シナリオプランニングとは?不確実な未来を生き抜くための術

21世紀になって、世の中はより一層目まぐるしく動いています。

もちろん、パッと見て分かるような変化ではなく、多くの人が気付かない内に少しずつ変わっていくようなタイプの変化もあります。

そして、世の中の変化を見誤り、淘汰されていった企業は数知れず。

企業を経営する者も、そして企業の中で働く者も、世の中の動きを無視してぼんやりしていると、その先には淘汰が待っているかもしれません。

そのような企業経営の難しさを緩和する上での一助になり得るのが、シナリオプランニング。

ここでは、これからの事業運営や生き残りを賭けた経営戦略の立案に欠かせない、シナリオプランニングの重要性や実践手順を紹介します。

シナリオプランニング

シナリオプランニングとは?

現代はVOCA(変動性が高く、不確実、複雑で、曖昧な)な時代と言われています。

無論、ビジネスの世界も例外ではなく、いかにして予想外なことに対応できるかが求められています。

シナリオプランニング(SP)とは、中長期的な将来に起こりうる外部環境の変化をシナリオ化し、それに順応していくための経営戦略を立てること、もしくは将来を想定した思考法を指す言葉です。

元々は軍事的な戦略、戦術、外交政策を検討、立案するために用いられていた手法ですが、1960年、オランダの石油会社であるシェルが企業として初めてこの概念を採用したことでビジネスシーンにおいて広まりを見せ始めました。

 

シナリオプランニングの重要性

消費者行動や業界の変化に伴い、新しく出てくるものがある一方で、淘汰されてしまうものも当然存在します。

今や世界各国における共通課題でもある気候変動や海洋汚染など、環境問題を例に挙げて考えてみましょう。

例えば、ストローやレジ袋などプラスチック製品の使用。

これらの使用規制が今以上に厳しくなった場合、それらを製造する会社やメーカーはどうするのか、ディーゼル車が東京を走れなくなったら運送会社はどうするのか、という問題が浮上します。

中には雲を掴むような「たられば」の話もありますが、大手企業をはじめとする多くの業界では既にシナリオプランニング思考が浸透し、実践し始めている企業もたくさんあります

これからの時代、外部環境の変化に対して鈍感なまま経営を続けていたら、いつの間にか時代に取り残されしまった、淘汰されてしまった、ということは、決して珍しいことではなくなるでしょう

それらを未然に防ぐためにも、シナリオプランニングの意識や危機感を持つことは非常に重要なのです。

 

シナリオプランニングの種類や目的

シナリオプランニングは、主に「未来適応型」、「未来創造型」の2種類に分けることができます。

 

■未来適応型

未来適応型シナリオプランニングとは、時代の変化や、将来起こりうる問題対応していくための経営戦略を立てることです。

業界の動向やトレンドの変化はもちろんのこと、コロナや自然災害など未曾有の事態が発生し消費者の生活様式が変化した際、どのように順応していくかを考えていきます。

未来適応型は主に大手企業向けで、自社の商品やサービスの持続可能性の追求に加え、業界における生き残りをかけた戦略策定に欠かせません。

 

■未来創造型

未来適応型が既存の商品やサービスを時代にあったものに適応させるのに対し、未来創造型シナリオプランニングは、新たにどんな需要や価値を生み出すべきかを考えるための施策です。

ベンチャーやスタートアップなど、破壊的イノベーションの実現を目指す中小企業向けで、その名の通り新しい商品や価値を創造するため、ブルーオーシャンを開拓するために用いられます。

 

シナリオプランニングの実践手順

それでは、シナリオプランニングの一般的な実践手順について見ていきましょう。

 

①自社のビジネスモデル、市場の定義

まずは、自社のビジネスモデルや市場における立ち位置の再定義、確認をします。

その際には、自社とは全く関係のない外的要素も一緒に分析しないよう気をつけながら、自社の需要や課題、強み、弱みを洗い出し可視化しておきます。

 

②自社を取り巻く外部環境を予想する

自社のビジネスモデル、市場の定義など内部環境を明確にしたら、次は外部環境を洗い出し、それらの変化を予想します。

その際、

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

の4つの要素から成るPEST分析のフレームワークなども活用しながら、10年後、20年後など比較的中長期的な市場の定義を行います。

参考:PEST分析のフレームワークをUberEatsを事例に解説!

 

③シナリオを描く

自社の内部、外部環境の定義、変化予測ができたら実際にシナリオを描いていきます。

作成しているうちに、「これはありえないかもしれない」「飛躍しすぎている」など不安に陥ることもあります。

しかし、シナリオプランニングは「そもそも不確実性が高いものである」ということを前提に置き、恐れずに複数のシナリオを描いていくようにしましょう。

 

④シナリオを現在のビジネスモデルに紐づける

いくつかシナリオが完成したら、それを既存のビジネスモデルと照らし合わせ、紐づけていきます。

現在のビジネスモデルとシナリオを紐づけた際に、最初に洗い出した自社の課題を解決できそうか、もしくは他社と比べた際に優勢な位置に立てるか、など再確認します。

主観だけでは補いきれない、見逃してしまう点もあるため、社内の複数の人間、もしくは必要に応じて社外のコンサルタント等を巻き込みながら進めていくのが理想的です。

 

まとめ

シナリオプランニングとは、そもそんも不確実な未来を想定して経営戦略や経営プランを練ることになります。

よって、ある程度のリスクや、現実からのズレが生じてしまうのは許容する必要があります。

シナリオプランニングの進め方には複数の手順があります。

自社のビジネスモデルや目的、方向性をしっかりと見極めた上で実施していきましょう。

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