マーケティングに触れたことがある人なら、「ロイヤルカスタマー」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
同じ顧客でも、商品やサービス、もしくは企業に対して抱いている愛着や売上への貢献度によって、その質は異なります。
今回は、ロイヤルカスタマーについて、その意味を踏まえた上で、その魅力や獲得、育成方法について紹介します。
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ロイヤルカスタマーとは?
ロイヤルカスタマーとは、競合他社ではなく、自社の製品を長年愛用してくれているユーザーを意味します。
- リピート購入によって売上に大きく貢献してくれる
- 口コミを拡散して新しい顧客を呼び込んでくれる
といったことが特徴です。
何より、「愛着を持って」サービスを繰り返し利用してくれていることがポイント。
単に利用回数が多かったり、高い商品を買ってくれたりする優良顧客とは異なります。
ロイヤルカスタマーを持つべき理由
商品やサービスの提供者にとって、ロイヤルカスタマーの有無は決して欠かせない存在。
売り上げはもちろんのこと、事業の将来性そのものにも影響してくるのです。
それでは、ロイヤルカスタマーを持つべき具体的な理由について、いくつか見ていきましょう。
1. 売り上げが安定する、長期的な収益が見込める
ロイヤルカスタマーは新しい商品やサービスを提供するごとに、ほぼ毎回、確実にそれらを購入し企業に利益をもたらします。
その点が、一般ユーザーとは大きく異なるところ。
実は、これは科学的にも証明されています。
ロイヤルカスタマーが占める割合が全体の顧客の内わずか2割でも、彼らが企業にもたらす利益は全体のおよそ8割を占めることもあるのです。
企業に対するロイヤリティ(忠誠心、熱意)に比例して、貢献度も上がります。
そして、そのような顧客を持つことによって企業は売上が安定し、長期的な収益が見込めるようになるのです。
2. 質の高いフィードバックを得られる
ロイヤルカスタマーは、企業にとって、商品やサービスを消費者の立場から正当に評価してくれる唯一の存在です。
場合によっては、提供者よりもそれらに関する知識が長けていることもあります。
- 質の高いフィードバックをしてくれる
- 提供者が気が付きにくい点に気が付いて指摘してくれる
といったこともあります。
彼らの意見や影響力を上手く活用していけば、
- 品質の向上
- 販促戦略の策案
- 新規顧客の呼び込み
にも、きっと役立つでしょう。
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ロイヤルカスタマーの増やし方、育成方法
ロイヤルカスタマーは、企業にとって非常に魅力的な存在。
しかし、そう簡単に獲得できるものではありません。
ロイヤルカスタマーの効果的な増やし方、育成方法について見ていきましょう。
1. 情報発信や接触回数を増やす
ロイヤルカスタマーを獲得するために最も効果的な方法は、既存のユーザー向けに積極的に情報発信したり、接触回数を増やしたりすることです。
「〇〇様にお得なご案内」といった旨のDMやメールマガジンを送るのは常套手段。
もちろん、情報発信や接触回数を増やし、ユーザーとのコネクションを作ることは、単純に忘れ去られてしまうことを防止するという目的もあります。
同時に商品やサービス、提供元の企業に対する印象を良くして熱狂的なファンになってもらうために効果的な施策です。
2. 特典の付与など一般顧客と差別化する
利用頻度や一定期間ごとの購入金額に応じて特典を付与するなどして、一般ユーザーとの差別化を図ることも重要です。
例えば、イオン。
ゴールドカード会員向けに、各イオンの店舗や国内の空港内にあるラウンジを無料で利用できるサービスを提供し、一般ユーザーと差別化を図っています。
その他にも、アパレル業界でポピュラーな、ファミリーセールスなどのイベント。
特別な顧客向けのイベントに招待したり、一定額以上のお買い物をした人向けに割引クーポンを配布したりすることで、特別感を演出します。
このように差別化を図ることによって、特別感を与えつつ、より高い好感度を得ることができます。
それによって、ロイヤルカスタマーを育成、獲得しやすくなるのです。
3. アンバサダーとして活動してもらう
また、一部の熱狂的なファンを企業のアンバサダーとして任命するという施策もあります。
お互いに協力しながら情報発信をすることも、ロイヤルカスタマーの獲得に繋がります。
これはアンバサダーマーケティングと呼ばれるマーケティング手法の一種。
特に有名なのが、食品、飲料メーカー大手のネスレ日本。
ネスカフェアンバサダーと題して、一般ユーザーを広告塔として起用しています。
これは、ただ商品を提供するのではありません。
ユーザーと協力して情報発信する
事業に貢献してもらう
といったことで、企業に対するロイヤリティを高めているのです。
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ロイヤルカスタマーを獲得・育成しよう
単に顧客の数を増せば良い、というマーケティングはもう時代遅れ。
これからは、いかにしてロイヤルカスタマーを獲得できるかが、安定した経営を実現し、事業を継続していくために必要な施策。
顧客と上手くコミュニケーションを取りながら、ロイヤルカスタマーの育成に励みましょう。