「フレームワークを使う人は、仕事ができる」と言われます。
書店をのぞけば、関連書籍が平積みにされているのを目にすることができるでしょう。
業種・業態問わず、ビジネスに携わる上で、理解を円滑に進めるために役に立つフレームワーク。
用途や目的を理解して使いこなすことで、思考や分析に必要な要素を抜け漏れ、重複なく網羅できます。
また、それらを社内の「共通言語」にすれば皆の理解がスムーズになるというメリットも。
ここでは、ビジネスパーソンなら知っておきたいフレームワークを9つ厳選してご紹介します。
環境分析に役立つフレームワーク
それでは、まずは事業環境を分析するフレームワークから見ていきましょう。
PEST分析
自社を取り巻き、常に変化し続ける外部環境。
PEST分析は、その中でも、特にマクロ環境による影響に注目したフレームワークです。
マクロ環境が、経営戦略や事業展開にどのような影響を与えるのかを把握、予測するために活用します。
PESTとは、
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Techonology(技術)
のそれぞれの頭文字を取ったもの。
「政治」は、政策や法令、条例等、時の政権や行政により規制or推進されるものを指します。
「経済」は、物価の動向や為替、金融政策、景気動向を指します。
「社会」は、少子高齢化等の社会の変化、価値観やライフスタイル、事業スタイルの変化、トレンドを指します。
「技術」は、最新のテクノロジー、技術動向の変化を指します。
上記のような要因を列挙して整理することで、事業にどのような影響が出るのかを見極めます。
【参考】PEST分析のフレームワークをUberEatsを事例に解説!
5Forces分析
PEST分析と同じく、自社の外部環境を見極めるための手法の一つです。
事業計画の策定やマーケティング戦略の立案に必要となる「業界環境」に特化しています。
PEST分析との関係で言うと、5Forces分析の方がやや狭い、特定の範囲・業界をカバーするフレームワークということになります。
これは、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏によって提唱された理論。
5Forcesとは、企業価値、収益性を決める5つの力学(Forces)という意味があります。
5つの要因は、
- 売り手の交渉力
- 買い手(顧客)の交渉力
- ライバル会社同士の競争
- 新規参入者の脅威
- 代替サービスの台頭
が含まれます。
これら5つの力が強ければ、それだけ自社にとってマイナスに働く要素が増えるということになります。
企業分析に役立つフレームワーク
それでは、外部環境から、特定の企業にフォーカスを当てたフレームワークを見ていきましょう。
3C分析
企業分析で最もポピュラーなフレームワークの一つと言えるかもしれません。
3Cとは、
- Customer(市場環境)
- Company(自社環境)
- Competitor(競争環境)
の頭文字を取ったもので、これらから成る、3つの「C」を見極める手法です。
市場、競合という外部環境に加え、自社、つまり内部環境を分析し、マーケティング戦略、経営戦略の立案に繋げます。
SWOT分析
外部環境を踏まえた自社の状況、内部環境の見極めの際に用いられる手法の一つです。
SWOTとは、
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
の頭文字を取ったものです。
これは、カナダの経営学者、ヘンリー・ミッツバーグ氏によって提唱された理論。
各要素の分析結果に基づき、リスクを最小限に抑えながらビジネスチャンスの獲得、リスク回避、妥当性の理解に繋げることが主な目的です。
また、「S」と「W」を横軸、「O」と「T」を縦軸に置き、それぞれ掛け合わせる「クロスSWOT」という手法もあります。
これにより、SWOT分析を発展させたより綿密で正確な分析ができます。
VRIO分析
市場における自社の強み、弱みを相対的に判断するための手法です。
VRIOとは、
- Value(経済的な価値)
- Rareness(希少性)
- Imitability(模倣可能性)
- Organization(組織)
これら4つの要素を指しています。
やり方は非常にシンプルで、それぞれの4つの項目に関してYES、NOで回答していきます。
【参考】「当社の強みは何?」に答えるVRIO分析の活用方法と事例
マーケティング戦略立案に役立つフレームワーク
それでは、マーケティング戦略立案に役立つフレームワークを見ていきましょう。
STP分析
販促戦略の立案に特化した分析方法の一つです。
- Segmentation(市場の細分化)
- Targeting(見込み客の厳選)
- Positioning(自社の立ち位置)
という3つのステップで進めていきます。
「S」は自社の商品やサービスのコンセプトや、販促することになる「市場」を細分化することです。
「T」は自社の商品、サービスを実際に市場出す前の段階で、それらを提供することになる顧客、消費者、ユーザーをあらかじめ厳選します。
「P」は、競合関係にある他社を比較、分析し、自社の優位性を見極めることです。
S→T→Pの順番で分析していくことで、自社がどの市場でどういう立ち位置を取るかを明確にできます。
【参考】STP分析とは?マーケティングでの頭を整理&一貫性を担保
4C分析
自社が提供するサービスや商品を、ユーザー視点から見極めるための手法です。
- Customer Value(顧客にとっての価値)
- Cost(顧客が費やすお金)
- Convenience(顧客にとっての利便性)
- Communication(顧客との意思疎通)
の4つにより、顧客に提供できる価値を具体的に見極めます。
マーケティングにおける非常に基礎的なフレームワークである「4P分析」から発展したものとされています。
【参考】4C分析のフレームワークをスターバックスを事例に解説!
計画・実行に役立つフレームワーク
PDCA
広く活用されているフレームワークの一つで、
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
これら4つの要素からなるフレームワーク。
雇用、事業戦略、集客、宣伝など、ビジネスに関するあらゆる業務や、社員それぞれの行動を分析、改善につなげるなど、非常に汎用性があります。
これは、ビジネスパーソンが持つべき常識の一つとも言えるでしょう。
SMARTモデル
事業における目標やゴールを決める際、その適性、妥当性を判断するために用いられます。
- Specific(明確か)
- Measurable(測定できるか)
- Achivable(達成できるか)
- Related(事業、経営そのものに関連しているか)
- Time-bound(期限が付いているか)
という5つの要素から成り立っています。
何をするにもまず目標設定が必要となります。
しかし、その中身が曖昧にならないよう、うやむやにさせないようにすべく、常に意識したい指標です。