを計算しやすくなります。
原状回復条件及び費用の確認
賃貸物件の場合、契約期間内に改装や大規模なリフォームを行った場合、もしくは設備内に目立った汚れや欠陥箇所が残っている場合、契約当初の状態に戻す原状回復義務が発生します。
何もせず退去できる場合もありますが、その義務が発生する条件やどの程度まで戻さなければいけないのかを契約書を見直し確認します。
内容に応じて工事の手配や見積もりを立てていきましょう。
廃品回収、引越し業者の検討
原状回復のための工事以外にも、いらなくなった備品を処分してもらうための廃品回収業者、そして荷物運搬のための引越し業者の選定もなるべく早い段階で行います。
その際には、複数社の見積もりを取り、予算に合ったコスパの良い業者を選びましょう。
【参考】バーチャルオフィスを使うメリット4つや利用のポイント3つ
2. オフィス移転に向けた準備(移転5、3ヶ月前~)
解約、現在のオフィスから退去するための準備や手配が済んだら、新オフィスへの移転に向けて本格的な準備を進めていきます。
物件探し、立地調査
不動産業者を訪問したり、物件探しサイトを用いたりして移転先の候補を絞っていきます。
家賃や共益費、管理費、保証料など費用に関すること以外にも、広さや設備、外観についても入念なリサーチをしておきたいものです。
また、郵便局、役所、駅までの距離や競合他社の有無、従業員にとってのアクセスのしやすさなど周辺環境も考慮した上で適切な物件を選んでいきます。
不動産業者、オーナーとの契約締結
ある程度目星がついたら、その物件を扱っている不動産業者と面談したり、オーナーを訪問したりしてみます。
契約内容や契約条件の確認のためはもちろんのこと、交渉次第で家賃や管理費などの固定費を減額してもらえることがあるかもしれません。
時間にゆとりをもって、何度か面会して話し合った上で契約を結ぶのがおススメです。
レイアウトの設計、インフラ設備工事の依頼
契約締結後は、新オフィスでのデスク配置や配線などのレイアウトを設計していきます。
それらの工事には専門の業者の手が必要となることも多いため、オフィスが決まったら早い段階で見積もりや依頼をかけましょう。
具体的な日程が決まったらあとは退去日まで待つだけです。
3. オフィス移転に伴う必要な届出、連絡(移転直前、直後)
オフィスは移転して終了ではなく、法人の場合には移転に伴う必要な届出や手続きがあります。
これがまた面倒で、量も多く、厄介なところなので、気を付ける必要があります。
取引先への連絡、挨拶
移転直前、もしくは移転直後にまず行うのは、取引先やクライアントに対して移転したことを挨拶をかねて連絡します。
取引に支障が出ないようにすることがその目的ですが、普段から関わりのある事業者に対して移転の挨拶をすることはビジネスパーソンが最低限守るべきマナーです。
関係省庁への届出
また、各関係省庁への届出や手続きも必要となります。
例えば、
- 法務局には「本店移転登記申請書」
- 税務署、自治体の税事務所には「異動届出書」
- 労働基準監督署には「労働保険名称・所在地等変更届」
などが挙げられます。
また、郵便物の転送、住所変更のための関連手続きを済ませ、会社で使っている車両がある場合には警察署でその手続きを済ませます。
その他にも、許認可を取得していたりすると、恐らくその全てで住所変更の手続き等が必要になることでしょう。
その他
その他、ウォーターサーバー、電話やリース等の、オフィス用品、新聞などの定期購読をしているものがある場合には、その変更手続きも移転前に必ず済ませておきましょう。
すぐに困るということはないのかもしれませんが、この手の細々とした契約関係の住所変更が最も手間を取られるところでもあります。
どことどのような契約をしているのか、なるべく早い段階からリストアップをしておきたいものです。
【参考】フリーアドレスとは?メリットや導入のポイントを基本から
まとめ
滞りなく準備をしたつもりでも、実際に移転を進めていく上で少なからず問題やトラブルが生じ、スケジュール通りに事が運ばないというケースはめずらしくありません。
事業に支障が出ないようなるべく早い段階で準備を始め、じっくりと時間をかけて移転計画を立てていきましょう。