会社で働いている以上、パワハラを受ける可能性は誰にでもあります。
実際に自分がパワハラの被害を受けた際、然るべき対処法を知っていないと、精神的に追い込まれてしまいます。
精神が強くないと、そのまま働けなくなってしまうといったことも珍しくありません。
今回は、パワハラ上司の訴え方や訴える際に必ず揃えておくべき証拠について解説します。
パワハラ上司を訴える!裁判だけでない解決策
パワハラ上司を訴える最も確実かつ強力な方法は、弁護士を雇って裁判を起こすこと。
しかし、当然ですが、そのためには多くの費用や時間がかかります。
訴える側の経済的、精神的負担も、相応に大きくなってしまうでしょう。
その結果、たとえ裁判で勝てたとしても、パワハラの被害者が損をしてしまうといったケースも少なくありません。
弁護士を雇って裁判を起こさずとも、所定の手続きを踏むことで、パワハラを訴えて問題を解決できることもあります。
まずはコストがあまりかからない方法から選ぶことをお勧めします。
パワハラ上司の訴え方
それでは、パワハラ上司を訴えるための具体的な方法を4つ見ていきましょう。
1、労働局に訴える
労力やお金をかけずにパワハラ上司を訴える最善の方法は、労働局に相談すること。
労働局とは、厚生省が管轄する国の公的機関の一つ。
各自治体に設置されており、上司によるパワハラはもちろん、
- セクハラやモラハラなどのハラスメント問題
- 不当解雇
- 残業代の未払い
など、様々な問題に対応してもらえます。
状況に応じて直接企業に対して指導してくれたり、仲介役として話し合いの場を設けてくれたりもします。
公的機関なので、相談は無料。
たとえ労働局で解決が見込めなかった場合でも、問題解決のために今後どのような対応や手続きを進めていくべきか、専門的な助言を受けられます。
2、弁護士を立てて代理交渉をしてもらう
外部の機関を通さずとも、パワハラの被害者当人が会社に問題を報告し、加害者に対してパワハラ行為を止めるように働きかけてもらうことも可能です。
しかし、組織ぐるみでパワハラ行為をしている場合、解決は見込めません。
その場合、弁護士を立てて代理交渉をしてもらう方がより効果的でしょう。
弁護士を雇う場合、もちろん相談料や着手金、報酬金などの費用が発生します。
しかし、まずは無料で利用できる「法テラス」を使ってみても良いかもしれません。
3、労働審判で訴える
代理交渉で解決が見込めない場合には、弁護士を立てた上で労働審判を起こしましょう。
労働審判は、労働問題の迅速かつ適正な解決を図ることを目的とした裁判所の手続き。
裁判官1名と労働問題の有識者を含めた労働審判員2名が出て来ます。
そして、原則3日間で審理が行われます。
普通の裁判と比べて申請の手続きも簡略化されているのが特徴。
審理の期間も短いため、訴える側の精神的負担も軽減されるでしょう。
4、裁判で訴える
労働審判において和解が成立しないことがあります。
また、そもそも会社側が話し合いに応じない場合もあるでしょう。
そのような時は、最終的に弁護士を雇って裁判を起こすしか解決策はありません。
パワハラ上司を訴えるために必要な証拠
上司によるパワハラ行為を認定してもらうためには、その証拠が何よりも重要。
訴える手段に関わりなく、次の4つが主に有効な証拠たりえます。
1. 音声データ
罵声や暴言など、言葉によるパワハラ被害を受けているのであれば、その発言の一部始終などをボイスレコーダーやスマホの録音機能を使って記録しておきます。
一回の記録だけではパワハラと認定されないこともあります。
日常的に言葉によるパワハラがあるなら、なるべく多くの記録を残しておきましょう。
2. メールのやり取りなど画像データ
メールやチャットツールを使ったテキストメッセージでの嫌がらせも、よくあります。
この場合、チャット画面をそのままスクショするなどして、画像データを残しておきます。
メッセージの送り主や日付などの情報がしっかり分かるように記録しておきます。
3. その他のパワハラの被害記録
音声データや画像データに加え、いつ、誰に、どんなことをされたのかをまとめた被害記録も残しておきましょう。
自分なりの言葉で良いので、リアリティがあるよう細かくまとめておくことが肝要。
実際に訴える際にパワハラ行為の信憑性が増して認定されやすくなります。
4. 診断書
パワハラ行為によって、うつ病や不眠症などの健康被害が生じていることもあるでしょう。
その場合、病院に発行してもらった診断書も証拠になります。
パワハラ上司を訴える準備を
パワハラ上司は、本当に腹立たしい存在。
場合によっては、パワハラ上司のせいで人生が壊されることだってあるのです。
しかし、訴えるにしても、角が立つ可能性がある点については留意しておきましょう。
引き続きその会社で働き続けたいのであれば、可能な限り穏便に解決させたいところ。
自分1人で対処する余力がない場合には、無理せず弁護士など専門家に頼りましょう。