自分の思っていることをそのまま言葉にすると、様々な問題が起こり得ます。
分かりにくかったり、結果的に伝わらなかったり。
更には、相手を憤慨させてしまったり。
これは、ビジネスシーンであるかどうかに関係ないかもしれません。
多様化社会を生きる者としてより効果的に、相手に納得してもらいやすいように伝えるためのスキルを持っておく必要があります。
ビジネスパーソンであれば、尚更です。
今回はアサーションについて、その意味を踏まえた上で重要性やメリット、スキルの磨き方について解説します。
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アサーションとは?
アサーションとは、お互いの価値観を尊重しつつ、自分の考えや意見を言語化し、的確に相手に伝えるためのコミュニケーションテクニックの一つです。
上司と部下、社員と顧客、取引先。
たとえ立場が違う者同士であっても、まずは同じ立場に立つことが相互理解の前提となります。
アサーションという言葉自体は、ビジネスシーンでよく用いられる言葉ではあります。
しかし、学校教育や日常生活など、あらゆるシチュエーションでも重視される概念と言えます。
コミュニケーションの種類
普段、何気なく行っているコミュニケーションには3つの種類があるとされます。
そして、個人の性格や思考によって、以下のいずれかに分類されます。
アグレッシブタイプ
まず、とにかく自分の意見を突き通そうとする「アグレッシブタイプ」。
人は自分の意見をはっきり言えるという利点があります。
一方で、周囲と軋轢を生んでしまうリスクを孕んでいます。
ノン・アサーティブタイプ
次に、「ノン・アサーティブタイプ」がありますが、これはアグレッシブタイプの真逆です。
自分の意見よりも相手を優先するため、周囲とのトラブルを回避しやすいのが特徴。
一方で、出るべき意見が出なかったり、ストレスを溜めやすかったりする、といったデメリットがあります。
アサーティブタイプ
そして、相手との相互的な関係を築きながら適切に自己主張できる、最も理想的なのが「アサーティブタイプ」。
まずは、自分が現時点で上記のどれに分類されるかを見極めた上で、アサーションの実践に向けた対策を講じると良いでしょう。
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ビジネスシーンにおける重要性、実践のメリット
ビジネスシーンでアサーションを実践することで、以下のような多くの利点があります。
自分の意思が相手に正確に伝わる、意見を採用してもらいやすくなる
例えば、商品開発や新規事業開始のための会議を想定してみてください。
自分の意思が周囲に正確に伝われば、意見を採用してもらえる確率はぐっと上がります。
ただ単に、自分の言いたいことを言いたいように主張するのは、自由で容易。
ですが、それを相手が納得し採用してもらうためには相応のテクニックが必要なのです。
相手を不快させずに要件を断れる
同僚や上司から何か頼み事をされた場面を想定してみてください。
できれば要望に応えたいけど、手が塞がっていて応えられない、という状況はよくあります。
そんな時でもアサーションを実践できれば、相手を不快にさせることなくNOと言えるようになり、良好な関係を維持できるでしょう。
商談や取引を有利に運べる
特に営業マンなどは、取引先やクライアントなど社外の人と接する機会が多いもの。
そして、自社の商品を買ってもらったり、サービスを契約してもらったりしなければなりません。
たとえ困難な交渉や取引であったとしても、情報を的確に伝え、相手に納得、理解してもらうことができれば、交渉を有利に運びやすくなります。
部下に効果的な指導、教育ができる
部下の教育、指導のため、時には厳しい言葉や強めの口調で接しなければならないケースもあるでしょう。
その際、アサーションを実践し、不快感を与えずに指導できれば、その効果を十分に発揮することも可能です。
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アサーションの鍛え方、実践のコツ
それでは、アサーションの鍛え方や実践のコツを見ていきましょう。
アサーションの書籍などで基礎知識を身につける
まず、実践に移る前に書籍などでアサーションに関する予備知識を身につけます。
おすすめの本としては、
- アサーションの第一人者、平木典子氏の『アサーション入門』
- 臨床心理士の土沼雅子氏による『アサーション・トレーニング』
などがあります。
実務で意識したり、One on Oneでロールプレイングしたりする
ある程度知識が身に付いたら、実務や日常において相手と接する際に、学んだことを少しずつ意識していきます。
相手とペアになりOne on Oneでロールプレイングするのも効果的でしょう。
DESC法
DESC法とは、
- Describe(描写、客観的に事実を伝える)
- Explanation(説明、自分の意見や感情を伝える)
- Suggest(提案、相手の求めているものを解決策として提案する)
- Choose(選択、提案の実行、不実行による結果を伝える)
の4つにアサーションスキルを体系的に分類することです。
あるシチュエーションを想定し、自分の主張を4段階で分析することで、アサーションを正確に実践できるようになります。
I(アイ)メッセージ
自分の意見や感情を言葉にして相手に伝える際、一人称の「私」を主語にして話す”Iメッセージ”もアサーションを鍛える上で効果的です。
「あなたの考え方は間違っている」と否定するのをやめるのです。
「私ならこうする。」
「私はこう思う。」
と伝える方が相手に不快感を与えず自分の主張を伝えることができます。
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アサーションのスキルを磨こう
ハイレベルなアサーションのスキルがあれば、様々な局面で有利になります。
不利な状況でも形勢逆転が狙えたり、ビジネスチャンスの拡大につながったりします。
少し意識するだけで相手に伝わる印象が大きく変わることもあります、
積極的に実践していきましょう。