満員電車、嫌だなぁ、通勤時間ズラせないかなぁ。
朝、役所に書類を出しに行かないと。
会社に行く前にちょっと病院に寄っていきたい。
今日はどうしても夕方ちょっと早く会社出たいんだよね。
社会人として組織に属して働いていると、抱えがちな悩み。
私生活で色々とありつつも、出退社時間がガッチリ決められていると、なかなか身動きとり辛かったりしますよね。
そんな中、働き方改革やコロナの影響もあって、フレックスタイム制、に注目が集まっています。
満員電車を避けることが出来れば、密を回避できて、コロナ感染のリスクが下がる、というのも理由の一つ。
そこで、ここでは今注目を集めている働き方の一つである「フレックスタイム制」について、導入のメリット・デメリットや手順を紹介します。
【参考】フレックスタイム制とは?注意点を含めて概要をざっくり解説
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、従業員が日々の始業・終業時刻を各々の裁量で決定し働くための制度です。
通勤ラッシュ、密集の回避を避けられことから、コロナ禍に相応しい働き方として注目を集めています。
勤務時間の中で、出社しなければならないコアタイムを設定し、それ以外の時間は自分の裁量で勤務時間を決めても良い、という働き方です。
例えば、1日8時間労働で、コアタイムが11時から16時(4時間勤務)までだったとすると、残りの4時間については自由な時間に働いても良いという仕組みです。
【参考】長時間労働の定義や法的な規定は?放置するとリスクや弊害も
フレックスタイム制のメリット・デメリット
フレックスタイム制にはメリットも多いですが、良いことづくめでもありません。
ここではフレックスタイム制を導入するメリット、またデメリットや注意点を見ていきましょう。
メリット
①従業員の採用・定着が楽になる
まず、一番大きなメリットは働きやすくなることで、従業員の定着率が上がり、離職率を抑えられることです。
通勤ラッシュのイライラを避け、各々のライフスタイルにあった働き方ができれば、仕事へのモチベーションが向上します。
また、企業に対する信頼や、貢献しようという気持ちにつながるでしょう。
その結果、企業側も従業員の満足度の向上や雇用の継続につながります。
そして、人の入れ替えが減る分、採用コストも抑えられるため、双方にとってメリットがあるといえます。
②無駄な労働時間とコストを減らせる
また、フレックスタイム制を導入することで残業代や運営費用など、無駄なコストの削減にもつながります。
働き方の変革に伴い、従来のように無意味にダラダラと会社にいれば残業代が稼げるという仕組みも同時に変えられれば、無駄を減らしつつ、社内の生産性を上げることも可能です。
③優秀な人材の育成に繋がる
フレックスタイム制は、従業員が自らスケジュールやタスクを設定し事業に取り組むための自主性を尊重する取り組みでもあります。
導入後すぐに馴染むことは難しいですが、徐々に慣れていくことで、上司の指示をただ待つのではなく、自主的に仕事に従事する、自己管理をするためのスキルが向上します。
一方で、仕事をしていない人は、仕事をしていないことが浮き彫りになり易い仕組みでもあります。
結果的に、企業側は優秀な人材の育成、そして確保につなげられるのです。
デメリット
①会議など、時間調整の難易度が上がる
フレックスタイム制の一番の難点は、緊急会議や招集など従来の働き方においてできた一部の業務が困難になる可能性があることです。
早朝や夕方に緊急会議を行う必要がある場合、「必要な人がいない!」「移動中で、リモートでも参加できない!」なんてことが起こり得ます。
よって、会議や打ち合わせ、外部の取引先との面会や連携などはあらかじめスケジュールを立てておかなければなりません。
また、窓口業務や営業、電話対応、その他顧客や取引先との面会を必要とする業務、部署などはそもそも適さない場合もあります。
②従業員の管理の難易度が上がる
規模が大きい企業でフレックスタイムを導入する場合には、従業員一人一人のスケジュール等の管理、統率を取らなければいけません。
いつ、誰が、どの時間に出社しているのかが把握できないと意思の疎通も困難になる可能性があり、思わぬミスやトラブルにつながることもあります。
そのような状況を避けるためにも、体制づくりや従業員の管理、統率を測るために多くのコストと手間を費やすケースもあるため注意しましょう。
【参考】週休3日制とは?導入する上での注意点と成功させるポイント
フレックスタイム制を導入する際のプロセス
それではフレックスタイム制を実際に導入する際の具体的な手順やプロセスを見ていきましょう。
①目的の明確化
フレックスタイム制は近年注目を集めている働き方の一つですが、深く考えておかないと高確率で失敗するとみて良いでしょう。
よく考えずに導入してしまうと、組織や統制が崩れるリスクもあります。
生産性の向上のため、従業員の満足度を上げるためなど、まずは導入の目的をはっきりさせておきます。
②コアタイム、フレキシブルタイムの設定
制度の根幹を成す部分として、社内におけるコアタイムとフレキシブルタイムを設定します。
コアタイムとは、会議や打ち合わせ等を見据えて、社員が必ず出勤していなければならない時間帯を指します。
一方でフレキシブルタイムとは、社員が自由に出社の有無を判断して良い時間帯です。
会社の方針によりますが、基本的にコアタイムは4時間前後とし、双方のバランスを保てるように設定していきます。
コアタイムを設定しないものは、「フルフレックス」と呼ばれます。
③導入部署の選定、ルール作り
次に、実際に導入する部署や部門の選定、ルール決めをします。
上でも述べたように、全ての職種で適用可能なものではありません。
どの部署や社員を対象に実施するのか、またコアタイム、フレキシブルタイムの時間帯の取り決めなど、ガイドライン等を作成し社内全体で共有します。
誰がどれだけ働いたのか、ある程度自己申告に頼る部分になるところも出てきますが、どのようにして信憑性を担保するのか、仕組みの導入についても考えなければなりません。
④労使協定の締結
ルール決めやガイドラインができたら、その内容をもとに従業員と労使協定を締結する必要があります。
その際には必ず、就業規則における規定として、「始業及び就業の時刻を従業員の決定に委ねる」という旨の文言の記載をはじめ、休憩時間の取り方などその他全体的な規則も含めるようにします。
⑤労働状況の把握、評価、改善
フレックスタイム制の意義を十分に発揮させるためには、社員の勤務状況や成果の評価を継続的に行っていく必要があります。
従業員の意見を聞いてデータやフィードバックをまとめ、問題点や不満点、改善点がある場合には再度制度を見直します。
導入して終わり、ではなく、導入した結果どうなったのか、改善すべき点がないかどうか、ウォッチし続けることが重要になるでしょう。
【参考】時間の見積もりスキルを高めるには?Toggl Trackの活用法
まとめ
フレックスタイム制を導入する際には企業側、従業員側に必ずメリットが生じる仕組みづくりする必要があります。
必ず双方の理解を確認した上で導入のための体制を整えていきましょう。
厚生労働省が導入の手引きも作成しています。