競業避止義務とは?同業他社に転職する際に注意すべき点は

転職が当たり前になった今の時代。

今の会社と同じ業界に転職する際に、会社からそれを禁止されたり、制限されたりすることはよくあることです。

しかし、職業選択の自由に照らして、それはどの程度実効性のあるものなのでしょうか。

今回は、社会人なら必ず知っておくべき競業避止義務の基礎知識と同業他社に転職する際に注意すべきポイントについて解説していきます。

【参考】転職エージェント利用の際の注意事項!NG行為4選

 

競業避止義務

 

競業避止義務とは?

競業避止義務とは、同業他社への転職や在職中に競合となり得る業種での副業や兼業を制限するため、企業と従業員の間で交わすことになる取り決めです。

入社する際、もしくは退職する際に誓約書にサインするよう求められることがあります。

ちなみに、筆者もサインしたことがあります。

これは、顧客データや企業機密など、外部に漏れると大きな損害が出てしまうような情報を日頃から扱う役職に就いている人が主に対象となります。

しかし、一般の従業員も例外ではありません。

競業避止義務の内容についてしっかり把握しておかないと、転職する際に不利益を被ることがあります。

 

競業避止義務で制限される内容

具体的には、主に次の内容に関する制限が従業員に課されます。

  • 転職する企業、業界
  • 転職する部署や役職
  • 転職先の地域、エリア
  • 競業避止義務の適用期間(一般的には退職してから1年間)

 

競業避止義務に法的拘束力はある?

一度サインしたら、競業避止義務は守らなければならないものという認識があります。

しかし、「職業選択の自由」が憲法で定められている以上、実は法的拘束力はありません。

つまり、誓約書にサインしたからと言って企業が従業員の転職先や副業先を制限できる根拠は全く無くないのです。

もちろん、それだけでペナルティを課されることもありません。

しかし、転職や副業が原因で重要な機密情報が外部に流出して、会社に大きな損害を与えてしまった場合は別。

故意、過失を問わず、その会社から訴えられて、損害賠償や退職金の返還を請求される可能性があります。

実際に、そう言った事例はいくつもあります。

そのため、競業避止義務の有無にかかわらず、転職等をする際には、元いた会社に損害を与えないことが大前提となるのです。

【参考】転職活動は退職後?働きながら?どちらが最適か徹底比較

 

同業他社に転職する際のポイント

同業他社への転職は、これまで培ってきた経験と知識を存分に発揮できる転職。

年収アップが期待できる、転職先で即戦力として活躍しやすいと言ったメリットも。

一方、同業他社に転職することを会社に知られてしまうと、会社と揉めることもあります。

スムーズに転職を進められなくなるリスクも認識しておかねばなりません。

同業他社に転職する場合、会社との余計なトラブルを回避しするためにも、次のポイントを押さえておきましょう。

 

1. 転職先を伏せておく

トラブルを回避するための最も効果的な対策は、会社に転職先を伏せておくことです。

転職する際、今の職場に転職先を伝えなければならないというルールはありません。

たとえ聞かれたとしても、それに答える義務もありません。

転職先を直接伝えたり同僚に話してそこから漏れてしまったりするのはリスク。

退職を引き止められたりモラルを問われたりして辞めにくくなってしまいます。

これは、退職後も関係を続けたい親しい同僚がいる場合でも同じ。

退職が完了し、転職先に入社するまでは、転職先を誰にも伏せておくのが賢明です。

 

2. 誓約書にサインしない

会社が求める競業避止義務の誓約書にサインする法的義務もそもそもありません。

そのため、サインするように求められても、それを断ることができます。

そして、そのまま転職することも可能。

サインをしなかったこと「のみ」を理由として会社側から訴えられることもありません。

 

3. 内容を交渉した上でサインするべきか判断する 

誓約書にサインする法的義務はありません。

サインを求められても、一方的に拒否することは可能。

良好な関係を維持したまま退職したいのであれば、その内容を確認・交渉した上で、サインするべきかを判断するのも一つの選択肢です。

例えば、

  • サインする代わりに代償措置として退職金を増額してもらえないか
  • 適用期間を短くしてもらえないか

まずは内容を確認し、交渉の余地がないか見極めた上で検討してみましょう。

【参考】職場の人間関係!深入りし過ぎる弊害と距離の保ち方

 

競業避止義務にうまく対処しよう

すでに競業避止義務の誓約書にサインしてしまったという場合でも、必ずその内容に従う必要はありません。

しかし、いくら法的拘束力がないとはいえ、意図的に企業機密を漏らしたりするような行為は絶対NG。

それは、訴えられてもやむを得ません。

同業他社に転職する場合には、最低限のモラルは守る必要があるのです。

退職時にサインをするかしないかで会社とトラブルになっても、お互いに嫌な思いをするだけ。

うまく対処して、円満退職できるよう努めたいものですね。

【参考】「何か質問はありますか?」面接での模範解答とNG集

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