ホールディングス化とは?組織が変わる?基本から丁寧に解説

社会人なら、ほとんどの方が一度は「ホールディングス」という言葉を耳にしたことがあると思います。

野球チームの名前のようにも聞こえますが、これは、会社の体制を整える上で出て来る、とある会社の形態になります。

今回は、そもそもホールディングス化とは何なのか、メリットやデメリットも含め解説していきます。

【参考】大企業が資本金を1億円以下にする減資がブーム!その理由は

ホールディングス化

 

企業のホールディングス化とは?

ホールディングス化とは、グループ企業の支配権である株式をホールドする、いわゆるホールディング会社を作り、その傘下に各グループ企業を位置づけることでグループ全体の経営管理や経営指導、また方針や戦略の立案ができるような体制を整えることを意味します。

ホールディング会社は、他のグループ会社の所有権を保有する親会社のような位置づけになります。

多くの場合、社名に●●ホールディングス、●●グループという文言が入ります。

例えば、野村證券グループのホールディングス会社である、「野村ホールディングス」や、製菓や乳業等の事業を行う明治や、医薬品メーカーのMeiji Seika ファルマ等の明治グループを傘下に持つ、「明治ホールディングス」が代表例です。

 

持株会社の種類

持株会社には、

  1. 事業持株
  2. 純粋持株
  3. 金融持株

の3種類があります。

1. 事業持株

事業持株とは、自ら何かしらの事業を行いつつ他社を傘下に置く企業を指します。

事業持株の企業例としては、上記の明治の他、セブン&アイホールディングス、アサヒグループ、花王グループなどがあります。

2. 純粋持株

純粋持株とは、傘下の管理や指導のみ従事する企業を指します。

3. 金融持株

金融持株とは銀行や証券会社など金融機関を傘下に持つ企業を指します。

純粋・金融持株には三井住友フィナンシャルグループ、野村ホールディングスなどが挙げられます。

 

ホールディングス化するメリット

実際に他社を傘下に置き、ホールディングス化するメリットや主な目的について見ていきましょう。

 

①意思決定が速まる、強い組織づくりができる

ホールディング化する最大のメリットは、意思決定が速くなることです。

様々な事業が一つの会社の中にあると、縁遠い事業をしている役員の承認を取らなければならなかったり、そもそも承認を取らねばならない人の数が多すぎたりして、一つ一つの動きが非常に遅くなってしまう傾向にあります

当然、足の引っ張り合いも起こり易くなります。

しかし、子会社にそれぞれの事業運営を任せた上で統制を整えられれば、それぞれの事業体が小回りが利くようになり、経営判断が迅速化するだけでなくグループ全体の総合力が上がり、効率的な会社運営が行えるようになります

足の引っ張り合いも起こりにくくなるでしょう。

 

②M&Aがしやすくなる

ホールディングス化することで、M&Aを実現しやすくなるということもあります。

それぞれの事業が事業ごとに法人化されていると、売却が容易になります

これを、一つの会社になっているところから、一つの事業だけを切り出して売却するとなると、大変な手間と時間がかかります。

そして、他社を買収する時も、単純にホールディングス会社の傘下にぶら下げればよいので、組織として非常にシンプルになります

 

③事業リスクの軽減、分散ができる

ホールディングス化し、事業内容が異なる複数の会社を傘下に置くことで、グループ全体のリスクを軽減、分散できます。

例えば、親会社Aに子会社であるB社、C社、D社がある場合を想定します。

子会社のうち、例えばB社に営業停止処分が課された場合でも、親会社であるAとやその他の子会社は、影響ゼロとまでは言いませんが、多くの場合、事業の継続には支障がなかったりします

このように子会社としてそれぞれ法人を分けることで、事業リスクの軽減、分散につながるという側面もあります。

 

ホールディングス化するデメリット

以上の他にも、経営を分割することで、経営者の育成ができる、事業継承時の節税につながると言ったメリットがあります。

一方でホールディングス化にはデメリットもあります。

 

①間接部門のコストが増えがち

ホールディングス化に伴い、総務や法務、経理など、間接部門が法人ごとに重複し、人件費などバックオフィスに関する諸々のコストが増えがちなのが最大の難点といえるでしょう。

これは、シェアードサービスを活用することで回避できる側面もありますが、体制の組み直しも含め、間接部門の効率性を高めるハードルはグッと上がることになるでしょう。

 

②子会社間で対立が生まれ、連携が取れない

親会社はグループ全体における経営戦略や事業方針の立案ができるため、子会社との連携は比較的容易に取れます。

しかし、子会社間となると、異なる業種業態であるケースも多々あり、法人も別ということも相まって、上手く連携が取れなくなるということはおろか、対立が生じてしまうことも珍しくありません。

特に、一方の事業は好調で、片方の事業は不振続き、ということがあると、様々な感情が渦巻き、妬みやっかみ、同じグループと言えど他社のことは知らぬ存ぜぬ、という状況になりかねません。

 

まとめ

事業の拡大や更なる飛躍のためにホールディングス化が求められることもあります。

しかし、組織が大きくなるということは、同時に経営管理の複雑化やコストの増大をはじめ、リスクも増えることになります。

それらをしっかりと把握した上で事業展開を進めていきましょう。

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