働き方改革、一億総活躍社会という言葉もすっかりおなじみになった昨今。
しかし、口ではそう言っても、これまでのやり方を変えるのは、時間もかかればお金もかかり、なかなか容易には進められないもの。
そういう時、あると有難いのが助成金や補助金の存在。
申請や手続きがちょっと面倒なことも多いものですが、会社の変革を強力にサポートしてくれる制度です。
ここでは、働き方改革を後押ししてくれる助成金、補助金制度を5つ選んでご紹介します。
働き方改革とは?
まず、「働き方改革」の基本的な概念について今一度確認しておきましょう。
働き方改革とは、もともと「一億総活躍社会」の実現のために掲げられた政策の一つです。
これは、少子高齢化による働き手の減少など、従来からの社会問題の解決が主な目的とされていました。
しかし、その他にも、従業員のワークライフバランスの実現や、雇用における選択肢の拡大など、近年注目されている課題の解決も期待されています。
働き方改革の施策例としてとしては、
- リモートワーク
- フレックスタイム制度
- ジョブ型雇用
などが挙げられます。
業種や業態を問わず、幅広い業界において、今や常識化しつつある概念であると言えるでしょう。
【参考】フレックスタイム制とは?注意点を含めて概要をざっくり解説
【参考】ジョブ型雇用とは?表で見て分かるメンバーシップ型との違い
働き方改革に活用できる助成金・補助金
働き方改革を実現するため、新しい制度を導入するとなると、当然お金がかかります。
そうなると、「働き方改革は実現したいし、生産性も上がるだろうけど、今はお金がないからできない」という悩みがでてくるもの。
そこで、少しでも経済的負担を軽減するために、様々な助成金や補助金が準備されているのです。
ここでは、働き方改革を実現するためにぜひとも利用したい助成金、補助金制度を5つ紹介します。
①働き方改革推進支援助成金
スタートアップ企業等を含む、中小企業や個人事業主向けの支援制度で、使途や取り組みによってコース分けされているのが特徴です。
- 残業コストの削減、業務の効率化、社員のスキルアップ等を目的とした「労働時間短縮・年休促進支援コース」
- 就業規則の作成、人員確保、外部コンサル等を目的とした「勤務時間インターバル導入コース」
- 社内のイベント事の開催や社内全体の労働環境の見直しのための「団体推進コース」
- テレワーク導入にあたり必要な研修費用、機材の導入費用の一部が支給される「テレワークコース」(※募集は終了しています)
などがあります。
②キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、社内の有期契約労働者や派遣社員など、非正規社員のスキルアップやキャリアップのための取り組みに掛かる費用の一部を支給する制度です。
非正規社員のモチベーションの向上や優秀な人材の育成、確保、経済的地位の改善をはじめ、非正規社員の正社員化を目指すことが主な趣旨となっています。
各業種の受給要件は以下の通りです。
- 小売業 → 資本金5,000万円以下 or 常時従業員50人以下
- サービス業 → 資本金5,000万円以下 or 常時従業員100人以下
- 卸売業 → 資本金1億円以下 or 常時従業員100人以下
- その他 → 資本金3億円以下 or 常時従業員300人以下
③業務改善助成金
業務改善助成金は、上で挙げたものと同じく、中小企業や小規模事業者を対象としたもので、企業における全体的な生産性の向上や事業場内の最低賃金の引き上げを行う際の費用として一部支給される助成金制度です。
最低賃金の引き上げ額によって助成上限額が異なり、20円、30円、60円、90円、の4段階にコース分けされています。
また、設備投資や人材の育成、教育訓練などを実施する際に発生する費用についても、一部助成されます。
④IT導入補助金
IT導入補助金とは、「ITツール」の導入費用の一部を支給する補助金制度です。
- あらゆる中小企業の事業者や自営業者が活用できる「通常枠(A・B類型)」
- コロナ感染拡大予防や従業員のワークライフバランスの充実の観点からテレワークを導入した際に活用できる「低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)」
の2コースに分かれています。
⑤働き方改革推進支援資金
働き方改革推進支援資金は、助成金や補助金ではありませんが、日本政策金融公庫による働き方改革の実現を目指す企業のための特別な融資制度です。
主に非正規雇用者の正社員化や処遇改善、残業や長時間労働の是正、障害者、外国人労働者の雇用環境改善などが主な使途となります。
運転資金2億5千万を含め、最高7億2千万円までの融資を受けることが可能で、各支店で申し込みます。
働き方改革に取り組むための心構え
以上が主な助成金、補助金、その他支援制度ととなります。
実際に働き方改革に取り組む際、もしくは、各種支援制度を利用する際には、以下の2つの点に留意しておきましょう。
①できれば外部の専門家などの指導を仰ぐ
明確な目的無しに取り組んでも、結果的に無駄なコストや時間をただ費やしてしまうことになります。
助成金や補助金は入ったけど、結局割に合わない、なんてことにもなりかねません。
効率的に進めていくためにも、できれば外部の専門家などのアドバイスや指導を仰ぎましょう。
専門機関として、厚生労働省の「無料相談」や「テレワーク相談センター」、各都道府県にある「働き方改革推進支援センター」などが挙げられます。
②社員の意見も反映させる
経営陣が積極的に働き方改革実現の取り組みを実施することはもちろん大切です。
しかし、社員の意見も聞き入れ、理解を深めた上で進めていくことも大変重要なことです。
上記で挙げた例以外にも支援制度は複数存在するため、自社の抱えている課題や問題を洗い出した上で適切な制度を見極め利用しましょう。
まとめ
各種支援制度を利用したとしても、社内の仕組みの抜本的な見直しのためにはある程度のコストと時間を要することになります。
補助金や助成金は、目的あってこそのもの。
「お金をもらえるから」という安易な気持ちで進めると、逆に時間と費用だけがかかってしまうことにもなりかねないので、その点を念頭に置いて進めていきましょう。