環境意識の高まりを受けて、「モノを大事に使おう」という意識が高まっています。
そのような中で、改めて注目を集めているのが、レンタルビジネス。
シェアリングエコノミーのブームもあり、多くの人が注目している業態と言えるでしょう。
ここでは、今人気が再燃しているレンタルビジネスについて、その種類や開業のメリットを紹介します。
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レンタルビジネスとは?主な事例
レンタルビジネスとは、モノを販売して買い手に所有してもらうのではなく、所有権は貸し手に残したまま、物理的に渡したり、共有したりして使用させ、レンタル料として対価をもらうビジネスです。
「購入するのはハードルが高いけど、使いたい」
「頻繁に使うものではないため、使う時だけあればいい」
「そもそも所有にこだわらない」
という需要への対応に適しています。
レンタルビジネスが注目される理由
借りたい人は昔から存在し、また貸している人もいたため、レンタルビジネス自体は決して最近出てきた新事業ではありません。
日本国内においても、遡れば、江戸時代頃から書籍をレンタルするビジネスが存在していたのだそうです。
しかし、21世紀になって、アメリカでライドシェア、配車サービスの『Uber』やルームシェア、民泊サービスの『Airbnb』が注目されるようになり、遊休資産を活用する「シェアリングエコノミー」の一つとしてレンタルビジネスが再び注目されるようになりました。
これは、スマホを含むネット技術やインフラの発展が関係しており、その結果、一般の消費者の立場からでも気軽に貸し借りができるようになったという背景があります。
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レンタルビジネスの種類とそのメリット、デメリット
レンタルビジネスには、「CtoBtoC型」と呼ばれる、消費者が持っているものを他の消費者に使わせる仲介をして手数料を取るタイプと、「BtoC型」と呼ばれる、企業の所有物を一般ユーザーに貸し出すタイプがあります。
CtoBtoC型には、『Airbnb』、『Uber』、を始め、個人の「特技」を貸し出す『ココナラ』、いわゆるレンタルスペースの『スペースマーケット』、そして家事代行の『タスカジ』などが挙げられます。
一方、BtoC型には、自動車シェアリングの『タイムズカーシェア』を始め、その他、自転車や「エアクローゼット」という服のレンタルサービスがあります。
それでは、CtoBtoC型のメリットから見ていきましょう。
①商材在庫を持つ必要がない
レンタルビジネスにおけるネックになりがちな業務として、在庫の保管があります。
しかし、CtoBtoC型の場合、在庫は貸し手でもある消費者の手元にありますので、ほとんどの場合その必要はありません。
それを提供するためのシステムとプラットフォームさえあれば誰でも気軽に始められます。
②市場を独占しやすい
CtoBtoC型の場合、『Airbnb』、『Uber』など既存のサービスを利用して事業を始めるのも良いですが、独自のアイディアがあれば新たに新しい業種を生み出すことも可能です。
それが上手くいけば人も商材もどんどん集まるため、一度軌道に乗れば、他社が参入しにくい状況を作り出し、市場を独占することも可能なのです。
しかし、デメリットや、特有の難しさもあったりします。
③「ニワトリが先か卵が先か」状態に陥ることも
CtoBtoC型の一つの欠点として、「ニワトリが先か卵が先か」という状況に陥る難しさがあります。
「モノがなければ客が集まらない、客がなければモノが集まらない」ため、なかなか人が集まらないというのは、この手のビジネスを考えるにあたり、最大の難しさと言えるでしょう。
自前でも商材を先に確保するべきか、それとも集客から始めるべきか、それは実際に始めてみないとわからないこともあります。
ここは、一筋縄ではない工夫が必要となるところです。
④多額の広告宣伝費用がかかることも
また、独自のアイデアでビジネスを始める場合、シェアする商材を確保したり集客したりするための広告や宣伝に巨額のコストがかかってしまうこともあります。
万が一事業が上手くいかなかった場合、損失以外何も残らないという状況にも陥りかねません。
⑤品質管理が難しい
CtoBtoCの場合、消費者同士、いわば、素人同士で貸し借りをするのに近い状態になってしまいます。
そのため、価格設定や品質、使用の面で、トラブルになり易いということがあります。
劣悪なものに高い価格がついていたり、貸し出されたモノが元々ボロボロだったり、使用者がボロボロにして返却してしまったり。
リスクを減らす方法は様々な仕組みの導入により可能ですが、素人同士のビジネスを仲介するのは、なかなか難しいものです。
うまくハンドリングできないと、あなたのビジネスの悪評に繋がってしまうかもしれません。
それでは、次にBtoC型のメリットについて見ていきましょう。
⑥事業の見通しがつきやすい
BtoC型の場合、事業や組織の設立に際し、初期投資として、ある程度のまとまったお金と時間を費やすことになります。
しかし、需要の存在が確認でき、しっかりと体制を整えて始められれば、事業の見通しは比較的つきやすいでしょう。
貸し出すモノやサービスの品質コントロールも比較的容易と言えます。
それでは、デメリットについて見ていきましょう。
⑦事業拡大の際に多額の資金が必要になる
ビジネスが軌道に乗り、安定的に収益が得られるようになると、事業拡大を検討するようになるでしょう。
そうなると、BtoC型は、その際に、特に仕入れをするための投資として、多額の資金が必要となります。
レンタルする商材の在庫数を増やすため、そして新たに広告を打つためのコストが、事業運営に大きな負担となることもあります。
⑧競合他社が次々に現れることも
レンタルビジネスにおいては、商材の在庫数や人員、資金など経営資源の豊富さが事業の将来を左右するといっても過言ではありません。
たとえ革新的なアイディアがあったとしても、それらが乏しければ資金力が豊富な他社が次々と現れ、すぐに追い抜かれてしまうでしょう。
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まとめ
どんなサービスを提供するかにもよりますが、いずれにしろ洗練されたシステム、サービスでなければレンタルビジネスはなかなか成立しません。
また、商材を破損させたり酷い扱いをしたりするなど、質の悪いユーザーもいるため、ルール作りはもちろんのこと、商材の管理業務が負担になることもあります。
手間がかかりにくいうまい商材を見つけてやるのがレンタルビジネス経営の一つのコツではありますが、どちらにしろ開業にあたり多額の資金を必要とすることから、その調達手段に関してもあらかじめ検討しておきましょう。