ヘッドハンティングという言葉は昔からあり、その意味は多くの人が知っています。
しかし、具体的に何をするかや、近年の動向は知らないという方が多いでしょう。
また、最近は、スカウトによる転職も隆盛を極めています。
将来的に引き抜きによる転職を目指している方のために、その種類や基本的な仕組み、オファーを受ける際の注意点を解説します。
ヘッドハンティングとは?
ヘッドハンティングとは、会社にとって必要な、重要度の高い人材を、募集広告を出す形ではなく、狙いを定めてアプローチし、引き抜いてくることを意味します。
- 「この人いいな」
- 「こんな人材が欲しい!」
と思った人に、会社の関係者が直接的にオファーするケースもあります。
しかし実際は、転職エージェントなど、ヘッドハンティングの専門業者を介して対象となる人材にアプローチを掛けることが多いでしょう。
ヘッドハンティングの種類、仕組み
ヘッドハンティングの専門業者には大きく分けて登録型と非登録型の2種類があります。
いずれも目的は同じですが、アプローチに至るまでの過程がそれぞれ異なります。
登録型
まず、登録型は、転職サイトや転職エージェントなどのサービスを展開しています。
そして、そのサイトに登録している求職者と、企業のマッチングの仲介を担います。
有名どころでいうと、ビズリーチなどがそれに該当します。
非登録型
一方、非登録型は、クライアント企業からのオーダーを受けて対象者を調査し、アプローチをかけるタイプです。
非登録型のヘッドハンティング業者の場合、各種メディアや、イベント、SNS、知り合いの情報など、あらゆるルートを使って対象者の情報を仕入れることになります。
誰を対象にするかは、クライアントのオーダー次第。
よって、そもそも転職を希望していない人や転職サイトに登録していない人にもオファーの声が掛かることもあるのです。
アプローチの手段
非登録型において、ヘッドハンターが対象者にアプローチを掛ける際、
- 本人に直接メール送る
- 対象者が勤める会社に電話する
- SNSでDMを送る
のいずれかの手段を取ります。
本人に直接メール送る
この場合、対象者のビジネス用メールアドレスにメールを送るのが一般的。
ヘッドハンターは、どこかしらで、対象者の「名刺」を入手しているものです。
そして、高待遇の案件をチラつかせて、面談をセットしようとしてきます。
対象者が勤める会社に電話する
ヘッドハンターであることを伏せた状態で、会社や会社の携帯電話に電話してくることもあります。
これも、入手した名刺の電話番号宛で電話してきます。
そして、対面の場を設けようと試みてきます。
SNSでDMを送る
今の時代、これが主流かもしれません。
これは、ビジネス専門のSNSである、Linkedinを使うケースが大半。
Linkedinは、アメリカで誕生したビジネス用のSNSです。
本名で登録し、同僚やクライアントなどビジネス上で関わりのある人同士がフォローしあったり、コンタクトをとったりして繋がるためのツールです。
現在は、Microsoftに買収され、同社の子会社になっています。
この、Linkedin、ヘッドハンターの狩場となっているのが実情。
登録者も、ヘッドハンターからの声掛けを待っていますと言わんばかりに、自分の経歴を詳細に記載していたりします。
海外では、「転職活動と言えばLinkedin!」、という国もあるくらいです。
日本国内でも徐々に浸透してきており、採用活動のためのツールとしても用いられています。
【参考】役職定年制とは?役職任期制との違いやメリット・デメリット
ヘッドハンティングされるための3つの条件
以前よりもヘッドハンティングによる転職、採用は身近なものになりつつあります。
しかし、言うまでもなく、誰もがその対象になるわけではありません。
ヘッドハンティングされるためには、次の3つを条件としてクリアするのが望ましいでしょう。
1、現職で高いポジションに就いている
そもそも、ヘッドハンティングで声をかけられるのは、経営に直接携わっていたり、高度な専門的能力があったりして、即戦力として事業の中核を担える人材のみです。
今、どんな会社で、どんな役割を担っているかは、能力を判断するための重要な要素。
ゆえに、今現在、それなりのポジションに就いていなければ、まず声はかかりません。
2、際立った実績やスキルがある
際立った実績やスキルを持っていることも、ヘッドハンティングされるための絶対条件の一つです。
一口に実績、スキルと言っても、ピンからキリまであります。
他の人が持っていないようなインパクトのある実績やエピソード、最先端分野での知見など、希少性、将来性のあるスキルが求められます。
3、対外活動をしている、露出が多い
どんなに優れた実績やスキルがあっても、ヘッドハンターにその情報が届かなければ、なかなかオファーは来ないでしょう。
- セミナーや講演会などに登壇する
- 業界関係者が集まるイベントに参加して講演する
等々、自身のことを社外にアピールするための活動を日頃から積極的に行っている必要があるのです。
ヘッドハンティングを受ける際の注意点
キャリア志向の強いビジネスパーソンにとって、ヘッドハンティグによる引き抜きほど、光栄な出来事はありません。
しかし、オファーが来たからと言って、すぐに舞い上がるのは禁物です。
スカウトを受けた=即採用とは限らない
まず、スカウトを受けたからと言って即採用になる保証はありません。
大抵の場合、面談を受けてから条件交渉が進むことになります。
もちろん、一般的な選考ルートより内定率が高いのは確かです。
しかし、採用する企業との相性もありますし、100%ではありません。
引き抜きによる会社とのトラブル
内定を正式に貰えた場合でも、退職に伴い、現在勤めている会社とのトラブルに発展することがあります。
これは、引き抜きによる転職でよくあることです。
特に転職先がライバル会社だったり、同業者だったりする場合には、就業規則に抵触する可能性もあるので注意が必要です。
入社後のミスマッチ
無事、ヘッドハンティングされた会社に入社できても、
- 待遇に見合ったパフォーマンスを発揮できない
- 実際働いてみると相性がよくない
といったことは起こり得ます。
その場合、再び方向転換をするには、大きな労力が必要です。
ヘッドハンティングが来たら
中には、人材紹介会社からの単なる営業や、悪質な業者が紛れ込んでいたりもします。
引き抜きのオファーがあったからといって、舞い上がらないように心したいものです。
スカウトしてきた相手や推薦されようとしている会社との適性をしっかり見極めた上で判断しましょう。