不動産投資を行うと、多くの場合、納めることになる不動産取得税。
これは、他の税金と比べて手続きや納付の仕方がやや特殊と言えるかもしれません。
今回は、滞りなく確実に納付するため知っておくべき不動産取得税の基礎知識についてわかりやすく解説します。
【参考】不動産投資で節税できる?その理由と知っておくべき注意点
不動産取得税とは?
不動産取得税とは、アパートやマンション、土地などの不動産を取得した際、取得した不動産の額に応じて課される税金です。
これは、不動産投資を始める上で必ず知っておかなければならない税金の一つ。
他には、
がありますが、これらと同様、納税するのは一つの不動産に対して一度きりとなります。
また、原則として、取得意思を持って不動産を取得する場合に限り課せられる税金。
よって、相続によって不動産を譲り受ける場合には課せられないのが特徴です。
納税は、不動産を実際に取得した後、納税通知書を受領してから、その案内通りに納付することになります。
不動産取得税の税率
税率は対象となる不動産の種類や取得したタイミングによって異なります。
令和6年3月末までに取得した土地、住宅の場合、不動産取得税は「課税標準×3%」。
倉庫など非住宅の場合は、「課税標準×4%」の額となります。
たとえば、課税標準1000万円の家屋を取得するとどうでしょうか。
課せられる不動産取得税は、「1000万円×3%=30万円」となります。
課税標準とは、その不動産の固定資産税評価額、とでも覚えておけばよいでしょう。
しかし、ここで言う課税標準とは、物件の購入額とイコールではありません。
総務大臣が定めた固定資産評価基準により評価、決定された額。
おおよその購入時の価格の6割~7割程度になるのが一般的です。
軽減措置、免税
不動産取得税の税率は「原則4%」となっています。
しかし、令和6年3月末までに取得した不動産(土地と住宅用の家屋)に対しては、軽減措置が適用されて「3%」となっています。
免税に関しては、都道府県によって異なるため一概には言えません。
しかし、東京都を例に挙げると
課税標準が10万円未満の土地、23万円未満の家屋は不動産取得税の免税対象となっています。
納税の手順と方法
納税の手続きは非常にシンプル。
不動産を取得したら、取得した当人が対象となる不動産の所在地を所管する税事務所に申告を行います。
申告期限は地方自治体によって異なりますが。原則60日以内(東京・大阪では30日以内)となっています。
申告の際に必要な書類は、
- 不動産取得税申請書
- 売買契約書の写し
- 建物全部事項証明書
- 住宅家屋証明書
となります。
また、免税制度の対象となる場合には別途必要書類があります。
申告をした後、税事務所や支庁がその内容を元に対象となる不動産を調査、正確な納税額を算出し、納税者に通知します。
その通知書が届いたら、そこに記載されている納付期限内に納税します。
納税は、通知書に添付されている納付書を持って税事務所や金融機関、郵便局やコンビニなどの窓口で行います。
現金はもちろん、バーコード決済やクレジットカードでも支払い可能です。
【参考】不動産小口化商品とは?手軽さが魅力?始める際の注意点は
不動産取得税を納める際の注意点
以上で紹介した通り、不動産取得税の納付手順や方法は非常にシンプル。
不明な点がある場合でも、税事務所に問い合わせれば親切に教えてもらえます。
手続き自体は、それほど問題にはならないでしょう。
しかし、納付にあたって次のような注意点があります。
1. 納税通知書は忘れた頃にやってくる
印紙税や登録免許税などは、契約や登記手続きのタイミングで納付することになります。
そのため、仲介会社を使っていれば、問題なく進めることができるでしょう。
しかし、不動産取得税の場合、手続きをして実際に納付するまでに時間があります。
目安は、申請書を提出してからおよそ半年~1年後。
税通知書が届くまで、それくらい時間がかかります。
うっかり忘れていて手元に資金がない、といったケースもあり得ます。
そのため、納税を忘れないことはもちろん、期限内にしっかり納付できるよう資金を用意しておく必要があるのです。
2. 納付しないとペナルティが課される
不動産取得税も一つの税金。
そのため、対象者には納税の義務があります。
期限までに納付できないとペナルティが課されるのです。
納税の意思があってもしっかり期限内に納付できないと、遅れた分だけ延滞税が発生します。
そうすると、本来納めるべき納付額に上乗せして納付しなければなりません。
また、延滞が確定すると、税事務所から督促状が届きます。
それに応じないと、最悪の場合、財産の差押など法的措置を取られることもあります。
不動産取得税について理解しよう
不動産取得税は、手続き上、ついつい納付を忘れてしまいがち。
しかし、税金である以上、対象者は必ず納めなければなりません。
算定額に納得がいかない場合やどうしても期限内に支払いが困難な場合もあるかもしれません。
そのような時は、税事務所に相談することで、柔軟に対応してくれることもあります。
放置せずに、まずは問い合わせてみましょう。
通知書が届く前に引越しなどで住所が変わった場合、受け取れず通知書の存在を忘れてしまうこともあります。
そのため、住所が変わった場合にもその旨を税事務所にしっかり伝えましょう。