副業や投資を始めて、本業とは別の副収入を得ようとする人が増えています。
そして、その際、税金対策は決して無視できない要素。
そこで検討する価値が出てくるのが、「プライベートカンパニー」です。
聞いたことがある人も、少なくないかもしれない、この言葉。
今回は副業や投資に興味のあるサラリーマンや個人事業主が知っておきたい「プライベートカンパニー」について、設立の目的やメリット、注意点について解説します。
【参考】法人化すべき?個人事業主がいい?起業家が考えるべきことは
プライベートカンパニーとは?
プライベートカンパニーとは、通常の会社のような事業活動はせず、オーナーの資産管理や法人名義で投資事業等を行うための会社を指します。
資産管理会社、と呼ばれることもあります。
設立するのは主に節税対策をしたい資本家。
しかし、サラリーマンや個人事業主など、実は誰でも設立可能なのです。
プライベートカンパニーの場合、会社を設立したからといっても業務としてやるべきことは限られています。
そのため、本業に支障が出る心配はほとんどなく、従業員を雇わなくても成り立ちます。
プライベートカンパニーを設立するメリット
それでは、副業や投資で収入を得ているサラリーマンや個人事業主がプライベートカンパニーを設立するメリットについて見ていきましょう。
1. 税制面の優遇を受けられる
個人事業主の方で、一定以上の所得がある場合、プライベートカンパニーを設立し、法人成りした方が税制面での優遇を受けやすくなります。
個人事業主で所得額が1000万円以上ある場合、最大で40%の税率が課されてしまいます。
しかし、法人の場合、高くても、およそ23%となっています。
また、法人の方が経費にできるものが増えるというのも魅力。
法人の経費にすると、利益が減って見えるので、支払う税金が減るのです。
その点においても税制面で有利と言えます。
2. 「社長」、「経営者」の肩書きを得ることができる
プライベートカンパニーも一つの立派な会社。
そのため、設立すれば自ずと「社長」や「経営者」の肩書きを得られます。
それゆえ、ビジネスシーンをする際にも、「会社員」や「個人事業主」を名乗るよりも社会的地位や信用が評価されるのです。
プライベートカンパニーの注意点
以上のようなメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
1. 個人情報が公になる
プライベートカンパニーに限らず、会社を設立するための登記手続きをすると、代表の名前や住所といった個人情報が公表されます。
実際問題、これは簡単にはバレない類のものではあります。
しかし、特に勤め先の会社に秘密で副業や投資を行っているサラリーマンは注意が必要です。
2. 設立費用がかかる
会社を設立する際には必ず登記手続きをすることになります。
しかし、その費用は決して安くありません。
これは、会社の種類や事業形態、資本金の額によって必要な費用は異なるため一概には言えませんが、
- 登録免許税
- 定款作成・認証費用
- 印紙代
などがかかり、目安としては、
- 合同会社の場合、約10万円
- 株式会社の場合、約20万円
と考えておく必要があるでしょう。
3. 経理が複雑になる
副業や個人事業の場合、ある程度の知識があれば日頃の帳簿付けや税務申告などの経理業務は自ら行うことが可能です。
しかし、法人となると、そんなに簡単にはいきません。
複式簿記について学び、記帳をしていく必要があります。
もちろん、税理士や会計事務所にお願いすることも可能でしょう。
しかし、税務申告を自分で行うのはなかなかハードルが高いものです。
場合によっては、税理士を雇う必要が出てくることについても認識しておきましょう。
4. 赤字でも法人住民税がかかる
法人は、赤字の場合、原則として法人税は発生しません。
経費を過剰に積み増すことで、無理矢理赤字にしてしまうことも可能です。
しかし、赤字でも、法人住民税は支払う必要があるので注意。
資本金等の条件にもよりますが、年間7万円以上の金額となるでしょう。
【参考】合同会社の設立はお得?メリット3つとデメリット2つを解説!
プライベートカンパニーがおすすめの人は
プライベートカンパニーを設立しても、デメリットの方が上回ることもあります。
- 副業や兼業、また投資事業をしていてその収入が一定以上あるサラリーマン
- 一定以上の収入がある個人事業主
- 経営者の肩書きが欲しい方
にとってメリットがあることは確か。
前向きに検討することをお勧めします。
【参考】開業・起業前の準備として考えておくべき3つの事項と手続き
プライベートカンパニーを活用しよう
プライベートカンパニーは、上手に使えばメリットが大きいもの。
しかし、設立にはそれなりの費用がかかること、経理が複雑になることなど無視できない注意点もあります。
また、収入によっては個人名義のままの方が多くのメリットを享受できるケースもあるもの。
慎重に検討して、プライベートカンパニーを最大限活用しましょう。