ストライキとは?労働者の権利やルール、注意点について解説

「ストライキ」と言う言葉を耳にしたことがある人は少なくないでしょう。

「野球用語か?」と思ったことがある人もいるかもしれませんね。

実はこの言葉、労働者が企業に対して賃金アップや職場環境の改善など、労働に関する要求や交渉をするための手段を指しているのです。

ここでは、もしもの時のために知っておきたい「ストライキ」について、有名な事例やルール、注意点について解説していきます。

【参考】長時間労働になるのはどこから?発生する原因と回避策を解説

 

ストライキ

 

ストライキとは?

ストライキとは、労働者が集団で業務を放棄するなどして、会社(経営)側に圧力をかけ、対等な立場で交渉を行うための争議行為の一つです。

これは労働三権の一つ、「団体行動権」として憲法に定められている正当な権利。

  • 賃金アップ
  • 職場環境、労働条件の改善

など、個人では交渉が難しいことを会社側に要求する際に実施されます。

ストライキと同じ争議行為の一つとして、「ボイコット」(製品の不買運動)があります。

しかし、「ボイコット」は消費者が会社を相手に行うものであるのに対し、「ストライキ」は労働者が会社に対して行うもの、という違いがあります。

【参考】みなし残業=ブラック?導入している企業に応募の際の注意点

 

ストライキの事例

ストライキは国内外問わず、過去に何度も行われています。

もちろん、実際に労働者の要求が認められたケース、認められなかったケースいずれも存在します。

ここでは、有名なストライキの事例についていくつか見ていきましょう。

 

2019年 ケイセイ・フーズ

国内の有名なストライキの一つとして、「ケイセイ・フーズ」の事例が挙げられます。

同社は、東北自動車道の佐野サービスエリアを運営する会社。

2019年8月、当社の従業員が、不当解雇された部長の復職を求めて売店やレストランの休業するなど、ストライキを決行しました。

結果として、一度は元部長の復職が認められました。

しかし、今度は普通解雇として、再度職を追われることになりました。

決行した従業員に対して損害賠償請求が行われるなどして、今なお万事解決には至っていません。

 

2020年 アマゾンドットコム

次は、2020年6月、「アマゾンドットコム」のドイツにある物流倉庫での話。

ここでも、従業員らによっておよそ2日間にわたるストライキが決行されました。

これは、世界中で流行している新型コロナウイルスの十分な感染対策がなされていないことに対する抗議。

およそ2000人もの従業員が参加する、大規模なストライキとなりました。

これに対し、アマゾンは世界各地にある拠点に感染症対策(フェイスシールドやマスクの配布、消毒液の設置など)の取り組みとして、40億ドルの投資を行うことを決定しました。

【参考】リストラの種類や解雇の際に満たさねばならない4つの要件

 

ストライキの基本的なルール

ストライキは労働者に与えられている権利。

しかし、それを決行する際には正当性を確保するために次のルールを遵守する必要があります。

 

1. 団体(労働組合)で行うこと

一人だけで業務を放棄しても、それはストライキとして認められません。

労働条件や職場環境に不満があるからといって一人でストライキをしても、それは単なる欠勤扱いになるだけでしょう。

ストライキは、必ず団体で、意思を統一して決行する必要があります。

会社側に要求する内容や、ストライキの内容についても、労働組合で意見をまとめます。

 

2. 所定の手続きを踏んだ上で始めること

ストライキを決行するにあたり、必ず所定の手続きを踏む必要があります。

まずは、労働組合が雇用主に対して団体交渉を申し入れること。

そして、交渉では解決できない場合に、ストライキを検討します。

次に、組合内で投票を行います。

そして、過半数の賛成を得られた場合のみ、ストライキを決行することができます。

実際にストライキを始める際には、雇用主や労働委員会、都道府県知事に対する通知や通告も忘れてはいけません。

 

3. 権利侵害をしないこと

ストライキは必ず正当な手段で行わなければなりません。

要求が通らないからといって暴力や誹謗中傷、その他過激な行為をすることは当然NG。

そのような行為をすると、損害賠償請求や刑事処罰を課されることになります。

 

4. 目的は、あくまで「労働」に関することのみ

ストライキで主張、要求できる内容はあくまで労働に関することのみです。

政治的主張や宗教的主張、その他労働とは関係のない主張は一切認められていません。

【参考】労働組合とは?加入の前に知るべきメリット3つと注意点3つ

 

ストライキ実施時の注意点

所定の手続きを踏み条件をクリアすれば、誰でもストライキを実施することは可能です。

 

要求や主張が通るとは限らない

しかし、決行したからといって必ずしもその要求や主張が通るわけではありません。

特に業績が悪い時に、賃金アップや職場環境の見直し等を主張しても難しいでしょう。

会社にリソースが不足しているとそもそも実現できないためです。

 

働いていない間の賃金は請求できない

また、当然のことですが、「働いていない間の賃金は請求できない」ということも忘れてはいけません。

これには、ノーワーク・ノーペイの原則があります。

よって、ストライキで業務を停止している間の賃金、給料は支払われません。

ストライキをするなら、その覚悟をもってする必要があります。

【参考】未払残業代を貰う!会社に請求するための手続と注意点

 

ストライキは最後の手段だと思って

海外では頻繁にストライキが起きています。

しかし、日本の場合、その件数は年々減少傾向にあるとされています。

様々な理由がありますが、

  • 非正規雇用の増加
  • 雇用の流動化
  • 労働組合への参加率の低下

などが言われています。

しかし、従業員として働いている以上、ストライキは決して無関係なことではありません。

たとえ非正規でも、正規の人達の意向に巻き込まれることもあるのです。

ストライキとは何なのか、何がどこまで許されるのか、基本的な知識は身につけておきたいですね。

【参考】事なかれ主義とは?組織を硬直化させ弱体化させる文化

関連記事

最新の記事

  1. 不動産投資に資格
  2. 経年劣化、通常消耗、特別消耗
  3. 短期賃貸
  4. 固定金利と変動金利
  5. 家賃債務保証
  6. 再建築不可物件
  7. 駐車場経営
  8. 不動産投資でカモ
  9. 家賃の値下げ交渉
  10. 木造・鉄骨造・RC造

ピックアップ記事

  1. 縁故採用
  2. カジュアル面談
  3. Zoomでビデオ講座
  4. ザイオンス効果
  5. テキストコミュニケーション
  6. Canvaの使い方
  7. ABテスト
  8. 転職エージェント

おすすめの記事

  1. 副業解禁
  2. 不動産小口化商品
  3. 嫌われる上司
  4. ポータブルスキル
  5. 健康経営
  6. リファラル採用
  7. Hootsuite
  8. ミステリーショッパー
  9. 働き方改革の成功事例
  10. 社労士
ページ上部へ戻る