売上が安定しない。
来月の売上すら全く読めなくて不安。
来月末の支払はちゃんとできるだろうか。
事業なんて、いい時もあれば、悪い時もある。
経営とはそんなものと諦めて、人事を尽くして天命を待つ、しかない?
そんなあなたが気になっているであろう、今注目されている「サブスクリプション」型のビジネスモデル、通称「サブスク」。
その実、昔からあるタイプのビジネスモデルではあります。
しかし、昨今、多様な業種への導入が期待されています。
ここでは、「自社でもできるのかな?」と気になっている方のために、 サブスクのメリット、デメリットを徹底解説します。
「サブスク」とは
「サブスク」とは「サブスクリプション方式」というビジネスモデルの略称。
ひとつひとつ商品を購入するのではなく、「一定期間そのサービスを利用する権利」として定期的に料金を支払うことが「サブスク」の大きな特徴です。
※こちらの記事もサブスクについて解説しています。
どんなメリットがあるのか
事業のサブスク化にはどんな利点があるのでしょう。
今回は事業者側の視点で、サブスクのメリットとデメリットを紹介します。
①将来のキャッシュフローが読みやすい
まずは、何といってもこれでしょう。
サブスクは基本的に顧客が継続してくれることを前提としています。
もちろん、どんなサービスでもすぐにやめてしまう顧客と長く続けてくれる顧客がいます。
しかし、サブスク型の場合、一定の会員基盤が構築され、多くの顧客が一気に抜けてしまう、ということはそうそう起こりません。
ゆえに、キャッシュフローが安定しやすいというメリットがあります。
「一回売って終わり」の売り切り型のビジネスでは、毎月売り上げを追いかけながら目標達成のために営業をかけ続ける必要があります。
注文が入るタイミングも顧客次第で先読みが難しく、季節要因による変動もあり得ます。
それに対して、月額課金の「サブスク型」であれば、月初めには月末までの売り上げが見通せる状態です。
サービス提供を続けながら、毎月の契約数と解約数を追いかけていくことで、「獲得コストをいくらかけて、顧客を1人獲得したら、何か月続けてもらえる」という先読みもある程度可能になります。
また、インセンティブや広告宣伝費といった顧客獲得にかかる費用についても、もちろん、どのような計画や施策をとるかによって時々刻々と変化はしますが、 「サブスク型」はそれらの費用についても比較的見通しがつきやすくなります。
売り切り型はどうか
売り切り型の商品を販売しているECサイトを想像してみてください。
広告が大ヒットして一度は大幅に売上がアップしたとします。
ですが、その商品を買った顧客が翌月もリピートしてくれるとは限らないため、新たに広告を出して新規顧客を獲得しなければなりません。
また、予測が難しい中、仕入れや製造の計画も慎重に立てねばならないでしょう。
ここが「サブスク型」との大きな違いです。
当然、広告はヒットしたり、しなかったりするものですから、 売上予測は難しくなります。
一方、「サブスク型」の場合は継続課金が前提のため、「いくら投下すれば利益が出るか」がわかれば経済設計が見えやすい構造です。
多少のブレはあるものの、どれくらい仕入れや準備をしておけば良いか、大体の目途がつきます。
金融機関や投資家からの評価も高くなりやすい
キャッシュフローが安定しているので、銀行や投資家からの評価も高い傾向にあります。
米国の例を挙げると、Adobeがサブスクリプション型のビジネスモデルに切り替えてから、株価が急速に伸びたという報告があるそうです。
銀行が貸しやすく、投資家も投資しやすい。
これは「サブスク型」のメリットのひとつです。
②次の事業展開を考えやすい
多くの「サブスク型」ビジネスでは、顧客に会員登録をしてもらい、顧客と継続的な関係を維持することになります。
会員基盤を持ち、顧客とのコミュニケーション手段を得られることも「サブスク型」の大きなメリットです。
一回限りの顧客から「なぜその商品を買ったのか」といった情報を分析するのは難しくても、「サブスク型」であれば会員の登録情報とその動向から、顧客のニーズや好みなどサービス向上に役立つ情報を把握しやすく、さらなる売上へとつなげられます。
提供するサービスの内容によっては、顧客属性が絞られることもあります。
- 知育おもちゃのサブスクサービス『トイサブ!』
- 生理用品のサブスク『CORA』
- DIYをしたい人向けに資材と作り方を届ける『Brit+Co』
- 「ぽっちゃり女性」に特化した洋服サブスク『Gwynnie Bee』など、
多様でニッチなニーズに応えるサブスク型ビジネスは多数存在します。
その会員基盤を利用すれば、自社が発行するメールマガジンを広告枠として他社に販売するなど、広告収入の獲得も可能になるかもしれません。
③原価が見えにくく大きな利益を出し易い
定額課金制の「サブスク型」ビジネスは、売り切り型に比べて、顧客に原価が見えにくい、という特徴がありますす。
「サブスク型」は使い放題などのお得感や便利感を、きちんと顧客に感じてもらえるサービスを提供できれば、原価や設けのカラクリには目が向きにくい構造なのです。
原価が見えにくいというのは、利益を出す上で非常に重要です。
経済設計が見え易く、儲かってそうだと思われると、競合他社の参入も招きやすくなります。
よって、しっかり経済設計すれば、高い利益率が期待できるのです。
どんなデメリットがあるのか
当然ながら、「サブスク型」も良い点ばかりではありません。
①大きな先行投資が必要
顧客に定額課金を継続してもらうためには、
「いつでも使えて便利」
「買うよりもお得」
などの高い付加価値が求められます。
その付加価値を備えるために、事業基盤の整備や顧客獲得など、初期投資が大きい点が「サブスク型」のデメリットです。
手軽に利用してもらえるようなシステムの開発はもちろんのこと、広告宣伝に多額の費用がかかったり、顧客獲得が思ったより大変だったりということもよくあります。
多額の投資をしたけど、鳴かず飛ばずであれば、投資が全く回収できず大損ということになってしまうリスクもあるのです。
どうすれば顧客に続けてもらえることができ、大きな初期投資を回収できるかを徹底して考えることが「サブスク」成功のカギです。
「サブスク型」で成功するために
顧客目線で事業特性をしっかりと見極め、定額課金してもよいと思える価値提供の仕組みを上手く作っていけば、 経済設計次第で「サブスク型」は大きく利益が出せる事業になる可能性を秘めています。
一方、上で述べたように、安易に手を出すと「多額の投資をしたものの、回収できない」という事態に陥る可能性もあります。
必要であればプロの意見も聞きながら、慎重に一歩を踏み出すことをお勧めします。