マーケターなら一度は聞いたことがあるであろう「STP分析」。
非常に基本的な考え方で、頭の整理に有用であるにもかかわらず、なかなか実践するのは難しいと感じる人もいるかもしれません。
ここでは、マーケターなら必ず知っておくべきSTP分析の基礎知識や実践のコツについて紹介していきます。
STP分析とは?
STP分析とは、マーケティング戦略を立てるためのフレームワークの一つで、
Segmentation – セグメンテーション(市場の細分化)
Targeting – ターゲティング(見込み顧客の厳選)
Positioning – ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)
の3つのプロセスを用いるものです。
アメリカの経営学者であり、「近代マーケティングの父」とも評されるフィリップ・コトラー氏が初めてこの理論を提唱し、今や日本を含めあらゆる国のビジネスシーンにおいて、特にマーケターにとっては常識とも言えるフレームワークとなっています。
アパレル大手のユニクロや、世界的コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーなど、実際にSTP分析を実施し、業績改善、業績アップを実現したとされる企業も多数存在します。
STP分析のフレームワークを構成する要素
STP分析のフレームワークは、それぞれ以下の要素によって構成されています。
Segmentation – セグメンテーション
セグメンテーションとは、展開することになる「市場」を「セグメント」に細分化することを意味します。
例えば、よくあるところで言うと、以下のような観点を切り口に、市場を細分化していきます。
- 年齢
- 年収
- 職業
- 居住地
- 性別
- 考え方
- ライフスタイル
上記に限りませんが、自社が提供しようとしている商品やサービスに対する態度が最も浮き彫りになるような形で市場を切り分けていきます。
コツは、
- 細かく切り分けすぎないこと
- 現実的に分類可能(情報取得可能)なものにすること
- 漏れなくダブりなく(MECEに)切り分けること
です。
例えば、
年収600万円以上 or 600万円未満 × 大都市圏在住 or その他の地方在住 で、2×2の4つに切り分けたりします。
Targeting – ターゲティング
ターゲティングとは、切り分けた市場セグメントの内、どこをターゲットとするかを決めることです。
自社製品の特徴やコンセプト、機能、値段、市場の需要可能性等を検討し、ふさわしいセグメントを見極めます。
もちろん、ターゲットとするセグメントは1つである必要はありません。
セグメントの特徴、自社の特徴を踏まえて、狙うべきセグメントを決めていきます。
Positioning – ポジショニング
ポジショニングとは、自社とライバル関係にある他社を比較、分析し、顧客から見た自社の立ち位置を明確にすることです。
- 少し値段が高いけど質が良い
- 質はまぁまぁだけど値段が安い
- 他社製品やサービスにはない魅力がある
といった具合に、同じターゲットを狙っていると思われる他社と比べて、どこがどう違うのかを浮き彫りにしていきます。
ポジショニングについての考え方が決まれば、その後のブランディングや、プロモーションといった各種の施策も明確になることでしょう。
STP分析の重要性と目的
それでは、STP分析を実施する主な目的やその重要性について見ていきましょう。
①他社との差別化を図る、競争の回避
最大の目的は、自社製品の強みを最大限に発揮し、同じ市場で戦うことになる他社との差別化を図ることだと言えます。
フレームワークの各要素を考慮しつつ、業界の動向やトレンドを把握し、今消費者が求めている、必要としている商品やサービスをいち早く開発し、提供できれば無駄な競争を回避することも可能です。
②自社に最適なターゲット層、顧客を見つける
どんなに優れた商品やサービスを開発したとしても、それらを本当に必要としてる顧客を見つけ提供できないと意味がありません。
STP分析を使えば、自社の商品やサービスにマッチした顧客を見つけ出し、集中的に販促をかけることで成果獲得までの無駄な手間やコストを削減することも可能です。
③自社独自の販促戦略を立てる
すでに競合他社が溢れかえっている市場で戦わなければならない状況において、商品やサービスそのものの差別化はもちろんのこと、独自の販促戦略を立てられるかが生き残る上で大変重要です。
STP分析で自社、他社、そして顧客、お互いの関係性やそれを取り巻く市場をあらかじめ把握できれば、自社独自の販促戦略の立案につながります。
STP分析、実践のコツ
それでは、STP分析を実践する際のコツやポイントについて見ていきましょう。
顧客視点で考え、S・T・Pの順番にこだわらない
STP分析はあくまで顧客視点に立ち、それぞれの要素を分析していくことが重要です。
また、必ずしもS→T→Pの順番に沿って分析する必要はなく、企業が今抱えている問題や課題、優先事項を考慮した上で必要な項目から進めていきましょう。
ただし、分析が完了した後、S→T→Pの順番で考えた時に、一貫性が担保されていることは必須です。
そうでなければ、せっかくのSTP分析も、チグハグなものになってしまいます。
まとめ
STP分析の実施は、なるべく早い段階で行うのが賢明です。
出来れば、マーケティング戦略を練る最初の段階において始めるのがベスト。
一度フレームワークが完成しても上手く機能しないと思われる場合は、躊躇せず改善、修正を試みましょう。
また、PEST分析やSWOT分析など、他のフレームワークと併用することで効果が発揮されるという側面もあります。
【参考】PEST分析のフレームワークをUberEatsを事例に解説!
組み合わせたりしながら、試行錯誤しつつ進めていきましょう。