会社からの残業命令が出た時、どのように対応するか。
残業代を稼ぎたいと思っている人は、「ラッキー」と思うかもしれません。
しかし、プライベートを大切にする人は、残業なんてしたくないと思うでしょう。
残業をするか、それとも定時で切り上げるかは個人の判断で決められるケースもあります。
しかし、拒否できないケースがあるのも事実。
ここでは、会社員として自分の身を守り、会社との健全な関係を維持するためにも知っておくべき、残業命令の基本的なルールについて解説します。
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残業命令にどう立ち向かうか
一昔前までは「サラリーマンは、残業してなんぼ」という風潮がありました。
しかし、その考え方は大きく変わりつつあります。
副業したり、ワークライフバランスを重視したりする人が増えてきたことも背景の一つ。
もちろん、会社から残業を命じられた際、残業せざるを得ないこともあります。
必要なのに、権利を振りかざして拒否しようとすると、居場所がなくなるかもしれません。
適切な対応を取るためにも、最低限の知識は身につけておく必要があるのです。
会社が従業員に残業を命じるための条件
原則として、従業員との間で交わした雇用契約で決められた時間を超える労働を会社が命じることは認められません。
従って、残業を命じられても、労働者にはそれを拒否する権利があります。
しかし、以下のいずれかの条件を満たしている場合、会社は労働者に対し残業を命じることが許されます。
そして、従業員はそれに従うことになります。
- 会社と36協定(サブロクキョウテイ)を結んでいる
- 就業規則や労働協約で「必要がある場合には残業指示に従うこと」といった趣旨の内容が記載されている
- 所定労働時間を超えるが、法定労働時間内での残業
- 災害など臨時の必要がある場合
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残業命令を拒否できるケース
一方で、条件を満たし、会社に残業命令の権利がある場合でも、それを拒否することが可能です。
それは、以下のような理由がある場合です。
残業の必要性が認められない
まず、
- 繁忙期ではない
- 人手不足ではない
- 業務の期日や納期が迫っているわけではない
等、特段残業する必要性がない場合には、残業命令を拒否できます。
たとえば、
- 本日中に終わらなくても明日やれば期日に間に合う
- 「他の社員も残業しているから」と言われる
- 「うちは残業して当たり前の会社だから」と言われる
といった状況で残業を求められた場合、拒否しても問題ありません。
体調不良など健康上の理由がある
残業の必要性は認められるものの、
- 体調が優れない
- 風邪を引いている
等、健康上の理由がある場合にも残業を拒否できます。
会社には、従業員の安全や心身の健康を守るための安全配慮義務が課されています。
ゆえに、業務に支障が出る場合でも、まず従業員の安全、健康を優先しなければなりません。
体調不良を訴えているのにもかかわらず、それを無視し残業を無理矢理に押し付けてくる場合、会社はその安全配慮義務に違反していることになります。
妊娠中、出産直後である
女性社員で、
- 現在妊娠中
- 出産後現場復帰して間もない時期
は、同様に残業を拒否できます。
育児、介護の必要がある
その他にも、
- 子どもの世話をしなければならない
- 身内の介護をしなければならない
と言った事情を抱えている場合も、残業命令に従う必要はありません。
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正当な理由なしに残業を拒否するリスク
一方、以上で挙げた正当な理由もなく、ただ残業したくないという理由で残業命令に背くと、相応のリスクがあります。
場合によっては、従業員としてペナルティを課されたりもするでしょう。
最初の1、2回は大目に見てもらえるケースもあるかもしれません。
しかし、何度も拒否したり、嘘をついたりして残業から逃れようとすると、始末書の提出を求められたりします。
その結果、
- 重要な仕事を任せてもらえなくなる
- 昇進が遅くなる・昇進できなくなる
- ボーナスが減る
等々、キャリア形成や待遇面でのデメリットを被りかねません。
むしろ、始末書だけで済めば良い方かもしれません。
嘘がバレたりすると、降格や減給、最悪の場合には懲戒解雇される可能性もあります。
【参考】リストラの種類や解雇の際に満たさねばならない4つの要件
残業命令に上手く向き合おう
どんな会社でも、会社には、残業を命じる理由があります。
会社だって、費用のかかる残業を好んでやらせたいわけではありません。
よって、拒む理由がない場合には、大人しく従っておくことが自分のためかもしれません。
- 明らかに人手が足りないのに自分の残業に甘えて雇おうとしない
- 仕事の段取りが悪くて自分に皺寄せが来ている
このような場合は、会社に対して改善を訴えるのも一考です。