企業における社員の研修は、人材の育成や必要スキルの取得のために大切。
しかし、当然ですが、ただやれば良いというわけではありません。
今回は、より有意義に人材の育成が見込めるとして注目を集めるインバスケット研修について、基本的なルールややり方、研修で身に付くスキルについて紹介します。
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インバスケット研修とは?
インバスケット研修とは、ビジネスシーンにおいて、将来就くことになるかもしれない役職やポジションの人物になりきり、業務上起こり得る案件やタスクを適切に処理していくロールプレイング演習です。
元々はアメリカ空軍の訓練施設において訓練の評価測定のために用いられていた研修手法。
近年では業種、業界問わずあらゆる企業でインバスケット研修が実施されているとのこと。
ビジネスパーソンに必要なスキルが効率的に身に付くとして注目を集めているのです。
インバスケット研修のルールとやり方
インバスケット研修自体は、非常にシンプルな内容。
特別な設備や準備も必要ありません。
まず、研修の参加者がその職場において将来就くことになるであろうポジションや役職を設定します。
次に、そのポジションや役職の人物の実務を想定し、具体的な業務や仕事内容をタスクとして参加者に課します。
そして、制限時間を設けて、そのタスクを処理させます。
ロールプレイングが終了したら、その内容を評価し参加者にフィードバックします。
ここまでが、インバスケット研修の基本的な流れとなります。
研修のポイントとしては、何よりもまず参加者に役になりきってもらうことが大切。
そのため、実際にロールプレイングを始める前にその「役」が、実務においてどんな役割を担っているのか、どんな業務を行っているのかを理解してもらう必要があります。
評価に関しては、実際にタスクを解決できたかどうかという点ももちろん重要。
しかし、なぜそのような結果に至ったのか、判断のプロセスにも目を向け、しっかりとフィードバックしてあげましょう。
インバスケット研修で身に付くスキル
インバスケット研修では、主に次のようなスキルが身に付きます。
1、多角的な視点から物事を考える力
研修では、多角的な視点から物事を考える力が身に付きます。
これまでに経験したことのない役職やポジションの人になりきって、与えられるタスクをこなしていくのです。
それにより、「もし自分がこの立場だったら」といったシミュレーションができます。
社員同士の相互理解にもつながるでしょう。
2、素早く問題に対処する力
インバスケット研修では、タスクに取り組むための制限時間が設けられます。オンボーディングとは?OJTとの違いや導入するメリットは
限られた時間の中で異なるタスクをこなしていくことで、現在直面している問題に素早く対処する力が養われます。
その力は、実務でも必ず役に立つものです。
3、優先順位の高いタスクを見極めて処理していく力
実務において、複数の案件を一度に任されることはよくあることです。
その場合、タスクごとの優先度を見極めて、優先度が高いものから捌いていくことがビジネスパーソンには求められます。
研修ではこのようなシーンを想定してタスクを捌いていくことになります。
そのため、優先度の高いものを見極めて処理していく力が身に付き、フィードバックを通して、自分自身の傾向も知ることができます。
インバスケット研修のメリット
会社で行われる一般的な研修と異なり、インバスケット研修には次のメリットがあります。
参加者が主体的に参加できる
1番のメリットは、参加者が主体的に研修に参加できることです。
ただスライドを見たり、研修講師の話を聞いたりするだけの研修とは異なります。
インバスケット研修は何よりも参加者の主体性が重視されるもの。
そのため、適切に実施すれば、無意味な研修には決してなりません。
実践的なスキルが身に付く
実務で役立つ実践的なスキルが効率的に身に付くのもインバスケット研修の魅力の一つ。
もちろん、OJTのように、実務を通して仕事を覚えさせるという方法もあります。
しかし、研修という形にすることで、参加者はある程度肩の力を抜いて、ゲーム感覚で楽しみながら必要なスキルを身に付けられます。
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インバスケット研修を活用しよう
労働力不足によって採用競争が激化する昨今。
いかにして限られた人材を戦力として育成できるかという課題が今、企業に課されています。
その解決策としてインバスケット研修は非常に効果的な施策。
教材を作るなどのコストや手間も少なくて済みます。
また、レクチャー型の研修と比べてインバスケット研修は参加者一人一人が自然と主体的に参加するのもメリット。
そして、集中力やモチベーションが高く保たれやすいと言うメリットもあります。
上手く取り入れて、組織を強くしていきましょう。