コロナ禍で業績不振に苦しむ企業は数知れません。
「何か新規事業を考えろ」と上司に言われて頭を痛めている担当者も多いはず。
でも、コロナをきっかけに、人々の生活や行動パターンも変わるかもしれません。
そもそも何をするのが良いか、判断に迷っている人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、コロナ禍だからこそ、需要が高まった商品や、好景気に沸いた業界もあります。
「こんな業界が⁉」と意外性のある、業績アップした業界を紹介したいと思います。
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①一気に需要が高まった「宅配・出前サービス」
外での買い物を避けるべく、大勢が一気に利用し始めたネットショッピングにより、物流業界は一時パンク寸前に。
同じ理由からデリバリーサービスも増え、さまざまなプラットフォームが登場し、多くの店舗がデリバリーを始めました。
巣ごもり消費で大幅に拡大
不要不急の外出自粛やテレワークなど、外出もままならない“巣ごもり消費”の影響で、宅配・出前サービス業界の需要が大幅に拡大。
また、コロナ禍においてイートインの売上が激減した飲食店では、経営立て直しのためにデリバリーへシフトし、売上を伸ばしているケースも急増しています。
EC市場の好景気に沸く物流の雄、ヤマトホールディングス
個人宅向け荷物の増加により、宅配大手の好業績が目立ちます。
ヤマトホールディングスの2021年3月期第3四半期決算の発表によれば、売上高は1兆2956億7600万円で前年比3.0%増。
たった3%増?と思われるかもしれませんが、営業利益においては897億4700万円で前年比79.2%増、過去最高を更新しています。
2021年4月から、ロゴも少し変わって新しくなりました。
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②密を避けた移動&運動不足の解消で一石二鳥の「自転車」
電車やバスなどの公共機関での移動はコロナの感染に繋がると考えた人たちが、感染リスクの低い自転車での移動をするように。
また、おうち時間での運動不足を解消できるエクササイズアイテムとしても使えるため、世界的にサイクリングブームが起きています。
欧州・北米・日本など国内外の市場で販売拡大
日本のみならず、欧州や北米など世界的に自転車需要が高まっています。特に欧州では、自転車の購買促進のための補助金制度の導入やインフラ整備政策が販売拡大を後押し。日本メーカーも変速機やブレーキなど自転車部品を供給、高い収益を生み出しています。
創業100周年を迎える自転車大手のシマノ
自転車部品や釣具の販売で知られるシマノ。
同社の発表によれば、2020年12月期の売上は3780億4000万円で前年比4.1%増、営業利益は827億100万円で前年比21.6%増の好決算でした。
そして2021年はさらに上回り、売上高4555億円で20.5%増、営業利益1050億円で27.0%増の過去最高を更新する見通しです。
③おうち時間を少しでも快適に!家電業界
自由に外出できずおうち時間が増えたため、家の中で何かしたい、家の中をなるべく快適にしたいと思う人が急増。
ホットサンドメーカーなどの調理家電や、空気清浄機などの家電が爆売れしました。
無線ルーターなどのテレワークに必要なアイテムも、売上を大きく伸ばしています。
エアコン・空気清浄機・洗濯機が好調
ステイホームで在宅時間が長くなり、室内や衣類の衛生を保つためのルームエアコンや空気清浄機、加湿器、洗濯機などの販売が好調で売上を大きく伸ばしています。
パナソニックの家電事業部門が増益
パナソニックの2020年度第3四半期の売上高は1兆8141億円で前年比5%減、営業利益は前年比30%増の1302億円。
コロナの影響により空質、衛生関連製品である「ナノイーX」や「ジアイーノ」などを中心に増益、第1四半期から業績を回復させています。
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④少人数でも楽しめるおうち遊びとして最適なゲーム
とにかく売れたと言われているのがゲーム。
「Nintendo Switch」や「PlayStation5」などは供給が追いつかないほど売れ、入荷するたびに即完売、さらには高値で取引されました。
圧倒的人気のNintendo Switch
「あつまれ どうぶつの森」や「リングフィットアドベンチャー」がしたくてNintendo Switchを購入したという人も多いのではないでしょうか。
人気のソフトが注目を集め、販売台数を伸ばす要因となりました。
コロナ禍でも爆発的ヒットを飛ばす任天堂
2020年度の販売台数目標を500万台増の2400万台に上方修正した任天堂。
2021年3月期第3四半期の業績発表によれば、売上高は1兆4044億6300万円で前年比37.3%増。
営業利益は5211億800万円で前年比98.2%増となっています。
⑤飲食業界は不況でもおうち食品は好調
飲食店の閉店や倒産が相次ぐなか、おうちで食べられる食品の業界は好調。
学校が休みの子どもやリモートワークの合間のランチとして短時間で用意できる即席麺や調味料が爆売れしています。
内食需要・健康志向の増加が後押し
コロナ禍で外食ができなくなり、おうちごはんを楽しむ麺類や調味料に人気が集まっています。
さらに、免疫力を高めるヨーグルトや生活習慣病予防のチョコレート、コロナ太り解消のためのダイエット関連商品の売れ筋も好調です。
カップ麺・冷凍食品が好調な日清食品ホールディングス
即席麺の売上が好調だった日清食品ホールディングス。
2021年3月期第3四半期の連結業績によると、売上は3738億5900万円で前年比7.4%増、営業利益は499億6600万円で前年比40.6%増となりました。
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その他の業界
人工芝、入浴剤、食器用洗剤、ヘアカラー商品、使い捨て容器等々、細かいものも含めれば、コロナ禍を逆手に好況に沸いた業界は多数あります。
在宅で家族と安全かつ快適に過ごすためのアイテムが人気
コロナ禍では、お子さんが思い切り遊べる公園にも行きづらいもの。
それなら自宅の庭で安全に遊ばせようと、人工芝を施工されるご家庭が増えています。
また、ステイホームで家にいる時間が長くなるため、入浴剤や食器用洗剤などの生活用品の売上も好調です。
コロナ禍に負けない業界
宅配・出前サービスをはじめ、自転車や家電、ゲーム、食品業界など、コロナ禍においても業績がアップしている業界はたくさんあります。
“巣ごもり消費”と言われるように、在宅需要にマッチした商品・サービスを提供できるかどうかで、その業界の明暗が分かれるようです。
様々な事例に目を向けてみることで、新しい発見があるかもしれません。