働き方改革が政府の後押しによって各方面で進められています。
働き手のライフスタイルも以前よりも大きく変わりつつ現代。
企業にはいかにして社員に快適に働ける環境を提供できるか問われています。
今回は、カフェテリアプランについて、その意味を踏まえた上で、運用するメリット、デメリットを解説します。
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カフェテリアプランとは?
カフェテリアプランとは、従業員に一定数のポイントを付与し、そのポイントを使って自分に必要なメニューを選択、利用できる福利厚生のシステムを意味します。
自分の好きな料理を選び、自分で食卓に運んで食べる飲食店を指す「カフェテリア」に由来。
もともとはアメリカで1980年代頃から始まった制度と言われています。
日本で注目される背景
徐々にではありますが、国内においてもカフェテリアプランを導入する企業が増えています。
共働きする世帯の増加やリモートワークの普及を始め、副業やフレックスタイムで働く人が増加し、働き手のライフスタイルが多様化しつつあるのがその背景にあります。
従来の、正社員のみに画一的な待遇が与えられる福利厚生では、その働き手を取り巻く環境の変化に対して十分な対応ができません。
結果として、不公平が生じ、従業員の不平不満に繋がってしまうこともあるのです。
その点、必要なものを必要な分だけ選択・利用できるカフェテリアプランは、多様化する働き手のライフスタイルに順応できる画期的な施策として注目されているのです。
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カフェテリアプランの導入方法と主なメニュー
カフェテリアプランの導入には、
- 自社でそのシステムをゼロから作り上げるケース
- メニューの考案から運用まで外部の専門業者に委託するケース
の大きく2通りの方法あります。
カフェテリアとしてポピュラーなメニューは以下の通りです。
- 住宅:家賃補助、住宅ローン補助
- 健康・医療:人間ドック、ジムなどスポーツ関連施設の費用負担
- 介護・育児・出産:各施設の利用費負担、補助、祝金
- 休暇・レジャー:宿泊費、移動費補助
- 資産形成・キャリア:持株会奨励金、資格取得補助
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カフェテリアプラン代行業者を利用するメリット、デメリット
それでは、カフェテリアプラン運用を代行業者に委託するメリットについて見ていきましょう。
運用の効率が良くなる
専門の業者に依頼することで、システム作りから運用までの効率化が図れるという点が大きなメリットの一つです。
どのようなメニューを盛り込むかは、基本的に全て業者に任せる形になります。
実際のところは、業者が持っているプラットフォームを利用する形になるためです。
そのため、ポイントの付与や管理、その他運用の手間を大幅に削減できます。
社員の満足度が上がる
自社でシステムを制定するよりも外部に依頼した方が社員から高い評価を得易くなることもあります。
というのも、第三者、プロの視点からでしか分からない運用のポイントやコツがあり、利便性や汎用性を見極めやすくなるためです。
外部の業者も業者同士で常に競争しており、様々なノウハウの蓄積があります。
それでは、デメリットについても見ていきましょう。
コストをかける意味を問われる
外部に依頼すればシステムの構築や運用の手間が省けますが、当然余分なコストが発生します。
そして、提供されるメニューは、良く言えば「皆の満足度が最大になるもの」。
悪く言えば、「何の特徴もないありきたりのもの」です。
何の特徴もないありきたりのものを、
- 無理矢理付与されるポイントで買わねばならない
- しかも業者のコストが乗って会社的に見れば割高
であれば、
「カフェテリアプラン導入より、単純に給与をアップした方がコスト安で満足度も高いのでは?」
という見方をする人も当然出てきます。
それはそれで、一理あるとも言えるのです。
本当に意義のあるものかどうかを、問う必要があると言えるでしょう。
ポイントが翌年に繰越せないことがある
運用方法にもよりますが、社員に付与されるポイントは年度内使い切りになっており、翌年度への繰越ができないケースが大半。
となると、欲しくもないもののために無理矢理ポイントを使わされる羽目になったりするのです。
その結果、却って社員に不公平感を与えてしまい、不満が出ることにも繋がりかねません。
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カフェテリアプランをより価値のあるものにするために
より有意義なカフェテリアプランの運用を目指すためにも、代行業者の利用を検討する際には以下の3つのポイントについては必ず押さえておきましょう。
1、提供形態について
カフェテリアプランを提供する代行業者によってその提供形態は異なり、主に以下の2タイプに分かれます。
- オリジナル型:業者独自のオリジナルプラン、メニューを提供
- ハイブリッド型:独自のものと、他社のサービスを組み合わせて提供
自社が求めるサービスを十分に受けられるか、という点は当然。
また、社員の声が反映されたものかという点も考慮した上で適切なものを選びましょう。
2、社員のニーズに合致しているか
従業員のライフスタイルにメニューが順応するか、適切であるかという点は導入においてまず確認すべき必須事項となります。
導入したけど、使いづらくて誰も使わない、ということは、往々にして起こり得ます。
特に、「社長が業者と意気投合して、即決で導入を決めちゃってさ」といったケースは要注意です。
3、メニューの内容、料金体系が妥当なものか
具体的なメニューの中身はもちろんのこと、
- 導入、運用していく上でどれくらいのコストがかかるのか
- 経済的負担が大きくなり過ぎないか
料金体系を含め、その妥当性を見極めることも大切です。
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まとめ
代行業者を利用すれば、システム作りから運用までの効率化を十分に図れるという利点があります。
しかし、場合によっては多くのコストがかかってしまい、導入の意義を見失ってしまうこともあります。
まずはカフェテリアプラン導入の目的を明確化すること。
そして、企業や上層部の一方的な判断だけではなく、社員の声を聞き入れること。
両者のバランスを見極めた上で導入、運用していくことが大切です。