社員一人一人が生き生きと働き、社会に貢献し、利益を生み出すのが、会社の目的。
だとすれば、会社を率いるリーダーは、それに相応しい環境を作らなければなりません。
しかし、ちょっとした綻びから、会社は崩れていくもの。
ここでは、ビジネスシーンにおける、会社の割れ窓理論の重要性を踏まえた上で、放置しておくとヤバいことになる「割れ窓」要素を5つ紹介します。
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ビジネスシーンにも当てはまる「割れ窓理論」
割れ窓理論とは、もともと環境と犯罪の関連性を示した犯罪心理学の用語。
窓が割れた建物や車を人目につきやすい場所にいつまでも放置すると、その地域周辺の犯罪率が上がるという理論です。
これは、ビジネスシーンでもしばしば活用されます。
「放置された乱れ」が社内にあると、
- 社員の離職
- 人間関係のトラブル
- 生産性や経営状況の悪化
につながる可能性が高まるとされています。
割れ窓理論による悪影響は、無意識のうちに発生していることが多いもの。
そのため、意識的に改善しようとする努力が求められます。
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割れ窓の見直しで成功した事例
一見、直接的な因果関係がないように思われる些細な乱れかもしれません。
しかし、知らず知らずのうちに、周囲の社員、そして組織全体に負の影響を与えます。
しかし、逆にその乱れを取り除いていけば、良い影響がもたらされることもあります。
割れ窓要素を見直すことで実際に経営を立て直したり、成功を収めたりした事例があります。
具体的に見ていきましょう。
Apple社
今や全世界における圧倒的な認知度を誇るApple社。
しかし、1990年代に一時期、業績不振に陥っていました。
その一つの要因として挙げられるのが、社内ルールを守らなかったり、自分勝手な行動をしたりする社員の存在。
決して仕事ができないと言うわけではなく、むしろ優秀な社員たちでした。
しかし、優秀であるが故に小さなことを気にしなかったり、それぞれ別の方向を向いて仕事に取り組んだりしていました。
そこで当時の経営者、ジョブズ氏は、遅刻の厳罰化など、社内規律を徹底的に整えました。
そして、社内風紀を正すことで結果的に業績回復しています。
オリエンタルランド社(ディズニー)
ディズニーランドやディズニーシーなど、ディズニーのテーマパークを運営する、オリエンタルランド社。
同社は、園内環境美化が徹底されていることで有名です。
ちょっとしたゴミや設備の汚れ、小さな傷すらも決して見逃しません。
同社は、迅速な清掃や修繕を徹底しています。
それは、ディズニーのテーマパークが「世界一安全で清潔な場所」と呼ばれるほどです。
快適で安全な空間を提供することで、来園者の満足度アップはもちろんのこと、来園者のマナー向上にもつながっています。
早急に見直すべき職場の「割れ窓」要素5選
会社において、具体的にどんな要素が社内風紀を乱す「割れ窓」となるのでしょうか。
例を挙げて紹介しましょう。
1、デスクの汚れ
最も代表的なのが、デスクや仕事スペース周辺の汚れや乱れです。
たとえば、
- 何が書かれているかもわからない書類が山のように積み重なっている
- デスクの天板が見えなくなるほどごちゃごちゃしたものが置かれている
- ゴミ箱が溢れかえり、ゴミが散乱していたりする
といった状態が挙げられます。
デスクは勤務時間の大半を過ごす場所。
そこが散らかっていたりすると見栄えが悪いのはもちろんのこと、生産性も落ちます。
2、捲られていないカレンダー、枯れている観葉植物など
デスク周辺の乱れだけではなく、他にもあります。
たとえば、
- 捲られていないカレンダー
- 枯れたままの観葉植物
をそのままにしておかないようにする必要があります。
会社の規律だけではなく、クライアントなど来客があった場合にそれらを見られてしまうと、会社の評価そのものにも影響しかねません。
3、遅刻の常習犯など社内ルールを守らない人
Apple社の例からもわかるように、遅刻の常習犯がいるなど、社内ルールを守らない人も会社に悪影響を及ぼします。
ルールを守らない人が原因というよりは、
- ルールを守らない人たちを指導しない
- 黙認していたりする
といった会社の姿勢、雰囲気そのものが危険です。
4、パワハラ、モラハラ、セクハラ上司
他の社員の面前で、
- 当たり前のように社員を叱責するパワハラ上司、
- 人格否定が大好きなモラハラ上司、
- いつまでも古い時代感覚のセクハラ上司
などの存在も社内風紀を乱します。
不快になるのは、直接的な被害者だけではありません。
その行為を見た他の社員も不快にさせ、社内全体の雰囲気が悪くなります。
5、髪型、服装がだらしない人
髪型や服装など、社会人としての装いがしっかりできていない人を、指導もせずそのまま放置して置くのもやめましょう。
身なりが整っていないだらしがない社員が取引先などに出向いた際、そんな社員を雇っている会社の評価が下がってしまいます。
会社の割れ窓理論を学んで規律正しい職場を
経営者や管理職が率先して社内の割れ窓要素を取り除いていくことで、社員一人一人の意識改革にもつながります。
社員のため、会社のためにも、社内の乱れが見つかった際「これくらいは大丈夫だろう」と見逃すことのないよう、徹底して社内風紀の改善に取り組んでいきましょう。