老後に2000万円が必要と言われる時代。
個人事業主と言えど、万全の体制を敷いておかなければ、悲惨な老後になってしまう可能性もあります。
しかし、社会保険は仕組みが面倒なので、ついつい後回しにしてしまいがちにしてしまう個人事業主の方も多いのでは。
まずは、ざっくりとで良いので、概要を理解することからはじめましょう。
ここでは、社会保険の基礎を踏まえた上で、個人事業主が関わることになる社会保険や、加入時の注意点について紹介します。
【参考】個人事業主の老後資金対策!加入できる年金制度をざっくり!
そもそも社会保険って?
社会保険とは、誰もが健康で安心して暮らせるように、生活する上で起こりうるあらゆるリスクに備えるための公的制度で、主に事業従事者が加入の対象となり、健康保険、介護保険、年金保険、雇用保険、そして労災保険の5つで構成されます。
個人事業主と社会保険
サラリーマンは各種社会保険の被保険者に該当するため、病気やケガで医療機関を利用した際、もしくは育児や出産のために会社を休んだ場合でも生活に支障が出ないように会社から手当が受けられることがあります。
しかし一方で、個人事業主として事業を営んでいる場合、加入できる社会保険が限られていることから、何かしらの理由で通常業務が行えなくなった場合でも自分で対応しなければなりません。
どんなことが起きても安定した生活を送るためには、リスクに対応するための備えを早い段階から始める必要があるのです。
個人事業主が加入できる社会保険は?
それでは、個人事業主が実際に関わることになる社会保険の内容に関して詳しく見ていきましょう。
①国民健康保険
まず、病気やケガで医療機関を利用する、もしくは入院する際の医療費の負担を減らすための国民健康保険が挙げられます。
市町村など各地方自治体が運営する医療保険の一つで、事業主をはじめ自営業者や退職者、無職者もが対象となる保障制度の一つです。`
病院に行ったら保険証を提示すると思いますが、その保険証を手に入れるためには、国民健康保険への加入が必要となります。
国保に加入することで診療費や通院費が満額の1割~最大3割負担で済み、年齢によって負担の割合が変わります。
保険料は世帯収入に応じて変動し、全額自己負担となります。
②介護保険
介護保険とは、将来自身が要介護状態になった際、ヘルパーや介護施設を利用するために必要な費用の負担を減らす趣旨の社会保険です。
個人事業主が加入する場合、保険料の支払い方法は年齢や年金の受給状況で異なります。
まず、40歳以上65歳未満の場合は国保の支払いと合わせて月ごとに支払います。
65歳以上で年金受給者の場合、月々の年金から介護保険料が差し引かれた額が振り込まれ、未受給者の場合は納付書や口座振替で保険料を別途支払いをします。
③国民年金
国民年金とは、業種、業態問わず20歳以上60歳未満の国民全てが加入する社会保険で、退職した後、老後を安心して過ごすための資金対策をすることが主な趣旨となっています。
基礎年金とも呼ばれる国民年金は日本の年金制度の基盤を成すもので、月々16,540円(令和2年時点)ずつ支払い、老後のための積み立てをします。
個人事業主はサラリーマンが加入する厚生年金の被保険者には該当しないため、基礎年金に加えて国民年金基金や付加年金など他の年金制度も併用する必要があります。
④雇用保険
雇用保険とは、解雇や離職した際、次の仕事が見つかるまでの生活資金を確保するための保障です。
会社に雇用されている者を保護するための制度であることから、事業主自身は加入できません。
しかし、週あたり20時間以上の労働をしている従業員を1人以上雇っている場合には、彼らを加入させる義務があり、一定の保険料を事業主が負担します。
⑤労災保険
労災保険とは、業務や通勤の際にケガや病気を発症した、もしくは死亡した際に労働者とその家族に対し必要な手当を与えるための制度です。
雇用保険と同様、事業主は加入できませんが、労働時間に関係なく従業員を雇っている場合に加入させる義務が発生します。
社会保険加入における注意点ともしもに備える保険
以上の5つが主に個人事業主が関わることになる社会保険の種類となります。
それでは加入における注意点やもしもに備えるための保険について見ていきましょう。
強制適用事業所について
自分の事業が「強制適用事業所」に該当する場合、個人事業であっても本来給与所得者を対象とする「厚生年金」へ加入しなければなりません。
強制適用事業所とは、国や地方公共団体、もしくは一定の業種で5人以上の従業員を雇って事業を営む組織を指し、一定の業種には主に製造業、土木建築業、工業、電気ガス事業、運送業、清掃業、その他が含まれます。
「従業員が5人以上いたら、個人事業主も、厚生年金に加入しなければならない」ということですね。
民間の保険制度を活用して補おう
個人事業の場合、公的な社会保険だけではカバーしきれないリスクもあります。
よって、必要に応じて民間保険制度への加入も検討するのが良いでしょう。
主に、事務所や事業所が火事や地震、その他自然災害により被害を受けた際に一定の手当を受け取るための火災保険や地震保険を始め、経営セーフティ共済や損害賠償保険などがあります。
想定外の損失に見舞われた時に、それを自分で負担しなければならないと言うことになると、経営はたちまち破綻してしまいます。
「大丈夫だろう」と軽く考えず、保険にも加入しておくのが賢明と言えます。
まとめ
個人事業主は各種社会保険の加入、手続きを自主的に済ます必要があります。
特にサラリーマンから転身した方にとっては、この辺りの仕組みはなかなかピンと来ないもの。
加入漏れとなってしまうと、後々面倒なことになりかねません。
安心して事業経営を行う上で保険は欠かせないため、民間の保険や共済も含め適宜加入を検討していきましょう。