「社員は家族。」
そのように思っている会社は少なくありません。
しかし、退職する予定の社員に対し、
- 無理に引き止めようとして引き止め工作をする
- 裏切者扱いをする
- 意地悪や嫌がらせをする
といったことは、ご法度。
彼らに対する接し方、扱い方を少しでも間違ってしまうと、会社にとって思わぬ不利益になりかねません。
今回は、退職する予定の従業員に対して、ついついやってしまいがちなNG行動を例を挙げながら紹介していきます。
退職する予定の従業員の扱い方に関する注意点
多くの場合、従業員の退職は会社にとって決して嬉しいイベントではないでしょう。
特に優秀な人材ほど、辞めてしまうのは惜しいと思うものです。
しかし、惜しいから、他に行って欲しくないからと言って強引に引き留めたり、簡単に辞められないよう仕向けたりするのは絶対にやってはいけません。
考え直すように説得するのは、ある程度までは許されるかもしれません。
しかし、一定のラインを超えてしまうと、トラブルが生じたり、最悪の場合違法になって罰則を課されたりすることもあります。
そもそも労働者には、辞めたい時に辞められる「退職する自由」があります。
それを前提とした上で、話を進めていかなければなりません。
【参考】社労士(社会保険労務士)とは?相談や依頼できる業務は
退職したい従業員に対してやりがちなNGな行動
たとえ事情があったとしても退職を希望する従業員に対して以下のような行動を取るのは控えましょう。
1、言い訳をして引き延ばす
現在、大きなプロジェクトが進行中だったり、その中の主力メンバーが辞めたいと言ってきたりした場合、
- 「後任が見つかるまで待って」
- 「今の案件が終わってからにして」
といった理由で引き留めたいこともあるでしょう。
プロジェクトの途中で辞められてしまうと、大きなトラブルが生じてしまうこともあるためやむを得ず、と言うケースはあります。
しかし、基本的には従業員の意思を尊重しなければなりません。
一方で、
- どうしても辞めてほしくない
- 気が変わってほしい
といった理由で、
- 後任を見つけようとせずグズグズする
- 今の案件が終わる前に新たな案件にアサインする
ということもやってはいけません。
もちろん、このようなケースに関しては、辞める側もある程度の配慮をする必要があります。
「立つ鳥、跡を濁さず」と言う言葉があるように、迷惑のかからないタイミングを見極めた上で辞めるのが最善ではあります。
自分の都合ばかりで、周囲に迷惑をかけて辞めると、悪い評判が残ってしまいます。
案外世間は狭いものなのです。
結果的に自分の首を絞めることになるかもしれません。
2、「辞めるのを辞めます」と言わせるまで帰らせない
ブラック企業でよくあるケース。
上司のみならず、他部署の人間や経営幹部を巻き込み、否が応でも辞めさせまいと強要する行為は絶対NGです。
もちろん、退職したいという従業員に対して、その理由を聞くためのヒアリングを実施する程度であれば問題ありません。
しかし、それを建前として会議室など密室に閉じ込め、無理矢理思いとどまるよう強いるのはNG。
監禁、強要にあたる可能性もあります。
3、退職日を勝手に決める
会社側が勝手に退職日を指定することは認められません。
しかし、月末日に辞められると、会社が翌月の社会保険料を払わなければならなくなります。
よって、会社としては、月末日の「1日前」に辞めてもらう方が若干お得。
しかし、月末の「1日前」に退職するよう仕向けるのはご法度です。
その他、ボーナスを支払いたくない等の理由で、従業員の意向を完全に無視して退職日を指定したり、そのように仕向けることもNGです。
中には有給休暇を消化した後にそのまま退職を希望する従業員もいます。
しかし、「すぐに辞めてくれ」と言って、有給も取らせず即時やめさせようとしたりすることもやってはいけません。
まずは退職する予定の従業員の意思を尊重
会社によっては、「退職する場合〇〇日以内に申し出ること」と言った内容を就業規則に記載しているところもあります。
そして、それを盾にして説得しようと試みるケースもよくあるでしょう。
しかし、最終的には退職の自由を定めた民法が優先されます。
よって、何をやっても良いわけではありません。
従業員の意向を尊重したり、譲歩したりすることも、実際に退職した後に良好な関係を維持するために重要なことです。
お互いの状況を理解し合い、上手い落としどころを見つけられるよう努めましょう。