起業の際の資金をどうするか、頭を痛める方は多いものです。
そもそも、潤沢な資金や時間を備えて起業する人など、世の中に極々一部しかいません。
そんなあなたにとって、この記事は、朗報かもしれません。
再就職手当を使えば、事業を始める際に準備費用、運営費用として活用でき、賢く起業できます。
耐え忍ばなければならない時期に、少しでも資金を上乗せできるのは、大変有難いもの。
しかし、「そんなこと可能なの?」と思われる方も多いことでしょう。
ここでは、再就職手当の受給要件や、実際に事業主として開業するため際に必要なステップについて、詳しく紹介していきます。
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再就職手当とは?
雇用保険の仕組みについて、ご存知でしょうか。
雇用保険とは、以前の勤め先における雇用保険の加入者(つまり従業員)が解雇、もしくは離職によって職を失った後、安定した事業への早期復帰を目指すための制度です。
そして再就職手当は、失業後に安定した職業への採用が決まると支給されます。
再就職手当は失業手当を減らすのが目的!?
雇用保険の加入者が職を失って要件を満たすと、一定期間、失業手当を受け取れます。
当然ですが、再び就労先が決まって働き始めると、失業手当はもらえなくなります。
早く働きたい気持ちはあっても、タダで貰えるものは目一杯貰いたい、と言う人は少なからず世の中にいるもの。
満額を受け取るために、あえて再び職に就くまでの期間が長引くようにしようとする人もいます。
しかしそれでは、世の中全体で見ると経済的には損失になるわけです。
就労先が決まった人には、早く働いてほしい。
そこで、失業者の早期職場復帰を促進するためにこの制度が設けられました。
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就業促進定着手当と就業手当
失業時に受け取れる手当には、再就職手当の他に、就業促進定着手当と就業手当があります。
①就業促進定着手当
就業促進定着手当は、6ヶ月以上、再就職先における雇用の見込みがあると再就職手当に上乗せして受け取れます。
②就業手当
一方、就業手当は、再就職先での雇用が臨時的で1年未満かつ、再就職手当の支給対象に該当しない場合受け取れる手当です。
起業する場合の受給金額
実は、再就職手当は、企業に就職する際はもちろんのこと、個人事業主やフリーランスとして起業する場合にも受け取ることが可能です。
起業する場合に受け取れる再就職手当の額は、支給日数を所定給付日数の3分の2以上残して就業した場合、基本手当の支給残日数の70%、3分の1以上の場合には60%の額が原則として受け取れます。
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再就職手当をもらうための要件
起業する場合、会社員として就職する場合、いずれにおいても再就職手当を受け取るためには原則として以下8つの要件を満たさなければなりません。
8つの要件
- 1週間の待機期間を満了し就職または事業を開始した
- 1年以上の勤務、もしくは事業継続が見込まれる
- 「原則」として雇用保険の被保険者になる
- 過去3年以内、再就職手当の受給歴がない
- ハローワーク等、認可を受けている職業安定所を介した就業である
- 以前勤めていた企業、もしくは事業主のもとで再び働いていない
- 就職、事業開始日の前日までの失業保険の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上
- 受給資格を承認される前に雇用されていない
再就職手当をもらうための流れ
以上の8項目が再就職手当をもらうための基本的な要件となりますが、個人事業主として起業する場合、事業主自身は雇用保険に加入できないため「要件3」を満たせません。
しかし、しっかりと申請手順を踏めば受給を認められるケースも十分にあります。
ステップ1:離職票を持参し職業安定所へ
失業した場合、まず以前勤めていた会社に離職票の発行を依頼し、取得後にそれを持参した上でハローワークなど、認可を受けている職業安定所へ向かいます。
その際に離職票に加え、本人確認のできる運転免許証や健康保険証も忘れずに持参します。
ステップ2:説明会への参加
離職票を持って職業安定所に行くと、再就職手当給付までの流れや受給にあたっての注意事項、また雇用保険に関する説明会への参加を求められます。
個人事業主として開業する場合に雇用保険は不要ですが、この説明会には必ず参加しなければなりません。
ステップ3:失業申告認定書の提出
説明会が終わり2週間ほど経過すると、失業申告認定書を提出できるようになります。
失業申告認定書とは、現在失職中であることを正式に認めてもらうための書類です。
離職してからこれまでの期間の就活状況やアルバイト等の就業事実が無いか申告し、失業を認定してもらいます。
ステップ4:開業届を取得し、税務署へ提出する
個人事業を始める場合には、待機期間を満了したことを確認の上、開業届を取得し税務署へ提出します。
待機期間とは、離職票を持って職業安定所に初めて訪問した日から1週間になります。
依願退職など、個人的な都合で前の会社を離れた場合、給付制限が発生するため1週間プラス1ヶ月経過した後に開業届の提出をしないと受給できません。
開業届は最寄りの税務署、もしくは国税庁の公式ホームページから必要書類を取得できます。
開業届には主に、
「個人事業の開業・廃業等届出書」
確定申告で青色申告の利用を検討している場合には、
「青色申告承認申告書」
また各都道府県の税務局に提出する
「個人事業税の事業開始申告書」の3種類があります。
ステップ5:開業届の提出を職業安定所に通知し審査を受ける
開業届を税務署に提出したらその旨を必ず職業安定所に通知します。
その際にも本人確認のための身分証の提示が求められます。
その後、1ヶ月ほどで事業の継続状況を確認する電話が入り、審査後に晴れて受給できます。
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まとめ
起業する場合、しっかりと手順を踏めば個人事業主でも受け取れることがあります。
しかし、開業届を提出するタイミングがポイントになるため、入念にステップを確認した上で受給を目指しましょう。