コスパ最強の採用方法として注目を集めるリファラル採用。
優秀な人材の獲得のための有効な策であることは確かです。
しかし、ただ制度を作るだけではなかなか成果に繋がりません。
制度そのものを活発化させていくためには、工夫しながら進める必要があるのです。
【参考】リファラル採用とは?手数料ゼロ施策の魅力4つと注意点3つ
リファラル採用は形骸化しやすい?
社員の友人や知人など、「伝(ツテ)」を使って会社が必要な人材を効率よく獲得する、リファラル採用。
採用活動の一環として導入する企業が増えてきています。
リファラル採用が注目されるようになった背景には、
- 売り手市場による人材不足の深刻化
- 入社後のミスマッチによる早期退職
などネガティブな問題があると言われます。
また、求人を出して人材を募集したり、人材紹介会社を利用したりするよりも、採用コストを大幅に抑えることができ、コスパが良いというメリットもあります。
しかし、実際に制度を設けてみたは良いものの、
- そもそも人脈が広い社員がいない
- いても採用までの体制が社内で十分に整っていない
といった理由で、結局形骸化してしまうケースも後を絶ちません。
【参考】縁故採用とは?よくある業界やメリット、デメリットをご紹介
リファラル採用を活発化させるための取り組み
それでは、リファラル採用を導入し、活発に運用していくために必要な取り組みの例をいくつか見ていきましょう。
欲しい人材に関する情報の共有、周知の徹底
リファラル採用は、社員の知り合いなら誰でも歓迎というわけではありません。
当然、スキルや実績など、会社側が求める人材要件に沿っている必要があります。
そのためには、具体的にどんなスキルや実績を持った人材が必要なのかを社員と共有し、周知を図らなければなりません。
実際にリファラル採用をスタートさせた後で、あまり動きが見られないようであれば、要件を見直したり、再度確認し合ったりすることも重要です。
社員への積極的な声かけ、進捗状況の把握
社員が良い人材を見つけても、その人材が実際に自社に入社してくれるかは分かりません。
また、実際に入社に辿り着くまでには、多くの時間を要することになるでしょう。
というのも、紹介される人は、転職したいという希望を持っているかどうか分かりません。
また、転職を決めたとしても、現在勤めている会社をすぐに辞められるわけではありません。
インセンティブの設置
十分な報酬、インセンティブを用意することも、リファラル採用を活発化させる上で欠かせない取り組みの一つです。
社員が相応しい人材を探したり、実際にアプローチし、採用担当者との接見の場をセッティングしたりするまでには、多くの労力を費やすことになります。
当然、無償ではなかなか人は動いてくれないでしょう。
場合によっては、プライベートの時間を削ることもあるかもしれません。
よって、無事、採用となった際の成功報酬を含め、相応のインセンティブは必須でしょう。
実際、筆者が昔勤めていた会社にもインセンティブの制度はありましたが、インセンティブは、「30万円」でした。
そして、人を誘うための食事の費用にも補助がありました。(1回1人5000円まで)
採用を見送りたい場合の社員への配慮
万が一、選考において候補者の採用が見送りになった場合、その候補者を紹介してくれた社員と気まずい関係になってしまうことはリファラル採用においてよくあることです。
その社員に対して、十分な配慮をしなければなりません。
そうでなければ、紹介してくれた社員の会社に対する不信感が高まり、辞められてしまうこともあります。
具体的にどんな配慮をするのかは会社次第。
例を挙げるとすると、
- いきなり選考に案内するのではなく、最初はカジュアル面談にする
- ミートアップやインターンのような機会を設けて、それに参加してもらう
といった形で、まずは会ってみて、「違うな」と思ったら、ふんわりとそれを仄めかし、応募に進まないように仕向ける、という方法もあります。
リファラル採用を実施する際の注意点
リファラル採用を実施するにあたって、次の2つのポイントを留意しておく必要があります。
「知人を誘いたい」と思われる会社になる
そもそも、いくら制度を設けたところで、会社が魅力的でなければ人は来ません。
まずは自社の従業員が「自分の会社は素晴らしい」と思っていなければ、知人に声をかけようとは思ってくれないのです。
かつて、「従業員がどんどん辞めてる会社」でリファラル採用をしているのを見たことがありました。
社長は、人を補充しようにも、求人広告やエージェントでは費用が掛かり過ぎるので、リファラル採用に頼ろうとしたようです。
そして、社員に発破をかけていたものの、社員にはそっぽを向かれ、効果はありませんでした。
社員の母数が少ないと集まる人材に偏りが生じやすい
リファラル採用は、効率的に必要な人材を集めるための画期的な施策であることは確か。
しかし、社員の数が少ない、小規模な会社の場合、集まる人材に偏りが生じやすいというデメリットもあります。
人材は集まったものの、社内に派閥が生まれ、社員同士の関係が悪くなる、といった事態も十分に想定できます。
プレッシャーをかけたりノルマにしたりしない
「人をリファラル採用で連れてくる」ということをノルマにしてはいけません。
そうすると、「誰でもいいから連れてこい」となりかねません。
また、ノルマにされた当の本人のモチベーションが下がってしまいます。
【参考】スクラム採用とは?一丸となって採用に取組み成功を勝ち取る
リファラル採用を上手く活用しよう
リファラル採用は、結局はご縁です。
相応しい人材に運よく繋がれても、入社に結びつけるのはなかなか難しいでしょう。
また、不採用時に紹介者へのフォローが不十分だったり、ミスマッチな人材を連れてきてしまった社員に対して不当な待遇をしたりすると、リファラル採用活動は停滞してしまいます。
十分に注意した上で進めていきましょう。