労働局とは?労働基準監督署との違いと利用のメリット
- 2023/3/6
- 就転職・人事
労働者として組織に属しながら働く以上、トラブルを避けることは難しいもの。
会社や同僚、上司との人間関係に苦しめられることも、日常茶飯事かもしれません。
場合によっては不当な扱いをされたり、心身を病んでしまったりすることもあります。
ここでは、身を守るためにも必ず知っておくべき労働局の役割や、利用のメリットについて詳しく解説していきます。
労働局とは?労働基準監督署との違いは
労働局とは、各自治体に設置されている、厚生労働省が管轄するの機関の一つ。
企業と労働者の間で何かしらのトラブルが発生した際、解決のための助言や指導、話し合いの仲介をしてくれる機関です。
具体的には、
- 労働問題や労使紛争が起きた際、事業者に対して、その問題点を指摘する
- 被害者となる労働者に問題解決の道を示す
といったことをしてくれたりします。
労働基準監督署は
一方、労働基準監督署、通称、労基署は労働局の下位に位置する機関です。。
同じく、国、厚生労働省が管轄しています。
主に労働時間や残業代、最低賃金、労災など、違反したら問題、犯罪になる事象が発生した際、その第一対応をしてもらうところです。
労働局で相談できること
では、具体的にどんな相談ができるのでしょうか。
労働局は、主に
- 社内いじめやパワハラ
- セクハラ等のハラスメント問題
- 差別
- 不当解雇
といった問題に対応しています。
例えば、「不当解雇に遭った」と思われるケース。
「就業規則に、解雇事由に関してどのような記載があるのか、その確認や資料集めをするように」などと言った助言を得られます。
その他にも、
- 職場の人間関係に関するちょっとしたトラブル
- 労働基準監督署で対応してもらえなかった社内トラブル
についてもの相談にも乗ってもらえます。
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労働局を利用するメリット
それでは、労働局を利用するメリットについていくつか見ていきましょう。
訴訟を起こさずに問題解決できることがある
労働局の主な役割は、相談に乗ったり、適切な助言をしたりすること。
しかし、問題が深刻な場合「紛争解決手続き」と呼ばれる専門的な措置をとってもらえます。
具体的には、
- 被害者と会社との間に入り、お互いの言い分を伝える仲介役を担う
- 会社に対して処遇の改善や問題解決を測るための直接的な指示をする
といったことをしてくれたりします。
そのため、わざわざ多くのお金と費用をかけて弁護士を雇ったり、訴訟を起こしたりしなくても問題の早期解決ができる場合があるのです。
精神的負担が軽減される
労働局を通さずとも、
- 被害を受けた人が会社側に直接クレームを入れる
- 告発する
といったことは、可能と言えば可能です。
しかし、特にハラスメント関連の場合はデリケートな問題だったりします。
その分、被害者の精神的負担が大きくなってしまうでしょう。
そしてそのような時にこそ、その際に労働局を頼れば、適切な対処をしてくれます。
精神的負担を抑えつつ、問題解決が見込めるようになるでしょう。
労働基準監督署よりも柔軟に対応してくれる
実際、労働基準監督署でも、いじめやハラスメント、不当解雇等の問題について対応してもらえることもあります。
しかし、前述の通り、基本的には違反したら問題、犯罪になるケースに対応するための機関。
そのため、「相談してもなかなか動いてくれない」ということは多々あります。
しかし、労働局は労働基準監督署よりも相談できることの範囲が広いのが特徴。
さまざまな問題に対して柔軟に対応してもらえるでしょう。
法律の説明もしてくれる
問題の中身によっては、それが適切なのか、それとも不当なのか、素人だけでは判断できないこともたくさんあります。
労働局では、労働や雇用、その他働く人に関する法律についての説明も受けられます。
弁護士に相談する前に適切な判断を仰ぐために利用するのも良いでしょう。
労働局でも問題を解決できない場合には?
労働者にとって、労働局は確かに大変便利な機関。
しかし、どんな問題でも対応してくれるわけではありません。
相談しても解決できないことがあるのです。
その際には、以下の対応を取ります。
労働組合、労働委員会に相談する
他には、労働者の権利、安全を守ってくれる機関として労働組合があります。
労働組合は、労働者が主体となって活動している機関。
そのため、より親身になって相談に乗ってくれたりします。
労働組合がない場合には、各自治体にある労働委員会に相談するのも良いでしょう。
労働委員会は、元々労働組合で活躍していた人や大企業で働いていた人事部の人によって結成される組織。
そのため、場合によっては労働局よりも助けになってくれるかもしれません。
弁護士に相談する
どの機関に相談しても問題が解決できない場合は、弁護士に相談する他ないでしょう。
紛争解決手続きで対応できない問題は、調停か裁判で解決するしかありません。
まずは、法テラスなどを訪問してみて、弁護士の判断を仰ぎましょう。
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労働局を上手に活用しよう
会社と何かトラブルになったら「まずは労働基準監督署に通報」というのが一般的な認識。
しかし、ハラスメントや差別問題など、民事上の紛争は取り合ってもらえないことも。
労働局は、労基署で扱っている問題に加え、その他にも、働いている上で起きうるあらゆる問題に対応してくれます。
弁護士を雇う余裕がない、なるべく穏便に問題を解決したい、といった場合には、積極的に利用していきましょう。