「若い力」が求められるのは、政治の世界だけではありません。
若手の力を、いかにして企業の成長に、力に繋げていけるか。
これは働き手不足や高齢化といった問題に直面した企業に求められる重要なことです。
しかし、そうは言っても、掛け声だけで終わっている会社が多いのも事実。
若手の台頭を快く思わず、足を引っ張ろうとするシニアだって、少なくないのです。
そのような歯痒い状況を打破してくれる可能性があるのが、ジュニアボード制度。
今回は、ジュニアボード制度について、その概要を踏まえて、企業、社員、双方にとってのメリットや実施のポイントについて解説します。
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ジュニアボード制度とは?
ジュニアボード制度とは、役員以外の若手~中堅社員を数名集めて疑似役員会を開催し、企業経営に関して彼らに提言させる場を設ける仕組みを作ることです。
最近出てきた仕組みかと思いきや、案外歴史は古いようです。
1930年代、漫画の食品メーカー「マーコミック社」が考案した疑似委員会が起源とされます。
国内でもユニチャーム、横河電機、日本総合研究所等の企業で導入されている仕組みです。
何が目的なのか
ジュニアボード制度の導入には目的が大きく2つあります。
1、次世代のリーダー育成
まず、主な目的の一つに、若手社員の経営参画を促進し、次世代のリーダーや後継者の育成することが挙げられます。
若手の力はどの業界においても、大きな期待と影響力を持っています。
2025年を目途に到来するとされる超高齢化社会で企業が生き残り続けるためにも、欠かせない要素。
今の内から若手社員に経営のいろはを学べる機会を提供することで、幹部候補や後継者が育ちやすくなると言われます。
2、社員の主体性の醸成
次に、社員の主体性の醸成が挙げられます。
現場で働く若手社員の声を積極的に採用することで、若手が経営を自分事と捉えるようになります。
そうすることで、社員の主体性がより強化されるようになるでしょう。
大企業のような、ミドルアップ・ボトムアップ型組織の実現も目指せるかもしれません。
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企業、社員、それぞれのメリット
まず、ジュニアボード制度の、企業にとってのメリットについてみていきましょう。
組織の一体感を高められる
経営に関する重要事項は幹部が決めて、部下はただそれに従うというやり方では、社員のモチベーションはなかなか上がりません。
「言われたことをやるだけ」では、不満が募り、優秀な人材から流出してしまいます。
また、「木を見て森を見ず」的な状況にも陥りやすくなってしまうもの。
多くの従業員が、「いかに自分が楽をするか」という方向に目を向けてしまうのです。
しかし、第一線で働く社員にも経営について考えさせることで、意識を変えられます。
経営を「自分事」として捉えるようになり、社員の士気や愛社精神を高められるのです。
ブレイクスルーに繋げられる
上層部の特定のメンバーだけが会社経営を長年務めていると、つい「従来のやり方」に固執してしまうもの。
過去の栄光や成功体験を捨てて頭を切り替えるというのは、口で言うのは簡単でも、実際はなかなか難しいものなのです。
その点、ジュニアボード制度を導入し、若手の意見を聞くことで、そのような過去の体験に捉われない、時代のトレンドを反映した意見が出て来る可能性があります。
当然、それを救い上げるかどうかは、結局経営陣の度量によるところもあるでしょう。
しかし、若手の目線で経営を考えさせることで、ブレイクスルーに繋がる意見が出てくる可能性は、大いに高まると言えます。
それでは、社員にとってのメリットについて見ていきましょう。
自発的な成長のきっかけになる
ただ上の指示に従って働くだけだと、仕事に対してやりがいを感じられません。
単純なルーティン業務だけだと、社員自身の成長にもなかなか繋がらないでしょう。
しかし、ジュニアボード制度が社内にあれば、意欲的な若手程、メンバーに選ばれるよう努力する契機になります。
若手の内から経営目線で会社の事を考えるのは、非常にエキサイティングなことです。
経営参画意識を持ち、仕事に対する主体性、自主性が強化されるため、成長やキャリアアップを期待できます。
上層部に自分の存在をアピールできる
メンバーとして起用されれば、今まで関わりの薄かった上司や同僚と一緒に働く機会を得ることができます。
その結果、年齢や役職を超えた新しい人間関係の構築も可能。
自分の存在や能力、意欲をアピールすることもできるでしょう。
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実施のポイント
それでは、実施のポイントについていくつか見ていきましょう。
目的によってメンバーの選出方法を変える
- 誰を起用するか
- どれくらいの人数を起用するか
などは会社で独自に決めていくことになります。
しかし、目的によって、メンバーの選出方法を変えるのが望ましいでしょう。
例えば、
- 後継者やリーダーの育成が目的なら、他薦によって相応しい人選をする
- 社員の経営参画の促進や主体性の強化が目的なら自薦で募集する
といったことが考えられます。
結果にこだわりすぎない
最初のうちは結果だけにこだわりすぎないようにするのがおススメです。
というのも、結果以上に、「若手社員を疑似役員会に参加させ新しい経験を積ませるという過程そのものにこそ意義があるため」です。
また、より多くの経験を積ませ、最終的に目標を達成するためにも、一度限りの実施ではなく、継続的に行っていくことがポイントです。
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まとめ
ジュニアボード制度自体に選ばれるメンバーは数名でも、他の社員にも良い刺激になります。
組織全体のモチベーションアップや、制度のメンバーの自主性に繋がることが期待されます。
導入にあたり、ある程度の手間やコストがかかってしまうかもしれません。
しかし、プラスの要素も大きいのは間違いありません。
大きく構えて、中長期的な目線で実施していきましょう。