言わなければ動かなかったり、言ったことしかやらない部下。
それ自体は、決して大きな害を直接的にもたらすわけではありません。
しかし、本人とっても組織にとっても良いことではありません。
これは、新しい問題のようで、実は、どこの組織でも起こっている古い問題でもあります。
多くの業界で問題視される「指示待ち社員」について、彼らのような人が生まれてしまう要因や対策を解説します。
指示待ち社員とは?
指示待ち社員とは、文字通り業務指示をするまで動かない、動けない社員や、主体性がなく、言われたことしかやらない社員を表す言葉です。
入社して間もなく、右も左も分からない若手社員に多い傾向があります。
しかし、勤続年数に関係なく、誰でも指示待ち社員になる可能性があります。
問題視されるワケ
昔は単純な作業に、たくさんの人手をかけて行う機会が多かったもの。
また、上司の指示通りに動いていればそれなりの評価をもらえた為、「指示待ち」することは決して珍しいことではありませんでした。
しかし、ITの発展もあり、経験の浅い若手社員でも単純な作業なら指示を待たなくても自主的に動けるようになった時代。
動こうと思えば動けるのに、動こうとしない指示待ち社員が問題視されるように。
社内問題の一つとして、幅広い業界で取り上げられるようになったのです。
指示待ち社員に見られる心理的傾向
もし自分の部下が指示待ち社員だった場合、頭ごなしに叱っても意味がありません。
指示待ちしてしまう人には、次のような心理的傾向が見られます。
まずはその原因を把握し、理解してあげることから始めましょう。
- 下手に動いてリスクを被りたくない
- そもそも仕事にやりがいを感じていない
- 無駄な労力を使いたくない、低燃費でいたい
- 会社における自分の役割を理解していない
- 自分(の出世や昇進)や会社(への貢献)に興味がない
もちろんこれら以外にもありますが、上記は、よくある原因です。
指示待ち社員が生まれる主な要因
部下や同僚が指示待ち社員になってしまうのは、もちろん本人の性格的な問題もあります。
しかし、周囲の人間や環境にも少なからず原因があるものです。
1. 完璧主義、高圧的な上司がいる
指示待ち社員が生まれてしまう要因の一が、完璧主義、高圧的な上司の存在です。
- 一切アドリブを認めず、評価もせず、言われたことだけをやることを求める
- 100%の成果が出せなかった時に頭ごなしに叱る
といった上司がいると、部下は萎縮して自主的に動くことを躊躇ってしまいます。
その結果、叱られたくないがために「言われたことしかやれない」となります。
2. マイクロマネジメントが常態化している
一つ一つの業務に対して過度に干渉する「マイクロマネジメント」も、部下が指示待ち社員になってしまう要因の一つです。
例えば、
- 仕事スケジュールや段取りを細かく指示し過ぎる
- 部下の意見や行動に口出しばかりしていたりする
と、いったことがあると、「自ら学ぼう」「動こう」とする意欲が削がれます。
3. 若手の士気が下がる問題が社内にある
多くの職場でよくみられる、偉そうに指示だけして、自分は何もせず、高い給料だけをもらっている「働かないおじさん・おばさん」。
彼らのような存在も、若手の士気を下げ、指示待ち社員に誘う大きな要因です。
頑張って働いて成果を出してもその努力が報われず、上の人しか美味しい思いをできない。
そのような組織においては、指示待ち社員が生まれてしまうのはごく自然のことです。
4. 評価制度が減点主義
自分から主体的に何かをしても、高く評価される仕組みがそもそもないこともあります。
一方で、ミスや失敗をした際に減点されるような評価制度が社内にある場合。
このようなケースも、指示待ち社員が生まれてしまいます。
評価制度が減点主義の場合、失敗を恐れて部下の主体性が失われるだけでなく、パフォーマンスにもマイナスの影響が出るかもしれません。
【参考】マイクロマネジメントとは?部下が無能化する危険性と対策
指示待ち社員を生み出さないための対策
社内で指示待ち社員が次から次へと生まれるのを防ぐためにも、次の対策を講じることを検討しましょう。
1. 過度なマイクロマネジメントを避ける
まず一つ目の対策として、マイクロマネジメントを極力控えることが挙げられます。
部下の働きぶりに対して心配や不安があるかもしれません。
しかし、全く信用せず細かく口出しばかりしていると、指示待ち社員になるだけでなく、部下の成長にも悪影響を及ぼします。
「失敗してもフォローしてあげる」くらいの度量を持ちましょう。
そして、ある程度の裁量を持たせながら、適度な距離を保って接しましょう。
2. 小さくても良いので、数字を任せる
部下に対して何かしらの数値目標を持たせて、それを達成させたり、改善させるためのタスクを与えるたりするのも、指示待ちを防ぐための対策として効果的です。
ヒントや、ちょっとした予算、助け舟を出すことは当然OK。
数字を任せ、基本的に自分で考え行動する経験をさせてあげます。
そうすると、否が応でも自主性や主体性を鍛えられ、部下の成長にも繋がるでしょう。
指示待ち社員を作らないように
元々やる気がない、成長意欲がないなど、指示待ち社員になるのは個人の問題もあります。
しかし、社内環境や周囲の人間など、環境的な要因も決して無視はできません。
部下の良き手本となることはもちろん、自主的に動きやすい環境を整えたり、正当に評価される仕組みを作ったりすることも上司の勤めです。