「解決しないといけない仕事がいっぱいあるのに、全然はかどらない…」
忙しく活躍するビジネスマンならこんな状況は良くある話です。
実は、この良くある状況を引き起こしてしまう現象が人間の心理にはあります。
この記事では、仕事が多いだけで生産性が下がってしまうツァイガルニク効果について解説します。
ツァイガルニク効果とは
ツァイガルニク効果とは、「人は完了した物事よりも未完了・未達成の物事について良く覚えている」という心理現象のことです。
ドイツのゲシュタルト心理学者であるクルト・レヴィンの研究をもとに、旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクが実験・提唱しました。
仕事をはじめた場合「最後までやり遂げなければならない」という気持ちになるのは、このツァイガルニク効果によるものです。
責任感を生み出しているとも言えるし、目標達成・業務の完了には欠かせない心理現象。
生産性において有名な手法「ポモドーロテクニック」も、時間で区切って意図的に未完了の状態を作り、ツァイガルニク効果を発生させているとされます。
一見、良い現象にも見えるが、良いことばかりではありません。
仕事において問題が生じることもあるのです。
ツァイガルニク効果による大きな問題とは?
ビジネスパーソンがツァイガルニク効果に振り回される例もあります。
それが、同時に複数の仕事を受け持っている状態でツァイガルニク効果が発生してしまい、生産性が低下することです。
自分が目の前でこなしている仕事も、そのあとにある仕事も未完了。
何もかもが中途半端な状態です。
そして、そのすべての仕事が記憶に残り、そのことを意識してしまうので、目の前の仕事に集中できなくなるのです。
更に、それぞれが大きい仕事であればあるほど、プレッシャーと相まって、なかなかはかどらない…という状況に陥るのです。
他には、
- 「中断の決断が下せずに、損害を出してしまう」
- 「完了が遅くなるので各プロジェクトから利益を得る機会が遅くなる」
といった事態が生じ得ます。
ツァイガルニク効果に振り回されないためには?
では、ツァイガルニク効果に振り回されないためにはどうしたらいいのでしょうか?
仕事を複数抱えない
まずは、仕事を複数抱えないようにするのが最善。
1つずつ短期間で素早く完了させていくのがベストです。
完了させれば、記憶しておく必要はありません。
心理的な負担は減りツァイガルニク効果を回避できますよ。
仕事の種類に応じてスケジュールを固めていく
また、仕事の種類でスケジュールを固めるのも良いです。
そうすると、複数の仕事を1つの仕事としてまとめて処理することができます。
チームでのタスク管理も、仕事の種類をまとめて同じ人に分担するなど工夫をしましょう。
また、あなたが上司の立場なら、部下が抱えている仕事が一区切りついてから次の仕事の指示を出すようにしましょう。
そうすることで、部下がツァイガルニク効果に影響されるのを回避しやすくなります。
実務的にはなかなか難しいところもあるかもしれません。
しかし、個人でも組織でも、なるべく複数の仕事を抱えないように意識するとよいでしょう。
ツァイガルニク効果の悪影響を抑える
この記事では、ツァイガルニク効果で生産性が下がってしまう現象についてお話ししました。
生産性を下げてしまうツァイガルニク効果。
しかし、上手に活用すると、効率よく目標を達成するための武器にもなる心理現象です。
上手に付き合っていきましょう。