リファラル採用とは?手数料ゼロ施策の魅力4つと注意点3つ
- 2021/7/27
- 就転職・人事
人を採用したいけど、なかなか採れない。
求人広告を出そうにも、人材エージェントを使おうにも、とにかく高い。
そんな悩みを抱えた経営者や採用担当者には特に魅力的に聞こえる「リファラル採用」という響き。
低コストで優秀な人材が紹介で来てくれるなんて、いいことばかりのような気がします。
もちろん、リファラル採用にはメリットもたくさんありますが、一方で注意しなければならない点もあります。
ここでは、リファラル採用とはどんな制度なのか、その仕組みを踏まえた上で、魅力や導入時のデメリット、注意点について解説します。
【参考】通年採用とは?新卒一括採用との違いやメリット、デメリット
リファラル採用とは?
リファラル採用とは、既存の社員による推薦、紹介によって新規人材を獲得するための採用システムの一つです。
採用コストが限られているベンチャー、スタートアップなど主に中小企業で導入されています。
コネ入社とは異なり、会社からの指示を受けて社員は人材の紹介や推薦を行うため、役職がそれほど高くない場合でも任されることがあります。
クレディセゾン、すかいらーくホールディングスなどの大企業でも導入されており、人材不足、離職率の急増、採用コストの増加などがその背景にあります。
【参考】スクラム採用とは?一丸となって採用に取組み成功を勝ち取る
リファラル採用の魅力
それでは、リファラル採用の魅力や企業側のメリットについて見ていきましょう。
①採用コストの削減ができる
リファラル採用導入の最大の魅力は、採用コストの大幅な削減につながることです。
社員に求人媒体としての役割を担ってもらい新規人材を獲得してきてもらえば、従来まで企業が負担していた求人広告への掲載費用、エージェントへの対応や支払いなど無駄なコストと手間を省けます。
求人広告は、それなりに反響があるものに出そうとすると安くはありません。
エージェントを通すとなると、採用した人の年収の3割程度、安くても100万円程の金額が相場となっています。
これは、小規模な会社にとっては手痛い出費ですよね。
リファラル採用は、あくまでも紹介による採用であるため、社員に報酬等を支払ったとしても、求職エージェントを利用するよりも採用コストを大幅に抑えられるでしょう。
②ある程度のパフォーマンスが担保された人材を獲得できる
人材を見つけるにあたり、仲介する社員は、決してランダムに選定するということはしないでしょう。
紹介者としての責任を意識して、しっかりとした実務能力のある人間を推薦すると考えられます。
よって、企業側としては、ある程度のパフォーマンスが担保された人材を獲得できる可能性が高いと言えます。
少なくとも、どこかの会社ではしっかりとした人間関係を構築できて、推薦されるに値するパフォーマンスを発揮していたはずです。
そのため、リファラル採用においては、面接で見極めきれず、採用してみたら全然仕事ができなかった、協調性も全くない、といった酷い人が来るリスクはかなり低いと言えるでしょう。
③転職潜在層へのアプローチができる
リファラル採用を導入することで、求人サイトや転職エージェントに登録していない転職潜在層へのアプローチも可能です。
そもそも転職する意思がない人材の場合でも、社員を介して自社の魅力や経営理念を伝えられれば、共感してもらえて、採用に繋がる、ということもあるかもしれません。
④定着率の増加、離職率の減少につながる
リファラル採用であれば、企業文化的な部分でミスマッチが起こる可能性も低いと言えます。
社員が実際に入社した後に人間関係の構築がうまくできない、理想とのギャップが生じるなどの原因により早期退職のリスクが生じ、それが今中小企業の間で深刻化しています。
その点、リファラル採用であれば、少なくとも既知の社員が1人はいるため、何かあった時に相談できたり、愚痴を言えたりする相手がいます。
これは、案外大きな安心感になります。
よって、入社直後に上手く馴染めず、孤立して退職してしまう、というリスクも低いと言えるでしょう。
定着率の上昇を促し、離職を食い止めるためにリファラル採用は非常に効果的な施策と言えるでしょう。
【参考】リクルーターとは?メリット・デメリットと候補者の選考基準
リファラル採用導入のデメリットや注意点
優秀な人材獲得のために力を入れている企業にとってリファラル採用は非常に魅力的な施策である一方、導入時のデメリットや注意点もあります。
①自分のインセンティブ「だけ」しか気にしない社員もいる
インセンティブ獲得「だけ」を主な目的としリファラル採用に協力する社員もいる、ということをまず念頭に置いておく必要があります。
紹介者としての責任を全く気にせず、全然ダメな人でもとにかく紹介しようとする人が出てくると言うことです。
その場合、本来の企業側の意図とのギャップが生じてしまい、トラブルに発展しかねません。
そしてこれは、けっこうな確率で起こります。
企業は、権限として不採用にすることもできますが、その場合仲介した社員との人間関係に悪影響が出てしまうことも十分あり得ます。
②リファラル採用のノルマを社員に課すと逆効果になる
人を採らねばならないが、良い人が来ない、となった場合、経営陣が、従業員にリファラル採用のノルマを課すケースが散見されます。
しかし、求人広告を出してもいい人が来ないし、エージェントへの報酬は高いので払いたくない。
従業員がリファラル採用で誰かいい人を連れて来れば、無料。
それで、「誰かいいやついたら、連れて来い!」と、パワハラに近い要求になっていることも少なくありません。
こういう要求が出る場合、従業員自体が「求人内容が全く魅力的ではない」と思っていたり、従業員自体が「紹介したい良い会社だ」と思っていなかったりするということが考えられます。
それなのに「誰か連れて来い!」と要求してノルマを課したりすると、「もうこんな会社はイヤだ」という気持ちを強くするだけです。
下手に無理強いをすると組織全体の崩壊につながりかねないため、やめておくのが賢明です。
③派閥やグループが形成されてしまうことがある
直接的な指令やノルマがない場合でも、ある程度の役職を持つ者だと、元部下を大勢連れてくる、というケースもあります。
短期間で事業部を立ち上げたりしたい場合、チームで入社してくれるというのは、非常に有難いことではあります。
しかし、大勢で入社してしまうと、昔からの気の合った仲間だけで固まってしまい、会社に溶け込もうとする努力をしない可能性があります。
短期間で売上につながるなど良い点もありますが、無闇にそれを容認してしまうと社内がギスギスすることもあるでしょう。
また、そのグループのリーダー格が抜けるとなると、ほぼ同じタイミングで大量に退職者が出て来ると言うことも普通に起こり得ます。
まとめ
リファラル採用を導入することで、採用コストをはじめとする無駄なコストや手間の削減、優秀な人材の確保ができるなど企業側にメリットがあることは確かです。
しかし、導入したが誰も人材を連れてこない場合、社員が会社に不満を抱えている可能性もあることから、従業員の満足度を図る一つのアンテナとしての活用も可能です。
制度の有無に関わらず「優秀な仲間を連れてきたい」と思ってもらえるような会社づくりを心がけていきましょう。