日頃から経済ニュースをチェックしている人や、就活の真っ只中にいる人。
きっと、「有効求人倍率」という言葉を日常的に耳にすることがあるでしょう。
しかし、それが何を意味するのか正確に分からない人も中にはいることでしょう。
今回は、今更聞けない有効求人倍率について基本の基から詳しく解説していきます。
有効求人倍率とは
有効求人倍率とは、求職者1人につき何件の求人があるかを示す数値。
世の中全体の動きとしての「就職のしやすさ」を図るための重要な目安の一つです。
厚生労働省が全国のハローワークの有効求人数と有効求職者数を基に算出しています。
そして、毎月、その数値は発表されます。
「有効」ってどういうこと?
そもそも「有効」とは、「有効期間にあること」を意味します。
つまり、「熱心に募集している状態」ということです。
では、「有効期間」はどのようにして設定されているのでしょうか。
ハローワークでは、求人、求職のいずれの有効期間も2ヶ月以内(翌月の末日まで)と定めています。
有効求人倍率の求め方と見方
算出方法は非常にシンプル。
計算式は、「有効求人数 ÷ 有効求職者数」
で求められます。
たとえば、
- 求職者200人に対して、求人数が400件ある場合、有効求人倍率は「2.0」
- 求職者200人に対して、求人数が100件ある場合、有効求人倍率は「0.5」
となります。
つまり、企業が人手不足に陥り、積極的に求人を出しているときは、「1」を上回ることになります。
また、逆に求人をあまり出していない時には「1」を下回ることになります。
つまり、数値が大きいほど就職しやすく、小さいほど就職しにくいのです。
直近の有効求人倍率
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、直近(令和5年7月)の全国の倍率の平均は1.29倍。
徐々に上昇している傾向にあります。
都道府県別に見ると、一番高いのが福井県の1.83倍。
次に高いのが、島根県の1.60倍となっています。
尚、一番低いのは神奈川県で、0.77倍となっています。
東京都の倍率は1.26倍で、全国26位にランクインしています。
有効求人倍率が高いとき、低いときの企業の動向
ハローワークを利用して就職活動や転職活動を行う時、地域の倍率が高い場合、低い場合で、それぞれ就職のしやすさが変わってきます。
有効求人倍率が高い時は
有効求人倍率が高い時に応募する場合、求人数の数もそれだけ多いということ。
つまり、それだけ就職先の選択肢は広がることになります。
書類選考や面接の突破率も高いということになるでしょう。
前述した通り、数値が高い時は、企業が人手を欲しているということ。
人材を確保するために積極的になり、
- 新卒・未経験でも採ってもらえる
- 好条件の待遇で採ってもらえる
といったことがあり、採用のハードルも低くなるでしょう。
有効求人倍率が低い時は
一方、倍率が低い時に応募する場合、1人の求職者に対する求人の数は少なくなります。
その分、求人枠を巡る競争も激しくなります。
その場合、企業は人数よりもスキルや経験など中身を重視するようになります。
即戦力として活躍が見込める人材が優先的に採用されるでしょう。
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有効求人倍率をみる時の注意点
これから就職活動や転職活動をする方にとって、有効求人倍率は決して無視できない指標。
その数値によって活動の方向性も大きく変わってくるでしょう。
しかし、次の2つのポイントには留意しておく必要があります。
ハローワークの求人・求職に限る
まず、この数値は、あくまでもハローワークなど公的な職業紹介機関におけるデータとして算出されるもの。
民間の就職情報サイトや転職サイト、転職エージェントのデータは含まれません。
そのため、数値が低いからと言って、必ずしも求人が見つからなかったり採用されにくかったりするわけではありません。
そして、その逆もまた然りなのです。
雇用形態は問われない
算出するための「求人数」には、正規雇用しか含まれていないとよく誤解されます。
しかし、アルバイトやパートなどの非正規雇用の数も含まれています。
正規雇用のみの数値が知りたいのであれば、厚生労働省のホームページにある「正社員有効求人倍率」を参考にしましょう。
有効求人倍率を活用して上手に仕事を探そう
有効求人倍率は、大変便利な指標です。
しかし、その数値だけで判断するのではなく、あくまで就職のしやすさや景気の動向を図るための一つの指標として参考にします。
しっかり理解して、就職活動や転職活動に役立てていきましょう。