「社員の満足度や幸福度、モチベーションをアップさせたい」
「社員間のコミュニケーションを円滑にして皆が協力し合う体制を作りたい」
「自分の事だけではなく、相手を思いやるようにしてほしい」
経営者の多くが、社員に対して、そのような想いを持っているはず。
そして、そのような想いを実現するための施策の施策の一つとして、社内通貨が注目を集めています。
今回は、そもそも社内通貨とは何なのか基礎を踏まえた上で、主な運用方法や制度を導入するにあたり気をつけるべきことを解説します。
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社内通貨とは
社内通貨とは、企業内限定で発行、使用可能な通貨のことです。
貯めたマイルやポイントに応じて、社員にとって嬉しいサービスや特典と交換できます。
ちなみに、「通貨」とは言うものの、現金ではありません。
専用のサービス上でポイントを付与するか、もしくは仮想通貨で付与することになります。
よって、付与条件や運用方法、特典は企業が独自で決めることが可能。
また、社員同士がお互いにポイントを送り合うこともできます。
そのため、社内コミュニケーション活性化のための効果的な手段としても注目されています。
社内で、業務で困っている人を助けたりした場合に、お礼として付与し合ったりするのが、主な使い方。
社内通貨システムを提供している会社の仕組みに乗るのが一般的です。
評価軸の一つとして導入することで、社員のやる気アップにもつながるでしょう。
主な事例
フュービック
ストレッチ専門店「Dr.Stretch」の運営を手がける株式会社フュービック。
社員の誕生日や、感謝を示す際に社員同士でメッセージを送り合うことができ、メッセージの文字数によってポイントを付与する仕組みを導入しています。
そのポイントは健康器具や食品など、社員の健康維持につながる各種アイテムと交換可能。
三菱UFJファイナンシャルグループ
そして、日本を代表する金融グループである、三菱UFJファイナンシャルグループ。
「OOIRI」と呼ばれる社内通貨を発行して、残業しなかった際や、1日1万歩歩いた際などにポイントを付与しています。
そのポイントは、主に近隣の飲食店で利用できるようです。
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社内通貨の主な運用方法
社内通貨は、様々な施策と組み合わせて導入することで、社員のエンゲージメントやモチベーションアップ、健康増進など、様々な目的を達成できます。
それでは、具体的な運用方法についていくつか見ていきましょう。
1、インセンティブの一つとして
最も一般的な運用方法はインセンティブの一つとして導入することです。
- 営業での成績優秀者
- ノルマ達成者
- 社内コンテストの受賞者
- 社会貢献に参加した人
このような社員を讃える意味で付与します。
ただ単に表彰したり褒めたりするよりも社内通貨を付け加えることによって社員のやる気をより引き出しやすくなるでしょう。
2、残業削減、健康経営の推進のため
社内通貨は残業の削減や健康経営の推進にも役に立ちます。
- 既定の残業時間を下回った者にポイントを付与する
- 万歩計の歩数や医療機関の受診回数に応じて付与する
といったルールで付与することで、残業削減や健康経営の推進になります。
3、社員同士の意思疎通の手段として
社員が行うのは、自分の仕事だけとは限りません。
- 誰かの仕事を手伝った
- 社内に学びを提供した
- プロジェクトで大きな貢献をした
といったシーンで、感謝を伝えたり、評価していることを表明したりするための手段としても活用できます。
その他にも、誕生日や出産などお祝い事の際にも社員同士がポイントを贈り合えるような仕組みを上手く作れば、社内のコミュニケーションが活性化するだけでなく、良好な人間関係の構築にもつながるでしょう。
4、特別な業務を担った際の報酬として
また、社員に個別の業務を依頼した際やその他何か緊急性を要するお願いをした際の報酬、謝礼としても社内通貨を活用できます。
- リファラル採用の実現に結び付けた
- 社内外での研修講師を行った
- 営業ではないのに取引先を紹介してくれた
といった場合に、付与するといった使い方もできます。
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社内通貨を導入する際の注意点
社内通貨を導入し上手く活用できれば企業や社員にとって多くのメリットがあります。
しかし、制度の導入にあたり、いくつか気をつけたい点もあります。
社内通貨導入の目的を明確にしておく
まず、
- なぜその制度を導入するのか
- 導入によってどんな課題や問題を解決したいのか
を目的を明確にしておく必要があります。
この点、深く考えずに導入に走る会社が多いのが実情ですが、非常に重要な点です。
社内通貨は給与の一部か、福利厚生か
また、
- 社内通貨をインセンティブとして給与の一部に含めるか
- 福利厚生の特典の一つとして含めるか
これは事前に明確にしなければなりません。
付与の仕方や、使用方法によっては、社内通貨も給与の一部であるとみなされてしまうからです。
給与の一部とみなされてしまうと、社会保険料や課税の対象となり、余計なコストが発生してしまいます。
関係悪化やコスト増の種にならないよう気を付ける
社内通貨での感謝の表明が当たり前になると、
「助けてあげたのに、あの人は社内通貨をくれなかった」
「あの人は、社内通貨をくれないから、助けてあげない」
「社内通貨が貰えない業務外の業務は、やる気が起きない」
なんてことにもなりかねません。
結局、何でも「カネ、カネ」ならぬ「社内通貨、社内通貨」になってしまい、インセンティブなしでは人が動かないようになってしまいかねません。
その結果、これまでは自発的にやってくれていたようなことも、コストをかけてやらねばならなくなったりもするのです。
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まとめ
社内通貨はどの企業にとっても、
- コミュニケーションの活性化
- 良好な人間関係の構築
- やる気アップ
などが期待できる、非常に汎用性のある施策の一つです。
しかし、うまく運用できないと、逆に不満に繋がったり、制度そのものが形骸化したりする恐れもあります。
更には、思わぬコスト増に繋がる恐れも。
導入する際には、運用のイメージをしっかりと持って導入するようにしましょう。