エコな視点で行動することは消費者だけでなく、今や企業にも求められる重要な概念。
地球環境の負荷が叫ばれる中、企業にとっても避けて通れないものとなりつつあります。
今回は、エコマーケティングについて、その意味を踏まえた上で、実施するメリットや企業が既に始めている取り組みの実例を紹介します。
【参考】ソーシャルビジネスとは?世界的なトレンドの概念と事例4選
エコマーケティングとは?
エコマーケティングとは、自然や生態系など、環境への負荷が少ない商品やサービスを開発すること、もしくはその負荷を減らそうとする企業の取り組みを指します。
環境ビジネス、エコビジネス、グリーンマーケティングと呼ばれることもあります。
これは、ただ単にお金儲けのためにモノを生み出すのではありません。
- 自然環境に配慮した形で商品を開発する
- 一度使用したモノを再利用して新たな商品として提供したりする
など、幅広い活動を行います。
広義としては、「自然環境だけではなくヒトが働く環境を改善すること」。
例えば、「発展途上国への投資や社会貢献活動、強制労働、不法労働の撤廃を目的とした活動」を指す言葉としても使われることもあります。
なぜ今、エコマーケティングが求められるのか
エコマーケティングは国内に留まらず、世界各国の企業でも推し進められている取り組み。
環境に配慮した経営を行うことは、各国においてもはや常識化しつつあります。
また、民間の企業だけではありません。
政府も脱プラスチックや脱炭素に向けて本格的に政策を進めるようになっています。
その背景にあるのは、言うまでもなく温暖化の進行や大気、海洋汚染問題の深刻化、エネルギー資源の枯渇の懸念などです。
これらの問題を食い止め、美しい自然環境を守っていくためにも、エコな経営が求められるのです。
【参考】ダイバーシティ&インクルージョンとは?先進的な企業の常識
エコマーケティング導入のメリット
環境に優しい経営を行うことは企業にとっても多くのメリットがあります。
顧客へのアピール、新規顧客の開拓につながる
エコマーケティングを実施することによって、社会的評価の獲得やイメージアップに繋がります。
環境配慮への意識が高いユーザー層へのアピールを効果的に実現できるでしょう。
その結果、これまでのユーザー層が拡大し、新規顧客の獲得も期待できるとされます。
環境保護、社会貢献活動が結果として利益増につながる
エコマーケティングの目的は、地球温暖化の阻止やゴミ問題の解決などあくまでも外部に存在します。
しかし、これらが結果として企業の利益アップ、業績アップにつながるとされます。
というのも、社会全体のエコ意識が高まると同時に、環境特化型の商品やサービスのニーズも年々増えて来ているためです。
消費者の行動が変わる中、企業の行動が変わることも求められるのです。
【参考】サーキュラーエコノミーとは?普及しつつある概念の基礎知識
エコマーケティングの取り組みの実例
それでは、各企業が実施している主な取り組みの実例についていくつか見ていきましょう。
ユニクロの「RE.UNIQLO」事業
まず、取り上げたいのが、アパレル大手、ファーストリテイリング社のユニクロ。
「RE.UNIQLO」と題した、衣料品のリユース、リサイクル事業を行なっています。
ユニクロを訪れたことがある方なら、各店舗にリサイクルボックスが設置されているのを見たことがあるかもしれません。
これは、使わなくなった衣服を回収して、発展途上国や難民キャンプ、被災地へ届けて支援する取り組みです。
リユース不可の状態の衣服に関しては、ただ廃棄するのではなく燃料やリサイクル素材として活用します。
スターバックスのリユーザブルカップ
次に取り上げたいのが、世界的コーヒーチェーンのスターバックス。
脱プラ、海洋ごみの削減に向け、リユーザブルカップの販売をしています。
リユーザブルカップとは、洗えば何度でも利用可能な容器(カップ)ということです。
飲み物の温度によって容器の色が変わるなど、おしゃれな仕様が施されています。
持ち運びがしやすいのも魅力的です。
トヨタ自動車の脱炭素に向けた電動車事業
そして日本最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車。
脱炭素実現のためにガソリン車ではなく二酸化炭素の排出量が少ない電動車の生産事業に力を入れています。
2030年までに、
- CO2排出ゼロのEV車
- 燃料電池で動くFCV
- ガソリンとモーターを併用するHV車
の世界販売台数を800万台程度とする目標を発表しました。
海洋ゴミを再利用した「4Ocean」のグッズ販売事業
そして、アメリカのフロリダ州に本部を置く営利団体、4Ocean。
海洋プラスチックゴミの削減や生態系保持のための活動を兼ねてより行なっています。
世界中の海に漂うプラスチックゴミを手作業で回収した後、それを100%再利用。
ブレスレットやウォーターボトル、スマホケースなどのグッズを製造、販売し、その収益を活動資金として活用しています。
【参考】「ポリコレ」は最早経営の新常識?知らないと炎上のリスクも
まとめ
個人事業や中小企業の場合、大手企業のように大規模な事業を始めたり、いきなり事業転換をしたりすることは容易ではありません。
よって、まずは手のつけやすい小さな事業から少しずつ進めていきましょう。
実施する際には既存のビジネスモデルとの整合性をとる必要もあります。
企業側の一方的なPR活動だと受け取られると、顧客に見透かされてしまいます。
「マーケティング」なので宣伝したい気持ちは分かりますが、バランスを取りながら進めていきたいものですね。