リモートワークが普及し、オフィスのあり方が見直されるようになりました。
- 「そもそもオフィスは必要なのか」
- 「わざわざ出社して仕事をする必要があるのか」
ということも、度々議論されるようになっています。
実際、世界中で、オフィステナントの入居率は大幅に下落しているのだとか。
そして、ほぼ出社する必要のない「フルリモート」の導入も進んでいます。
今回は、新しい働き方として注目されている「フルリモート」について詳しく解説していきます。
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フルリモートとは?
従来よりある、「社員は会社に出社して働く」という概念を一新した働き方である「フルリモート」。
オフィスに出社せず、自宅やサテライトオフィスで、必要に応じて社内外と連携を取りながら働く働き方を指します。
もちろん、フルリモートとは、あくまでリモートワークを勤務形態のベースにすること。
決して、出社勤務を認めない、というものではありません。
そして、フルリモートを導入している企業の中には、固定のオフィスをなくし、レンタルオフィスなどを必要に応じて利用するなど、そのスタイルも様々です。
しかし、注目を集めてはいるとはいえ、現状、課題が多く残されているのも事実です。
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フルリモート移行で直面する課題と対応策
それでは、実際にフルリモートに移行する際に直面し得る課題や、その対応策についていくつか見ていきましょう。
1. セキュリティ
社員が自宅など社外から勤務する機会が増えると、情報漏洩やデータの紛失など、セキュリティ上のリスクが高まります。
重要な顧客データや個人情報、技術情報などを抜き取られると、場合によっては致命傷になります。
これに対しては、例えば、
- 社員間でのやりとりを暗号化できるツールを導入する
- セキュリティ対策に関する研修、教育等を実施する
- 機材を配布して私用のパソコンやデータメモリを使わせないようにする
といったことが具体的な防止策として考えられます。
しかし、システムで強化するとしても、限界があります。
盗み取る方法はいくらでも考えられるでしょう。
2. 創造性、連携
自宅で、一人で仕事する方が仕事が捗る、生産性が上がるという人もいます。
しかし、他の社員との連携が取りにくくなってしまうのは否めません。
特に、チームワークが求められる仕事やプロジェクトがよくある会社の場合、フルリモートへの移行によって、無駄に時間がかかってしまうことがあります。
何かを報告するにしても、口頭では1分で終わるところ、文章に纏めたりしていると、10分、20分と過ぎていきます。
また、誰かとクイックにディスカッションをしたりすることも容易ではありません。
オンラインで話をするにしても、都度時間調整が必要になるでしょう。
その点を考慮した上で、
- 他の社員との連携が求められる事業を行う
- 創造性を求められるチームで仕事をする
といった場合には、少なくとも定期的に出社する機会を設けるなどして対応する必要があります。
3. 勤怠管理
フルリモートに移行すると、上司の目が部下に行き届きにくくなります。
マジメに仕事しているかどうか、どうしても見極めが難しくなるでしょう。
その結果、
- 仕事のパフォーマンスや品質が下がる
- こっそり副業や転職活動されてしまう
といったことも良くあるようです。
こればかりは、対策しようにも限界があるかもしれません。
フルリモートに移行するのであれば、ある程度は割り切らなければならないでしょう。
これに対し、一番効果があると言われるのは、評価制度の見直しです。
また、定期的に社員が顔を合わせるための社内イベントを開催し、様子をうかがえるようにするのも良いでしょう。
4. 企業文化
すでにフルリモートを実現できている会社でも、新入社員を迎え入れる際などは注意が必要。
いきなり最初から全てリモートだと、職場に馴染みにくくなることもあります。
どの会社にも、言語化しにくい企業文化があるもの。
従業員に、自社の企業文化をしっかりと理解し、馴染んでもらいたい場合、フルリモートだとそのハードルは高くなります。
なるべく会社の雰囲気を理解してもらいたいなら、既存のメンバーと直接接触する機会を増やす必要があります。
フルリモートを上手く導入しよう
- 会社の家賃や光熱費、維持費などランニングコストの削減
- 社員のライフワークバランスの充実化
など、フルリモートへの移行は、会社にとっても社員にとっても魅力的な取り組みであることは確かです。
しかし、業種や会社の規模によっては、フルリモートがそもそも困難なケースもあるということも留意しておくべきです。
いずれにせよ、フルリモートへの移行など、新しい取り組みを始める際には、社員の同意、理解を得た上で進めていきましょう。