「●●ハラ」と呼ばれるハラスメントの種類は数多くあります。
そんなことまでハラスメント扱いにするの?と思われるほど。
日に日に新しいものも増えていっているかのようです。
気を付けないと、知らない内に自分が加害者になることも有り得ます。
そうならないため、または被害に対し適切に対処をするためにも、ある程度の知識は必要。
厚生労働省も、様々な関連資料を出しており、対策が義務化されていることもあります。
ここでは、メジャーなものから一風変わったものまで、ビジネスシーンでよく耳にするハラスメントについてまとめました。
【参考】メンタルヘルス対策は十分?心の健康を守るためにすべきこと
ハラスメントとは
ハラスメントとは、英語でharassment、嫌がらせをする、迷惑をかけること、を意味します。
ビジネスを問わず、様々な人間関係で広くみられそうな概念ではあります。
【参考】IT業界の人は特に注意!差別をなくすInclusive Namingとは?
よくあるハラスメント
それでは、具体的な事例について見ていきましょう。
セクハラ
セクシャルハラスメント、通称セクハラは最も認知されているハラスメントの一つです。
実は、セクハラにも種類があります。
- 職場での立場を利用し、特定の個人に対して性的な嫌がらせや発言をする「対価型」
- 周囲に他の社員が複数人いる状況下で、卑猥な言葉を発したり個人に嫌がらせをしてその場の空気全体を不快にする「環境型」
の2つです。
また、セクハラというと年上の男性社員から年下の女性社員に対する嫌がらせという印象が強いもの。
しかし、女性から男性、もしくは同性同士でも十分に起こり得るのです。
「ちゃん付け」や下の名前で読んだだけでもセクハラと呼ばれてしまうことがあり、線引きが難しくなっているのが現状。
身体的接触は言うまでもなくNGですが、発言に関しては業務との関連性の有無を基準にし、企業独自で対策を考えていく必要があります。
ジェンハラ
ジェンダーハラスメント、通称、ジェンハラです。
性に対する偏った価値観で物事を決めつけ、その考えを他人に押し付けたり強要したりすることです。
例えば、
- 「男/女なのに〇〇だね」
- 「男/女なんだからもっと〇〇した方がいいよ」
などの発言や、
- 男性社員には力仕事
- 女性には書類のコピーやお茶汲みなど
このように、性別によって役割を決める行為も該当するとされます。
また、近年ではLGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちへの差別的な発言や不躾な質問をすることもジェンハラになるケースがあります。
たとえ悪意がなくても、受け手が不快と感じてしまえばアウトとされます。
的確な防止策を講ずるのは難しいところですが、
- 古い価値観を捨てる努力をする
- 性別で差別しない
といった地道な意識改革が求められます。
パワハラ
パワーハラスメント、通称、パワハラです。
職場での立場を利用して後輩社員に不当な要求を行い、それを強要したり、業務とは関係の無いことを無理矢理やらせたりすることです。
パワハラは職場で最も根深い問題の一つとされます。
周囲の人間も見て見ぬふりをしたり、黙認されたりするケースが多く、被害者はそのまま我慢を強いられることがよくあります。
モラハラ
モラルハラスメント、通称、モラハラ。
これは、パワハラの要素を含むハラスメントです。
職場で後輩社員を指導する際、必要以上に相手の人格を否定したり、尊厳を傷つけるような発言をしたりすることです。
また、
- あえて大勢の社員の前で叱責し辱めるような行為
- 特定の社員に対して偏った接し方をする行為
も該当するとされます。
パワハラ同様、なかなか問題提起がされにくくいというのが困ったところ。
そのまま放置されてしまうケースが多いですが、効果的な対策として、
- 通報窓口を設置する
- ガイドラインを作成する
などが挙げられるでしょう。
【参考】「ポリコレ」は最早経営の新常識?知らないと炎上のリスクも
育児に関するハラスメント
マタハラ、パタハラ
マタニティハラスメント、通称、マタハラ。
これは、妊娠によって育休取得を希望したり、通常の職務が制限されたりする女性社員に対し、それを口実に嫌がらせ行為や嫌味な発言をすることです。
一方、パタニティハラスメント、通称、パタハラと呼ばれるものもあります。
これは、
- 妊娠中の配偶者のケアや出産後の子育てのために育休をとった男性社員に対して同様の行為をすること
- 復帰後に冷遇する行為をすること
を指します。
これらのハラスメントに関しては、単なる「悪口」や「嫌味」として処理されてしまうことが多いのも実情。
ゆえに、なかなか問題視されない傾向にあります。
【参考】隠れ残業とは?テレワークの普及で急増した危険性とその対策
その他のハラスメント
他にも、マイナーなハラスメントは色々とあります。
ジタハラ
時短ハラスメント、通称、ジタハラです。
これは、具体的な施策を示さず、一方的、強制的に労働時間の短縮や効率化を社員に対して課すことです。
具体的には、
労働時間を短縮し人件費を減らすためにサービス残業させる
自宅に仕事を持ち帰らせて終業時間外に働かせる
といった行為が該当します。
そもそもジタハラは、労働基準法に抵触する可能性が十分にあります。
よって、しない/させないための企業独自の対策が求められます。
オワハラ
オワハラとは、企業や採用担当者が就活生に対して行うハラスメント。
内定を出す代わりに、就活を終わらせたり、他の採用を蹴って自社に入社するように圧力をかける行為を指します。
オワハラは企業の採用戦略の一環として行われることが多く、また法に触れるケースもあります。
しかし、圧力の掛け方によっては脅迫になる可能性もあるため注意が必要です。
テクハラ
テクノロジーハラスメント、通称、テクハラです。
これは、ITの知識が疎い社員に対し、あえて専門用語や横文字を並べて会話したり、自分のITスキルを自慢げに話して、相手を不快にさせたり威圧したりする行為です。
テクハラは職場での立場に関係なく発生します。
若い社員からITの知識に疎い年配社員に対して行われることが多いとされます。
【参考】IT介護とは?IT音痴が引き起こす問題と採り得る4つの対策
まとめ
一言にハラスメントと言ってもその種類は非常に多種多様。
また、時代の変化や流行によって新たなハラスメントが次々に生まれてきます。
「これもハラスメントなの?」と思われるものもあるかもしれません。
実際は、一つ一つ時間をかけて対策することは現実的に難しい側面があります。
しかし、場合によっては違法性が問われるケースや、心身の不調、休職や退職に追い込むなど相手を傷つけてしまうこともあります。
たとえ社内でハラスメント防止のための研修等を実施したとしても、知らず知らずの内に加害者になっているケース。
そのため、まずは個人の意識改革から始め、加害者・被害者になるのを上手く避けるようにしましょう。