人材の流動化、転職の活発化により、従来よりも雇用の「維持」や、人材の「質」が重要視されるようになってきている昨今。
そのような中で、「スクラム採用」と呼ばれる採用手法が新たに注目を集めつつあります。
ここでは、スクラム採用の具体的な仕組みを踏まえた上で、メリットや実施におけるポイントを紹介していきます。
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スクラム採用とは?
スクラム採用とは、人事部などの採用担当部署だけではなく、役員や現場社員、つまり企業のメンバーが一丸となって取り組む採用施策のことで、株式会社HERPによって提唱された、比較的新しい採用手法です。
従来は、企業の経営陣、役員など、幹部人材の要望を聞き入れた上で、人事部が求人を作成し、面接から採用に至る一連の業務を担う、という形が一般的いました。
スクラム採用では、その一連の業務を各部署の現場社員を巻き込んだ形で行い、人事部は主にそのサポートや統括を担います。
スクラムとは、もともと一丸になる、一致団結するという意味があり、ラグビーでチームの士気を高めるために組む円陣を指します。
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スクラム採用のメリット
それでは、スクラム採用の導入による企業のメリットについて見ていきましょう。
①適材適所な人材を発掘できる
スクラム採用では、各部署において専門的スキルや知識を持つ現場社員を巻き込んだ形で採用活動に取り組むことになるため、適材適所な人材を見つけやすくなります。
従来のように総合職、一般職としてまず人材の「量」を確保し各部署に振り分ける、と言う仕組みでは、教育に時間がかかりミスマッチが発生しやすいという問題がありました。
各部署の現場社員が採用に関わることにより、人事部だけでは掬い上げられない、優秀で適性のある人材を確保できる可能性が高まります。
新卒であったとしても、短期間で即戦力化することも期待できるでしょう。
更に、スクラム採用を導入し採用までの業務を細分化できれば、人事部の業務負担の軽減にもつながります。
②自社の魅力の言語化によって社員のエンゲージメントが高まる
スクラム採用において募集をかける際、
「うちの会社に来てもらうためにはどうすれば良いか」
「うちの会社にはどんな魅力があるか」
といったことを、社員それぞれが必然的に考えることになります。
採用活動を通して自社の魅力や強み、社内環境の改善策等を言語化し意識できれば自ずと社員のエンゲージメントも高まるでしょう。
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スクラム採用を実施するための条件とポイント
それでは、スクラム採用を実施するにあたり必要な条件とポイントについてそれぞれ見ていきましょう。
①責任の所在を明確にする
まず、採用活動の業務フローを分解した上で、各フェーズににおける決定権や指揮権を最適な社員に委譲します。
例えば、各部署において採用方法に関する様々な案が出た際にそれらをまとめ、決定、実行するための権限です。
そして、その上で何より大切なのが、「誰が責任者なのかを明確にする」ことです。
「採用したけど全然ダメだった」ということが起こった場合、誰が責任を取るのか、これを明確にしなければなりません。
日本の雇用制度では、全然ダメな人を簡単にクビにするわけにはいきません。
よって、採用は、本来慎重に進めるべきもののはずです。
しかし、多くの人が関与していると、はっきりと意見を言わず、「まぁ、いいんじゃない?」という安易な雰囲気で進みがち。
そして、責任を取るべき上層部も、「現場がしっかり見てくれているだろうから」ということで、安易にGoサインを出しがちです。
そして、上層部がGoサインを出したりすると、現場はそれに対してNoと言いづらいもの。
「現場が見ているだろうから」
「上がGoサインを出しているから」
ということで、「何となく」進んでしまいがちになるのです。
そうすると、会社にフィットしていない人や、全然パフォーマンスを発揮できない人が入ってしまう、ということが起こり得ます。
それは避けねばなりません。
②人事をプロジェクトマネージャーにする
各部署における採用活動の進捗状況を把握、管理し、統率を取るのは必然的に人事部の役割となります。
人事部がスクラム採用というプロジェクトのマネージャーとしての役割を担うことで、採用に関する専門知識やスキルを各部署に落とし込み、全体的なバックアップやサポート、指示を行います。
③成果の可視化、共有
スクラム採用を導入し、実際に人材を採用した後にはその成果を可視化し、社内で共有します。
どんな人材が得られたか、それによって何が変化したのか、その成果を採用に携わった社員にフィードバックすることでモチベーションの維持や今後の改善につなげられます。
④業務量の調整
スクラム採用を導入すれば、これまで採用活動に無関係だった部署や、社員の業務量が必然的に増えます。
その結果、多忙になったり残業が増えたりして就労状況が悪化してしまっては本末転倒であるため、実施の際には業務量の調整についての配慮が必要となります。
そもそも人手が足りていない、従来の業務だけで手一杯である、という状況においてはそれらの問題解決や職場環境を改善した上で実施を検討しましょう。
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まとめ
スクラム採用を社内に上手く浸透させることができれば、採用活動はもちろんのこと、他の業務も含めた部門横断的な団結力を築き上げることができます。
新たに導入する場合には、社員それぞれの業務量や負担を考慮した上で無理のないように進めていきましょう。