休みが多い会社は従業員フレンドリーで、逆に少ない会社はハードなブラック企業。
なんとなくそう思っている人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
今回は、会社選びの際に知っておきたい年間休日の基礎知識を踏まえた上で、その考え方や計算式について解説していきます。
年間休日とは?
年間休日について、労働基準法の第35条では、使用者(会社)が労働者に対して週1回、もしくは4週間に4回の休日を与えることが義務付けられています。
これが一般的に言われる「法定休日」というもの。
年間休日は、1年間の法定休日の合計を意味します。
注意点として、有給休暇は年間休日に含まれません。
会社が設けるべき年間休日の最低ラインは?
もちろん、会社によって年間休日の数は異なります。
しかし、「週1回、もしくは4週間に4回」というルールに基づいて考えると、会社が設けるべき年間休日の最低ラインは次のように求められます。
例えば、法定労働時間をフルに使って1日8時間、週40時間働く場合、
- 1年間の総労働時間=2080時間(52週(1年間)×40時間/週)
- 1年間の最大働日数=260日(2080時間÷8時間)
となります。
つまり、年間休日の最低ラインは365日(1年)から最大労働日数260日を引いた数。
よって、最低ラインは、「105日」となるのです。
しかし、実際には土日の休みに加えて、祝日やお盆、年末年始、GWなども休日になります。
ゆえに、平均的な年間休日の数は、およそ120日になるのです。
年間休日が最低ラインを下回っている?
就活や転職の際、年間休日数を会社選びの基準の一つとして見ることがあります。
しかし、
- 年間休日が多い会社=労働者に優しい会社
- 最低ラインよりも下回っている、平均よりも少ない会社=労働者に厳しい会社、法律に違反しているブラック企業
であると、簡単に断定することはできません。
と言うのも、次に当てはまる場合には、健全な企業でも年間休日が合法的に最低ラインを下回ることがあるためです。
1. 労働時間が少ない場合
最近では、時短勤務制を導入する企業も増えてきています。
よって、1日の労働時間が少ない企業では、合法的に年間休日数が最低ラインを下回ることがあります。
例えば、1日6時間勤務、完全週休1日の企業の場合、年間休日は52日となります。
すると、上で述べた「最低ライン」を大幅に下回ることになりますが、労働基準法35条と法定労働時間を定める36条の内容には抵触しません。
よって、「合法」となるです。
2. 36協定を結んでいる
36協定(さぶろくきょうてい)とは、時間外、休日労働に関する取り決めのこと。
法定労働時間を超えて働かせる場合や、休日労働をさせる場合に、会社と労働者が事前に締結する協定のことです。
この36協定が締結されている場合、時間外労働の上限を月45時間まで、年360時間まで引き上げることが認められます。
この範囲内であれば、休日数が少なくなっても違法とはならないのです。
3. 特殊な労働形態を採用している
特殊な労働形態を採用している場合、労働基準法における年間休日の取り決めの適用外となります。
よって、年間休日は最低ラインを大幅に下回るケースも出て来ます。
例えば、タクシー業界やホテル業界でよくある変則労働制(繁忙期に集中して働いて、閑散期にまとめて休みを取る)。
その他の業界で見られる、フレックスタイム制、裁量労働制などが該当します。
【参考】フレックスタイム制とは?メリットとデメリットを解説!
年間休日は一つの目安程度に
「年間休日」が少ないからといって、必ずしもブラックとは限りません。
- そもそもの労働時間が短い場合
- 36協定を結んでいる場合
- 特殊な労働形態を採用している場合
これらの場合には、合法的に年間休日の最低ラインを下回ることがあるのです。
休日が少なくても、健全な企業はたくさんあります。
会社選びをする際に、一つの基準にして検討することは全然アリ。
しかし、それだけで会社の善し悪しを判断することはできません。
他にも、
- どのような賃金体制になっているのか
- トータルでの労働時間はどれくらいなのか
- 残業代はしっかり支払われるのか
といった、他にも重要な要素はたくさんあります。
欠かさずにチェックした上で検討しましょう。