退職は、一大事。
どんな理由であれ、これまで勤めていた会社を辞めるとなると、誰しも不安が募ります。
経済面は大丈夫だろうか。
これからの将来はどうなるのか。
場合によっては、少し立ち止まって考える時間も必要かもしれません。
少しでも多くの不安を取り除き、早期の再就職を実現するためには、もらうべき失業手当をしっかりもらうことが何よりも重要です。
【参考】再就職手当を貰って起業する「そんなのアリ?」な裏技を紹介
もしもの時の失業手当
失業手当とは、会社を退職した後に、次の仕事が見つかるまで安心して生活するために貰えるお金のことを指します。
財源は、労働者が払っている雇用保険料です。
雇用保険に一定期間以上加入している、または加入していた、ほぼ全ての労働者に受け取る権利があります。
退職理由を問わず、必ず一定額は貰えるものではあります。
しかし、条件次第で、その金額や期間が増えたり、減ったりすることがあります。
知らずに損をしないためにも、失業手当に関する知識をしっかり身につけておきましょう。
失業手当を貰うための最低条件
失業手当をもらうためには、
- 再就職の意思と能力があること、
- 雇用保険に一定期間以上加入していること
これら2つの条件をまずクリアする必要があります。
1. 再就職の意思と能力があること
これは、
- 働こうとする意思と、働ける能力がある
- 積極的に再就職のための活動を行っている
が、仕事が見つからないという状況です。
既に就職先が決まっていたり、病気やケガで働けなかったりする状態だとNGとなります。
2. 雇用保険に一定期間以上加入していること
これは、雇用保険を申請するタイミングから、過去24カ月を遡ってみた時、その内の12カ月において、雇用保険に加入し、雇用保険を支払っていた(会社により支払われていた)という実績があるかどうか、ということになります。
【参考】失業給付金とは?損しないように知っておくべき貰い方と種類
失業手当を多く貰うための3つのポイント
以上の2つの条件を踏まえた上で、なるべく多くの失業手当を受け取るためのポイントを見ていきましょう。
1、なるべく会社都合で退職する
自己都合ではなく、会社都合で退職したほうが、貰える失業手当の額は多くなります。
例えば、
- 会社が倒産する
- リストラや解雇によって職を失う(特定受給資格者)
- 上司によるパワハラなどトラブルに巻き込まれ失業に追い込まれる
といった場合は、会社都合による退職にすることができます。
その場合、7日間の待機期間満了時から手当が支給されます。
一方、自己都合による退職で、特段考慮すべき理由がない場合には、
- 7日間の待機期間
- 2ヶ月間の給付制限期間
この2つを過ぎなければ、支給されません。
以上の理由から、退職するのであれば、会社の経営状況を鑑みながら、ベストなタイミングを見計らって退職するのが望ましいでしょう。
会社は「会社都合」にするのを嫌がる
尚、「会社都合」で退職させると、会社には、様々な不都合があります。
一定期間、
- 助成金の申請が出来なくなる
- ハローワーク経由での求人が難しくなる
といったことがあるのです。
そのため、会社に「会社都合にしてくれ」と言っても、簡単には通らないでしょう。
会社都合にしたければ、上手く工夫する必要があります。
2、過去6カ月の給与を高くしておく
また、給与が高い時期(例えば、繁忙期)のすぐ後に退職するのが良いでしょう。
なぜなら、失業手当の1日あたりの支給額は、退職日までの過去6ヶ月の給与額を基準に算出されるためです。
給与額が大きければ、それだけもらえる額も増えます。
つまり、直前の6ヶ月の期間において、繁忙期などで残業や休日出勤を経験し、辞める前の給与額を上げておくのが良いのです。
そうすれば、閑散期や通常期の直後に退職するより多くの手当を受け取れるでしょう。
3、公共職業訓練を受ける
自己都合による退職の場合でも、2ヶ月間の給付制限期間を経ずに前倒しで受給できることがあります。
その方法は、失業直後に公共職業訓練を受講すること。
公共職業訓練とは、各自治体が実施している、就職に必要なスキルや技能を身につけるための訓練制度です。
メリットは、給付制限期間が撤廃されるだけではありません。
実施団体が失業手当の申請を代行してくれるというメリットもあります。
ぜひ利用したいところですね。
失業手当を受給する上での注意点
失業手当を受給するにあたり、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
「退職金を上乗せする」など、会社の誘惑に乗らない
上で述べたように、会社都合で退職すると、会社にとっては不利になることが多いもの。
そのため、会社側としては、なるべく自己都合で退職してもらおうと考えます。
そこで、「退職金を上乗せする」など甘い言葉で自主退職を促して来ることもあります。
そのような場合は、「どちらが得だろうか?」と慎重に考えるようにしましょう。
自発的ではない退職の場合には、証拠を残しておく
たとえ自己都合による退職となっても、諦める必要はありません。
- 上司のハラスメント
- 過重労働
- 残業代の未払い
など、退職せざるを得ない状況に追い込まれていた場合もあります。
そのような場合は、「会社都合による退職」と同等と認められるケースがあります。
しかし、当然ですが、それを証明する必要はあります。
- タイムカードや出勤簿の記録
- 上司とのやりとりを記録したボイスレコーダー
など証拠を残しておくようにしましょう。
受給期間中に不用意に働かない
不安だからといって、失業から再就職までの期間にアルバイトをして収入を得たりするのはNG。
場合によっては、受給資格を満たさなくなってしまうことがあります。
支給が途中で打ち切られたり、返還を求められたりすることもあるでしょう。
失業手当の受給条件を満たしているのであれば、不用意に働かないことも、きっちり受給するために必要なことです。
【参考】脱サラ起業するなら30代がベスト?理由と失敗回避のコツ
失業手当を上手に活用しよう
失業手当に関する知識を持っておくことで、より多くの手当を貰うことができます。
生活にも精神的にも余裕が生まれ、再就職のための準備を立てやすくなるでしょう。
しかし、多くもらいたいからと言って嘘の申告をするのは絶対NG。
ルールをしっかり守って申請しましょう。