学生や企業にとって、就職の節目でもある、内定の承諾。
これは、入社する予定の学生が自分で決めるもの、という時代は終わりを迎えました。
今の時代、当該学生の「親」も巻き込む形で行われるケースが増えてきています。
今回は、採用活動の一環として行われるようになった「オヤカク」の概要や、それに対する効果的な施策について紹介します。
オヤカクとは
「オヤカク」とは、「親に確認を取る」を略した言葉です。
主に新卒採用の場面で、企業が、内定を出した学生の親に対し、そのまま手続きを進めても問題がないか確認したり、入社の承諾を得たりすることを意味します。
そもそもの大前提として、内定者は立派な成人です。
ゆえに、親に承諾を取る必要性について、巷で議論されることもあります。
しかし、企業にとっては、無視できない社会現象の一つ。
オヤカクをせずに、内定者の入社手続きを進めてしまったがゆえに、親からクレームが来たり、内定辞退されたりするケースもあるのです。
実際、採用情報の提供サービスを行う株式会社ネオキャリアが実施したある調査によると、
「26.4%の内定者の親が、企業に対して何かしらの情報提供を求めている」
というデータもあるようです。
オヤカクの施策例
単に、内定者の親に対し、書面や口頭で了承を得ることもオヤカク一つの形。
しかし、それだけでは不十分なケースもあります。
「オヤカク」を無難に進めるためにどうすれば良いのか。
以下、具体的なオヤカクの施策例について、いくつか見ていきましょう。
1. 会社情報資料の送付
オヤカクの取り組みとして、比較的低コストですぐに実施できるのがパンフレットなどの会社情報資料の送付です。
- 会社の基本的な情報
- 事業内容や経営理念
- 社員の福利厚生やキャリアパス
など、内定者の親が安心できる情報を盛り込むと良いでしょう。
必ずしも、親のために新たに作成する必要はありません。
内定者や応募者に配布する資料にその手の情報を含めるという方法もあります。
2. 企業製品の配布
企業が実際に製造、販売している製品のサンプルを配布するのも一つの手段。
それなりに手間やコストはかかるかもしれません。
しかし、自分の子が実際にどんな事業に携わるのかを知ってもらうためには効果的です。
「モノ」ではなく、サービスの提供をする企業の場合には、親向けに説明会や体験会などを開催するのも良いでしょう。
3. 内定理由通知書、同意書の送付
オヤカクのために歳出できるコストが限られている場合、
どのような部分を評価して採用したのかを通知する内定理由通知書
子の内定に同意してもらえるか率直な意見を聞くための同意書
を送付するだけでも、一定の効果があります。
オヤカクする際の注意点
内定後のトラブルを未然に防ぐためにも、オヤカクは重要な取り組みと言えます。
しかし、いくつか注意すべき点もあります。
1. オヤカクの前に内定者の同意を得て、趣旨や目的を説明する
当然ですが、内定者の中には、
- 親に知られたくない
- 親に意見されたくない
といった事情を抱えた内定者もいます。
何も知らされないまま、勝手にオヤカクすると、企業への不信感にも繋がりかねません。
「自分を子ども扱いしている」
と感じる内定者も、当然ながらいるためです。
オヤカクを行う場合、まずは本人にその趣旨や目的を説明して同意を得ておきましょう。
2. 過度なオヤカクは控える
いくらオヤカクが求められるとは言え、過度な干渉は厳禁です。
例えば、
- 親に直接会いに行く
- 親に書類を送るのと同時に手土産を送る
などは、やり過ぎと言えるかもしれません。
手厚い配慮をしようとすると、それだけ手間もコストもかかります。
【参考】SNSを採用活動に?安易な活用は危険?ポイントや注意点は
オヤカクを無難に乗り切ろう
人材不足の時代。
新卒を1人採用するのも、企業にとっては一苦労でしょう。
そのような中、親が障壁になって内定者に辞退されてしまうようなことは、企業としては何としても避けたい事態。
オヤカクはそもそも必要ない、無駄だ、そんな人間は来なくていい、と割り切ってしまうと、優秀な人材を他者に取られてしまうこともあるでしょう。
そんな中、オヤカクその必要性は、年々増していくとみられています。
無難に、乗り切っていきましょう。