時代の変化とともに、仕事に対する価値観も変わりつつあります。
特にZ世代、ミレニアル世代と呼ばれる若手社員は、その価値観に敏感だと言われます。
「部下は上司に絶対服従」なんてのは、遠い昔の価値観になりつつあります。
部下に嫌われてしまうと、転職されたり、ちょっとした過失を告発されたり、様々なデメリットがあるかもしれません。
良い上司であるために、どう振舞えばよいのでしょうか。
ここでは、今知っておくべき、職場でリスペクトされる上司、嫌われやすい上司、それぞれの特徴について紹介します。
【参考】【Interview】Z世代が就職したい会社とは?本音を聞いてみた(前編)Z世代の価値観と残念に感じる会社とは?
嫌われる上司になってない?
一昔前までは、「上司は背中で語るもの」という考え方がありました。
また、体育会系のマッチョな縦社会が、会社の中にも普通にありました。
それでリスペクトを勝ち取っている上司も、少なくなかったのです。
しかし、今の時代、なかなかそうはいかないかもしれません。
単に仕事ができるだけでは、若手社員からリスペクトされることは難しいでしょう。
部下に対する接し方、扱い方を間違えると、厄介なことになりかねません。
- 人材が流出する
- モチベーションが低下する
- ハラスメントの加害者として扱われる
といったこともあるでしょう。
特に歳が大きく離れていたりする場合、少しの価値観のズレと思っていたものが、大きな問題に発展することも。
若者世代の傾向をしっかりと把握し、それに適した接し方をする必要があるのです。
リスペクトされる上司の特徴
それではまず、若手社員側からリスペクトされる上司の特徴について見ていきましょう。
プライベートに干渉してこない
特に、Z世代と呼ばれる、最も新しい世代の若者たちは、仕事とプライベートの時間をしっかりと区別する傾向にあります。
プライベートでは、自分のやりたいことを何よりも優先します。
- 連絡は原則として仕事の時だけ
- 退勤後や休日は干渉しない
といった具合に、若手社員の考え方やプライベートを尊重すれば、鬱陶しがられることも、嫌がられることもなくなるでしょう。
仕事に裁量を持たせてくれる
部下を常に気をかけることは、上司の務め。
しかし、マイクロマネジメントに走ってしまうのは、時代に合わないかもしれません。
ある程度裁量を与え、口出しし過ぎないようにすることも、リスペクトされる上で必要なことです。
心配するあまり、部下の一挙一動に口を出してしまうと、「鬱陶しい」と思われます。
極力、部下にチャレンジさせてあげること。
そして、たとえ失敗しても「自分が責任を取る」と、大きい器を持つことも、尊敬されるために必要な要素の一つです。
何かあったときにフォローし、守ってくれる
部下が仕事でトラブルを起こし、自分の更に上の上司から叱られている時は、正念場。
こういう時に、部下の側に立てるかどうかが、上司としての力量が問われるところです。
一番やってはいけないのは、「一緒になって部下を叱り、責める」こと。
そのような時、部下は
「上司(あなた)の指示に従ったんだけどな。」
「自分に責任を押し付けて、自分を守ろうとしているな。」
と思い、興ざめしてしまうもの。
そのようなことがあると、部下の上司に対する忠誠心は、一気に崩れてしまうでしょう。
チャレンジさせてくれる
上司と部下、という間柄。
上司が指示をして、部下はそれに従うだけ、という関係になりがちかもしれません。
しかし、完全なる上意下達、一方通行の関係だと、部下はやる気を感じられなくなります。
- 部下の考えに耳を傾け、否定せず、一緒になって考える
- 上司としてリスクを取れると思える範囲なら、チャレンジさせてみる
これができれば、部下は上司への信頼を厚くし、モチベーション高く仕事に取り組んでくれるでしょう。
フェアに評価し、フィードバックしてくれる
部下なら上司の言うことを聞いて当然、やって当然という考え方はもう古いのです。
部下に対し、フェアな評価をすることは、当然です。
- 成果に対して、皆が納得できる評価を心がける
- 個人的な好き嫌いを評価に反映させない
といったことは、最低限守らねばならないでしょう。
この点、案外、部下はしっかり見ているものです。
そして、丁寧にフィードバックすることも大切。
「なぜか?」「どうすればもっと良くなったか?」
をしっかりフィードバックして、部下の成長を促しましょう。
また、労いの言葉をかけたり、感謝したりすることも大切です。
【参考】サーバントリーダーシップとは?VUCA時代のリーダー像
嫌われる上司の特徴
一方、嫌われやすい上司の特徴も見ていきましょう。
根性論や常識を押し付けてくる
- 「気合いでなんとかしろ」
- 「努力すれば夢は叶う」
- 「根性を見せてみろ」
と言った根性論や精神論、
- 「部下なら〇〇して当たり前」
- 「これができない奴はダメ」
といった、時代錯誤な価値を部下に押し付けてしまうと、それだけで、部下のやる気は急降下してしまいます。
古風な体育会系出身の社員ならば、ついて来てくれる可能性がなくはないでしょう。
しかし、この時代の大半の若手社員にとっては、相当受けが悪いと思われます。
「私の若いころは…」、「今時の若者は…」が口癖
- 残業は当たり前
- 会社のために働く
と言う精神で働いてきた年配社員は、自分の若い頃を引き合いに出して、今の若手と比較し、それを口に出しがちです。
労働基準法もまるで気にしない上司は、この時代にも少なくありません。
このような傾向は、部下に嫌われる上司の典型的な例。
- 「俺の若いころは…」
- 「今時の若者は…」
と、事あるごとに武勇伝を語り、部下を貶していると、部下の心は確実に離れていくでしょう。
無神経な言葉を投げかけてくる
- 「この仕事、向いていないんじゃない」
- 「仕事辞めたら?」
など、部下の人格を否定するような発言は厳禁。
単に嫌われて、部下が離れていくだけならまだマシかもしれません。
パワハラだ、モラハラだと言われて問題が大きくなる可能性もあります。
保身に必死、手柄は横取り
チームや部署で何か大きなミスやトラブルが起きた際、
- 保身のために部下に責任転嫁する
- 部下に罪を擦り付けたりする
このような上司は一発でアウトと言えます。
逆に、部署内で何かを成し遂げた際、その手柄を自分のものだけにしたり、横取りしたりすることも、確実に嫌われてしまうでしょう。
依怙贔屓をする
特定の部下にだけ優しくし、気に入らない部下には強くあたるなど、依怙贔屓をすることも嫌われる一つの要因になります。
特に、異性の容姿端麗な部下を特別扱いするようなものは最も悪いパターンかもしれません。
部下だけではなく、社内全体で嫌われてしまうということもあり得るのです。
これは、会社に限ったことではないかもしれませんね。
【参考】ハラスメントとは?知っておきたいこんなものまで「●●ハラ」
嫌われる上司から、尊敬される上司へ
上司である以上、部下を導き、時には厳しくすることも必要なのは理解できます。
もちろん、価値観の違う若手だからと言って、ご機嫌取りをしたり、忖度し過ぎる必要はありません。
しかし、やり方を間違えると、すぐにハラスメントだ、ブラックだと言われる時代。
大きな問題に発展したり、部下が転職したり、といったことも普通に起こり得ます。
ビジネスを取り巻く環境や働き方、社会全体が変わりつつあるこの時代。
若手の新しい価値観、仕事観も尊重し、それに対応していくことも慕われる上司になるために欠かせないことです。