ライバルの多い市場は、競争が激化し売上を伸ばすのが困難。
最初からあえてライバルと戦う必要のないニッチな市場を選ぶことも一つの選択肢です。
今回は、ニッチ戦略について、主な成功事例を挙げた上で、そのメリット、デメリットについて詳しく解説します。
【参考】フレームワーク9選!事業計画やマーケティング戦略で大活躍
ニッチ戦略とは?
ニッチ戦略とは、小さな市場だけれども、他社が参入しておらず、ライバルがいない、または、ライバルが少ない市場に焦点を当てて事業展開するマーケティング手法です。
提供するサービスや商品にオリジナリティを出すという点で差別化戦略と似ています。
しかし、ニッチ戦略はライバルとの競争を避けて市場を独占することが大きな目的。
特に、経営資源が限られている中小規模な会社がそれらを最大限に活用しています。
【参考】4C分析のフレームワークをスターバックスを事例に解説!
ニッチ戦略を取っている企業事例
まずはニッチ戦略で成功している主な企業の事例についていくつか見ていきましょう。
株式会社ブシロード
株式会社ブシロードは、トレーディングカードゲーム(TCG)を専門に扱う中堅ゲーム会社です。
2007年ごろからTGCに特化した事業を展開。
設立後わずか6年で市場シェアの20%を獲得し、15年で売上200億円を達成しています。
TGCとは、アニメキャラクターなどが印刷されている紙のカード。
1枚あたりの印刷費が10円前後と安価で利益率が高いのも特徴です。
YKK株式会社
ファスナーの製造、販売を行う、言わずと知れた有名国産企業であるYKK株式会社。
同社も、ニッチ戦略で大きな成功を収めた事例の一つです。
ファスナーを作るための機械を自社開発し、他社に依存しない生産ラインを構築。
これによって無駄なコストを削減し、今では世界シェア45%という圧倒的な地位を獲得しています。
実際のところ、ファスナー業界は、決してライバルが少ないわけではありません。
しかし、
- 伸縮性のあるファスナー
- 厚さ1ミリの小さな部品から作られるファスナー
など独創的なアイディアで市場を開拓。
ニッチな市場を独占するプレイヤーとして世界にその名を轟かせています。
フェラーリ社
高級スポーツカーの販売を行うフェラーリ社。
実際のところ、自動車業界は世界中で競争が最も激しい業界の一つ。
しかし、フェラーリ社は、自動車業界の主戦場では戦いません。
- スポーツカーとレーシングカーのみに取扱車種を絞る
- 生産台数を絞ることにより希少性を出す
という手法により、高級スポーツカー人気を高め、市場の創出に成功しています。
「需要よりも一台少ない数をつくる」という社訓の下、生産、供給量をコントロール。
意図的にニッチ市場を創出しました。
そして、同社は実際に、多くのファンの獲得にも成功しています。
【参考】4P分析とは?楽天モバイルを事例にフレームワークを解説!
ニッチ戦略のメリット、デメリット
それでは、実際にニッチ戦略を実践する上でのメリット、デメリットを見ていきましょう。
価格競争に巻き込まれにくい
同業者、ライバルが多い市場だと、価格競争に巻き込まれ易くなります。
自社の製品を買ってもらうために、他社よりも価格を低く設定しなければならないことも。
しかし、市場を一度独占してしまえば比較対象が実質的にいなくなります。
そうなると、価格競争に巻き込まれることなく、価格を自由に設定できるようになります。
差別化しやすい
また、ニッチ戦略を取ることで事業に独自性を出すことができます。
そして、そうすることで、他社との差別化もしやすくなります。
ニーズがはっきりしているセグメントを狙い、そこにハマるもの提供していくので、差別化の軸も比較的見えやすい。
それにより、熱狂的なファンや一定層からの知名度を獲得しやすくなるのです。
市場が小さく売上高が頭打ちしやすい
ある程度のファンや認知度を獲得できれば、その勢いに乗って多くの利益を出せます。
しかし、ニッチ市場では、ある程度の売上に達すると、売上が頭打ちする傾向にあります。
他社が入って来ない市場を狙うため、そもそも市場が小さかったりもするのです。
そのため、長期的に事業を拡大していきたいとなると、
- 商品やサービスの質をより良くして市場を拡げる/単価を上げていく
- 新しい分野にチャレンジする
といった経営努力も必要になります。
【参考】えっ、何で?「詰め替え用」がなぜかボトル入りより高い理由
まとめ
ニッチ戦略においては、まず、未解決の課題や問題を見つけ出したり、市場をセグメント化して高度な分析をしたりする必要があります。
そのため、そのようなニーズを見つけ出すまで、多くの苦労を要することになります。
しかし、一度ニッチな市場を見つけて、しっかり抑えてしまえば、比較的ローリスクで経営を続けられます。
また、どんなに斬新なアイディアがあったとしても、ユーザーに認知してもらわないことには何も始まりません。
そのため、認知度を獲得するための努力も忘れずに、事業を進めていきましょう。