企業にとって、後継者問題が深刻な課題となっています。
経営者が高齢化し、事業継承の必要性が叫ばれる昨今。
公的な支援センターも出てきており、政府もこの課題に取り組もうとしています。
一方で、会社の中に後継者が不在、というケースも少なくありません。
ここでは、企業における後継者育成がなぜ重要なのかを踏まえた上で、その方法とポイントについて詳しく解説していきます。
後継者育成はなぜ重要なのか
後継者の育成が、なぜ多くの企業にとって必要とされるのでしょうか。
その理由はズバリ、会社の存続に大きく影響するということです。
後継者が存在しない、または、力不足だと、会社の廃業や倒産もあり得るのです。
実際に、業績が好調でも、後継者不在が原因で倒産を余儀なくされている会社も存在します。
人は、いつまでも健康とは限りません。
社長が突然倒れてからでは手遅れになることもあります。
その前に、経営者は、後継者育成に取り組まなければならないのです。
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後継者育成の方法と必要な準備
まず、後継者育成のための一般的な方法と必要な準備について見ていきましょう。
1、後継者候補の選定
まず、企業は後継者の選定と継承プランの策定を行う必要があります。
兎にも角にも、後継者候補となる人物を明確にしましょう。
オーナー経営者で、子供がいれば、子供が候補になるかもしれません。
または、よほどの零細企業なければ、思い当たる人物の一人や二人、社内にいるでしょう。
その人物に対してどのような育成を行うか、どのような役割を期待するかを明確にします。
2、経験豊富なメンターの選定
後継者の育成において、経験豊富なメンターをつけるという方法があります。
場合によっては、経営者自身がメンターになるということもあり得るでしょう。
いなければ、メンターを外部から招へいするということもあり得ます。
繋ぎとして、一時的(一般的には3~5年)に、外部の経営者に経営を任せることもあります。
メンターとして適任と思われる人物を選定し、後継者とメンターを結びつけましょう。
3、異なる部署や業務の経験を提供する
後継者には、会社の機能を全般的に経験する機会を提供することが重要です。
どの仕事がどれくらい大変かは、やってみなければ分からないことが多々あります。
「あいつらがやってる仕事なんて簡単だろ?」というスタンスでいるのはご法度。
人望を集めるためにも、少しでも多くの業務について精通していることは重要なのです。
そして、後継者候補も、ビジネス全般についての知識やスキルが身につくでしょう。
4、実践的な経験を提供する
座学で学ばせることももちろん重要ですが、「習うより慣れろ」とも言います。
経営者としての、実践的な経験を積む機会を提供することも忘れてはいけません。
具体的な方法としては、
- 現経営者の秘書をやらせてみる
- 子会社などで社長や幹部ポジションに配置する
といったことで、実践経験を積ませます。
必要なスキルが身についてくることでしょう。
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後継者育成を成功させるためのポイント
後継者として相応しい人材に育成するためには次のポイントを踏まえることも重要です。
1、早期の選定と育成
後継者の育成は、一朝一夕にはいきません。
少なくとも数年の時間がかかるため、早期に後継者の選定と育成を始めることが重要です。
早期に候補者を選定し、多くの時間を確保できれば、いざと言うときに慌てることなく経営承継ができるでしょう。
2、メンターシッププログラムの実施
後継者の成長にあたり、経験豊富なメンターからの指導は非常に有用です。
メンターシッププログラムを設立することで、後継者がビジネスのリーダーシップスキルや問題解決スキルを磨くための支援ができます。
また、外部のビジネススクールや育成プログラムに入れるのも良いでしょう。
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後継者育成に失敗するパターン3選
成功のコツを押さえるのはもちろん、落とし穴に嵌らないことも重要です。
以下のようなことを後継者候補に対してしっかり認識させないと、失敗するリスクが高まるため、注意しましょう。
1、公私混同する
例えば、
- 会社のお金は自分のお金と思い込む
- 豪華な車、明らかに私用と思われる旅行や飲み会を開く
- 愛人を会社で雇ってマンションを買い与えたりする
など、公私混同は絶対にあってはいけません。
他の従業員が黙っていたとしても、心は離れていくもの。
また、銀行などが見つけて、黙っていないケースもあるでしょう。
そのため、会社と個人のお金をしっかり区別することの重要性についてもしっかり教育しましょう。
2、他の従業員に対して謙虚になれない
将来の経営者候補者だからと言って、自分はエライ、特別な存在だと思い込むのはご法度。
他の従業員に対して謙虚になれない人材は、決して優秀な後継者にはなれません。
また、社長より社歴が長く、会社のことをよく知っている従業員もいたりします。。
謙虚になり、周囲の意見に耳を傾けられるようになることも重要なのです。
3、無謀な新規事業を始める
会社のトップになれば、様々な裁量と権限を得られます。
やろうと思えば、自分の一存だけで新しい事業を始めることも可能になります。
しかし、豊富なビジネス経験がないのにもかかわらず、どんどん投資して新しいことを始めようとするのは要注意。
結果が伴わず、無駄なお金だけを浪費するだけになりかねません。
無謀な新規事業を始めると、これまでの経営者が築き上げてきたものを台無してしまうこともあります。
そのことも、後継者育成にあたってしっかりと認識させる必要があるでしょう。
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後継者育成をして企業を末永く反映させる
後継者の育成は企業にとって重要な課題。
そして、円滑な事業継承のためには早期から取り組むことが必要です。
以上のポイントを踏まえた上で、継続的な取り組みを実行していければ企業の永続的な発展につなげられるでしょう。